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インディカー・シリーズ

round 09

SCHEDULE

June 28 2014, RACE The Shell and Pennzoil Grand Prix of Houston Race 1

アメリカヒューストン

ルーキーのカルロス・ウエルタスが初優勝
同じくルーキーのカルロス・ムニョスが今季2度目の3位フィニッシュ
佐藤琢磨は一時トップを走行するも、接触されてリタイア

2014年6月28日(土)・決勝  会場:ヒューストン市街地特設コース  天候:曇り、一時雨  気温:28〜29℃

テキサス州ヒューストンのNRGパークに作られた特設コースでのグランプリ・オブ・ヒューストンが開催され、28日(土)にダブルヘッダーの1レース目が行われました。予選後、サポートレースが行われている間に強い雨が降り始め、インディカーのレースのスタート前にさらに雨が降ったため、グランプリ・オブ・ヒューストンに出場する全23台はレインタイヤを装着し、メインストレートからスタンディングスタートを切りました。

  • カルロス・ウエルタスカルロス・ウエルタス
  • カルロス・ウエルタスカルロス・ウエルタス
  • カルロス・ウエルタスカルロス・ウエルタス
  • カルロス・ムニョスカルロス・ムニョス

ウエットコンディションとなったため、予定の90周ではなく、スタートから1時間50分が経過した時点で新しい周回には入らないルールで行われましたが、スタート直前に雨が止み、周回を重ねるにつれて路面は乾いていきました。レース序盤の22周目、早くもスリックタイヤへとスイッチするチームが現れたほどでした。それでも完全なドライコンディションになるまでには時間が必要で、グリップの低い路面でアクシデントが多発し、最終的に6回ものフルコースコーションが出されました。

荒れたレースでアドバンテージを手に入れたのは、燃費を絡めた作戦を巧みに使ったチームでした。予選19番手で10列目のイン側グリッドからスタートしたルーキーのカルロス・ウエルタス(Dale Coyne Racing)は、レース中盤に続けて出された2回目と3回目のフルコースコーションで2度、燃料を補給。この作戦が勝利をつかむカギとなりました。

3度目のピットストップを終えた直後のウエルタスは18番手でしたが、彼より先行するドライバーたちが次々とピットストップに向かったことで50周目には9番手にまでポジションアップ。59周目にはトップグループの多くがピットストップを行ったことで、チームメートのジャスティン・ウィルソンがトップに立ち、ウエルタスも2番手へと一気に浮上しました。

61周目にリスタートが切られると、レースはもう残り20分となっていました。トップを走るウィルソンは最後のピットストップが28周目だったため、ゴールまで給油なしで走りきるためにはフルコースコーションが必要でした。しかしレースはハイペースで進み、ウィルソンは74周目に短い給油を行うためにピットロードに消えました。これでウエルタスがトップに立ちましたが、彼の燃料はもう残り少なくなっていました。

77周目、ライバルがスピンしてコース上にストップ。ウエルタスは燃費の心配が少し減る状況とはなったものの、80周目に最後のリスタートが切られた後、ゴールまで残り1周でもトップの座を守りきれるかは分かりませんでした。依然として燃料はわずかで、2〜3番手には2人のベテランが浮上し、逆転を虎視眈々と狙っていたからです。しかし、5番手を走っていたグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)が目の前を走っていたライバルに追突してスピンをさせたため、イエローフラッグが振られることとなり、スタートは切られませんでした。そして、そのままフルコースコーションでゴールが迎えられ、勝利はウエルタスのものになりました。

コロンビア出身の23歳、ウエルタスはデビュー2戦目のロングビーチで早くも初トップ10入りを果たす10位フィニッシュを経験し、デトロイトでのシリーズ第6戦ではキャリアベストを更新する8位フィニッシュを達成していました。そして今日、彼はデビュー9戦目にしてキャリア初優勝を手に入れました。Dale Coyne Racingにとっては、2013年のデトロイトでマイク・コンウェイとともに勝って以来となる4勝目です。

アクシデントを起こしたレイホールにはプラス30秒のペナルティーが科せられ、3位はウィナーと同じくルーキーのカルロス・ムニョス(Andretti Autosport)のものとなりました。ムニョスは最後尾23番手のスタートから、今年の第2戦ロングビーチ以来となるキャリア3度目のトップ3フィニッシュを成し遂げました。

