『インディアナポリス500を見に行く』ということの意味
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 アメリカ最大のレースイベント、インディアナポリス500を見に行くこととは何なのか?
 インディアナポリス500レースを見に行くこととはどういうことを意味するのか?

 それは「ワンダフル」という言葉に尽きる。ワンダフルとは文字通り、嬉しい驚きがいっぱいということだ。偉大なレース、ル・マン24時間やモナコグランプリ同様、インディ500を見にインディアナポリス・モーター・スピードウェイに行くということは、単に観客の一人としてレース観戦に行くことにとどまらず、歴史的な場所で歴史的なイベントに参加するということを意味する。
 もしインディアナポリスやその郊外のホテルに滞在するなら、あなたのインディ500当日は朝早くから始まることになる。レースが始まるのは11時ではあっても、サーキット行きのバスがホテルを出発するのは午前7時前。各地からバスの大群がサーキットへと向かう。サーキットにつながる街の主要幹線道路は、この日だけレース開始前はサーキット方向に、レース後はサーキットから各地への一方通行となる特別処置がとられる。白バイの警官による先導で、効率よく定められた地点に集められたバスはそこから隊列を組んで一直線にサーキットに辿り着くという仕組みである。

 したがって、午前7時半にはサーキットに着いてバスから降ろされたあなたは、「レースが始まるまでの3時間半、何をしていればいいんだ?」と自問することになる。でも心配ご無用。なぜならサーキット内には楽しいアトラクションの数々が待ち構えていて、あなたを飽きさせない。あっという間に時間は過ぎていく。
 私ならまず、サーキットに沿って走るジョージタウン・ロードを散策する。食べ物やグッズを売る模擬店で構成される迷路に入っていって、全世界から集まったファンの規模とエネルギーを肌で感じ、そして売られている食べ物を買って食べる。食べ物といってもステーキサンドイッチやブラートヴルスト(豚肉と子牛肉のソーセージ)、あるいは典型的なアメリカン・ハンバーガーなどである。残念ながらインディアナポリスはグルメのための天国とは言い難い。
 午前9時から9時半までには、自分のシートに戻ってピットで行なわれている、レースに向けた各チーム最後の準備を見守りたい。燃料貯蔵タンクを満タンにし、交換用タイヤは積み上げられ、工具もいざという時のためにきちんと整理されて並べられ、インパクトレンチやコンプレッサーも最終チェックを受ける。テンションはいやがうえにも高まっていく。
 サーキット上でも様々なアトラクションが行なわれている。有名人たちによるパレード、マーチング・バンドによる演奏、そしてインディ500の伝統である白バイ警官隊によるパフォーマンスなどが次から次へと展開していく。
 むろん、レースまでの間に行なわれる全てのことがインディ500の伝統であり、最初のインディ500が行なわれた1911年以来、一度も絶えることなく続いている由緒正しいものもいくつかある。

 あれよあれよという間に時間が過ぎていき、気がつくと、いつのまにかレースに出場するマシンがクルーたちの手によって押されながら、静々とピットを出てスターティンググリッドへと移動し始める。ドライバーが乗り込み、シートベルトをつけ始める。そうこうするうちにスター歌手による国歌斉唱に続いて、これもインディ500の伝統である“Back Home Again in Indiana”が厳かに斉唱される。
 無数の風船が空に放たれ、観衆の大歓声に続いて33台のマシンのエンジンに火が入るや、ペースラップ(ウォームラップ)スタートの合図を待ちかねたマシンが、じりじりとグリッドラインからせり出していく。レース開始のグリーンフラッグが振られると観客は総立ちとなり、猛スピードで第1コーナーに進入するマシンの爆音はスタンド中に鳴り響き、歓声をあげる観衆たちの興奮も最高潮に達する。
 全てのマシンが数ラップしたのち、観客は自分たちのシートに腰を落ち着けてレースの推移を見守りはじめるものの、彼らの興奮は決して冷めやらない。

 インディ500と事故はつきもので、ある種避けがたいものである。あるドライバーがインディ500における事故とはどのようなものかということを、「マシンはヒモに括りつけられたボールのようなもので、ヒモの端を持ってぶん回している時に、誰かが突然ヒモを切って飛んでいったボール(マシン)は勢いよく壁に叩きつけられる」と、巧みに描写してくれたことがある。

 
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