なお、今日のレースで2位フィニッシュしたのはファン・パブロ・モントーヤ(Team Penske)で、3位はムニョス。南米コロンビア出身のドライバーたちがインディカー史上で初めて表彰台独占を果たしました。

ヒューストンでのダブルヘッダー1レース目での勝利は、Hondaエンジンにとっては今シーズン4勝目でした。そして、ムニョスが3位、序盤に佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)とトップ争いを演じたジェームズ・ヒンチクリフ(Andretti Autosport)が5位、21番手スタートだったルーキーのジャック・ホークスワース(Bryan Herta Autosport)が6位、ライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が7位、マルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)が8位、そしてウィルソンが10位と、Hondaエンジン・ユーザー7人がトップ10でのフィニッシュを達成しました。

予選6番手だった佐藤琢磨は得意のウエットコンディションで目覚ましい走りを見せました。3列目からロケットスタートを切った彼は、わずか5周でトップに躍り出て、その勢いを保って2番手に4秒もの大差をつけたのです。しかし、スタート直後にタイヤがパンクしてバックマーカーとなったアンドレッティが彼の進路をふさいだため、佐藤とその後方を走るヒンチクリフの差が短縮。その後、ヒンチクリフにトップの座を奪われました。

ドライコンディション用のスリックタイヤ装着でも佐藤は速く、ハイペースを保ってトップに返り咲くチャンスをうかがっていましたが、32周目のリスタート直後、序盤のスピンで周回遅れに陥っていたルーキーのミハイル・アレシン(Schmidt Peterson Motorsports)が佐藤に強引なオーバーテイクを仕掛けたために2台は接触。絡み合うようにしてコンクリートウォールにヒットした彼らは、そろってリタイアを喫しました。

ヒューストンでの2レース目は、今日の1レース目とまったく同じスケジュールで開催されます。午前10時からスターティンググリッドを決める予選を行い、午後2時45分にスタートが切られます。

コメント

カルロス・ウエルタス(優勝)
「優勝の可能性は常にあると信じていました。今日はチームが本当にすばらしい仕事をしてくれたと思います。インディカーのレースは長距離にわたるものなので、なすべきことをタイミングよく行い続けていれば、勝つチャンスは巡って来る。そう考えていました。今日のレースは大変難しいもので、私はマシンをコントロール下に置き続けることに苦労をしていました。それでも自分自身に対し、冷静さを保ち続け、やるべき仕事を確実にこなし続けるよう言い聞かせ、最後までそれを貫くことができました。チームの作戦が完ぺきで、私たちは燃費を味方につけて、優勝を勝ち取りました。本当に最高の一日になりました。レース終盤は後ろにいるファン・パブロ・モントーヤよりも、前を走るチームメートのジャスティン・ウィルソンのことの方が気になっていました。チームは彼の燃料が持たないと私に告げていたのですが、彼のペースは逆にどんどん速くなっていたからです。そこで彼をパスしようとトライしたのですが、彼はドアを閉めて来ました。最終的には私とチームが勝利を手にすることとなり、本当にうれしく思います」

佐藤琢磨(22位)
「今日のようなフィニッシュはだれも望んでいません。本当にがっかりです。スタートはとてもうまくいき、2台をまとめてパスするところでしたが、その2台にサンドイッチにされてアクセルを戻さなければなりませんでした。それでも私のマシンはとても好調だったので、彼らを1台ずつパスし、トップに立つことができました。すべてが順調で、走ることを楽しんでいましたが、マルコ・アンドレッティがピットアウトしたさいに、温まっていないタイヤで私の進路をふさぎました。彼にはオフィシャルからブルーフラッグが長いこと提示され続けましたが、彼はそれを無視し続けました。私は彼の後ろを走ることで築いていたリードを失い、そこでようやくインディカーが彼に対してブラックフラッグを提示しました。すでに我々に対するダメージは十分に与えられていました。ヒンチクリフは私のすぐ後ろまで迫っており、同じタイミングで行ったピットストップで彼にトップの座を奪われたのです。2番手で迎えたリスタートでは、ミハイル・アレシンが私の後ろにいました。彼は1周の周回遅れでしたから、私はヒンチクリフとのバトルに集中していました。そして長い高速コーナーであるターン5は、イン側からオーバーテイクをする以外は不可能で、そこはまだ路面が濡れていました。なので、ライン上を走り続けていましたが、彼はアウト側からコーナーへと深く進入し、2台が絡み合う結果となりました。いったい彼は何がしたかったのでしょうか。次のコーナーはヘアピンですから、アウト側からのパスなど不可能です。私たちのチームはすばらしい仕事をしてくれ、レースでのマシンは本当に高い競争力を備えていました。難しいコンディションでのレースとはなっていましたが、私たちの下した判断は正しく、走ることを大いに楽しめていました。本当に残念でなりません。アクシデントで手首を少し痛めましたが、明日のレースへの出場に関しては問題ないと思います」

マーク・サワーズ|HPD シニア・マネジャー/チーフ・エンジニア プロダクション&コマーシャル・ディビジョン
「非常に多くのことが起こったレースでしたが、ルーキーのカルロス・ウエルタス、そしてDale Coyne Racingがヒューストンでのレース1で勝利を記録してくれました。今週末のダブルヘッダーでスポンサーを務めてくれているヒューストン地域のHondaディーラーたちのためにも、今日の勝利はすばらしいものとなりました。ウエルタスと同じくルーキーのカルロス・ムニョスが、今年2度目の表彰台フィニッシュとなる3位でゴール。彼のほかにも多くのHondaドライバーたちが上位でフィニッシュしてくれました。難しいレースを戦い抜いて好成績を残した彼らのパフォーマンスに対し、大きな拍手を送りたいと思います。ウエットコンディションでスタートし、路面が次第に乾いていくという展開となったレースでしたが、Hondaエンジンを使うドライバーたちがコンスタントに速さを見せ続けていました。さまざまなコンディションに私たちのエンジンは柔軟に対応し、高い性能を発揮していたと思います」

決勝リザルト

順位 No. ドライバー エンジン 周回数 タイム/差
118カルロス・ウエルタスHonda 80 1:51'25.5649
22J.P.モントーヤシボレー 80 +0.0975
334カルロス・ムニョスHonda 80 +2.3433
411S.ブルデーシボレー 80 +3.0878
527ジェームズ・ヒンチクリフHonda 80 +4.7101
698ジャック・ホークスワースHonda 80 +5.5127
728ライアン・ハンターレイHonda 80 +6.2853
825マルコ・アンドレッティHonda 80 +7.1638
93H.カストロネベスシボレー 80 +8.2181
1019ジャスティン・ウィルソンHonda 80 +9.4366
 
1115グレアム・レイホールHonda 80 +30.8792
1677シモン・パジェノーHonda 74 +6Laps
2067ジョセフ・ニューガーデンHonda 41 +39Laps
2116ルカ・フィリッピHonda 36 +44Laps
2214佐藤琢磨Honda 32 +48Laps
237ミハイル・アレシンHonda 31 +49Laps

ポイントスタンディング





ドライバー
順位 No. ドライバー エンジン 総合ポイント
112 W.パワー シボレー 386
2 3 H.カストロネベス シボレー 353
3 28 ライアン・ハンターレイ Honda 336
4 77 シモン・パジェノー Honda 295
5 2 J.P.モントーヤ シボレー 263
6 34 カルロス・ムニョス Honda 262
7 25 マルコ・アンドレッティ Honda 259
8 9 S.ディクソン シボレー 225
9 27 ジェームズ・ヒンチクリフ Honda 214
10 11 S.ブルデー シボレー 212
 
12 19 ジャスティン・ウィルソン Honda 203
13 18 カルロス・ウエルタス Honda 197
15 98 ジャック・ホークスワース Honda 184
17 7 ミハイル・アレシン Honda 170
18 15 グレアム・レイホール Honda 166
19 67 ジョセフ・ニューガーデン Honda 161
20 14 佐藤琢磨 Honda 160
24 16 オリオール・セルビア Honda 88
25 26 カート・ブッシュ Honda 80
29 5 ジャック・ヴィルヌーヴ Honda 29
30 68 アレックス・タグリアーニ Honda 28
32 63 ピッパ・マン Honda 21
33 41 マーティン・プロウマン Honda 18
35 16 ルカ・フィリッピ Honda 9
36 26 フランク・モンタニー Honda 8