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THE BIG CHALLENGE 松下信治 GP2参戦レポート

Vol.2 スペイン・モナコ

第2戦スペイン
予選でトラブル発生、レース2ではスタートをミスし、厳しい展開に

GP2シリーズは第2戦をスペイン・バルセロナのカタルーニャ・サーキットで迎えました。松下選手にとっては初めて走るサーキットですが、フリー走行から徐々にコースをつかみ、予選ではその速さを発揮しつつありました。しかし、タイムアップを狙った2回目のアタック時にDRSが作動しないトラブルに見舞われ、加えてクリアラップがとれない状況となり、予選14番手に終わっています。

5月9日(土)に行われたレース1では、好スタートを切った松下選手でしたが、その後の混乱に巻き込まれポジションを落としました。ミディアムタイヤでスタートした松下選手はピットインを後半にする作戦、27周目に6番手でタイヤ交換を行います。コースに復帰した時点で17番手でしたが、フレッシュなソフトタイヤでペースを上げ、11番手でフィニッシュしました。

翌日に行われたレース2、フォーメーションラップで1台がストップ。このため松下選手は前車につられ間違ったグリッドについてしまいました。正しいグリッドに戻ろうとした松下選手はエンジンをストールさせてしまいます。スタートはやり直し、再度フォーメーションラップとなりましたが、松下選手のマシンはピットに押し戻され、ピットスタートとなりました。スプリントレースの終盤、タイヤをセーブしていた松下選手は前車を数台パスし18番手でチェッカーフラッグを受けています。

松下信治選手のコメント
「フリー走行、予選と電気系のトラブルがありましたが、コースにも慣れてもっと速く走れるイメージはありました。予選では、うまくクリアラップを取ることができず、結果としては悔しいポジションです。やはり予選で前にいないと、なかなかレースをうまく運ぶことは難しいと思います。レース1では、前戦の反省もあって前半タイヤをセーブしたのですが、ペースを抑えすぎてしまいました。前半、抑えたために同じタイヤの車にポジションを明け渡したのは失敗だったと思います。終盤追い上げてポジションを上げることができましたが、あと1周あればペースの落ちた前のクルマを抜いて8位以内に入れたと思います。

レース2では、すぐにグリッドの間違いに気が付き、ギアをリバースに入れた途端にエンジンが止まってしまいました。最後尾からのレースとなってしまい、普通にレースをすれば入賞できただけにもったいないことをしてしまいました。レースでも前半はセッティングが合わずグリップしなかったので、なかなかペースを上げられませんでしたが、後半はいいペースで走れたと思います。しかし、なかなか追い抜くのは難しく、ピットインのないレースでポジションを大きく上げることはできません。今回は、速く走れるイメージはありましたが、噛み合わない部分があり、とても悔しい結果となってしまいました」

 

第3戦モナコ
初のストリートコースで速さは実感できたものの、レース1でアクシデントを喫する

GP2第3戦は伝統のモナコGPです。モンテカルロ市街に設置されたコースは、F1においてもっとも有名なレースで、GP2もF1と同じコースで行われます。市街地コースでの経験がない松下選手ですが、フリー走行から徐々にコースに慣れてペースも上がっていきました。しかし予選は雨となり、難しいコンディションとなります。モナコでの予選は、ゼッケン番号によって2グループで行われます。偶数ゼッケンの松下選手はBグループでの予選となり、ウエットコンディションのなか6番手で、レースは11番手からスタートしました。

5月22日(金)に行われたレース1では、スタート後の混乱もこなしオープニングラップを無事に終え、7周終了時点で作戦通りにタイヤ交換を行いました。同様の作戦のマシンが目前を走行、松下選手はアウトラップでそのマシンを追い抜きにかかります。シケインでインを差した松下選手でしたが、止まり切れずに接触、GP2で初めてのリタイアを喫しました。

翌土曜日に行われたレース2では、松下選手は最後尾からスタートしました。あえて前車との間隔を開けた松下選手は、自らのペースでモナコのコースを走り切ることにしました。レース中、上位陣と同じペースで周回することはできましたが、モナコのコースで追い抜きは難しく、19番手で完走を果たしています。

松下信治選手のコメント
「僕はマカオGPも走ったことがなく、ストリートコースでの走行は初めてでした。本当に狭いしデコボコだし、最初は本当に怖かったです。無理にいってぶつけて時間を失うのが一番よくないので、チームからも最初は徐々にペースを上げていくよう言われていました。何周か走るとコースにも慣れてきて、フリー走行の最後はトラフィックでアタックできなかったのですが、それまで上位の1秒落ちくらいで走れていたので、結構いい感触でした。

予選では、いきなり雨が降ってきてしまって、どうなるか分からなかったのですが、思ったよりペースよく走れました。初めてのモナコで、しかも雨の中の予選でしたが、タイムもポジションもチームには評価してもらえました。自分自身もウエットコンディションでここまで戦えるという感触を得ることができました。モナコは、確かに難しいサーキットですが、どうしようもないという感じではなく、十分に戦えるというイメージです。このコースはドライバーがいかに走るかがすべてなので、タイムとしても、手応えとしても自信がもてました。

レース1は11番手からのスタートだったので、リバースグリッドのレース2に向けて順位を上げていくつもりでした。ソフトタイヤに換えた直後、同じ戦略の車をオーバーテイクしようとトンネル明けのシケインでインに入ったのですが、アウトラップでタイヤがまだ温まっていなかったのと、イン側がかなりダスティだったので、止まり切れずに接触してしまいました。今考えれば、モナコは抜くのがかなり難しいコースなので、あの周でいくべきではなかったのかなと思う部分もあります。でも、あそこでいけなければ最後までオーバーテイクのチャンスはなかったと思うので、結果的には残念なリザルトになってしまいましたが、いい経験になったと思います。

レース2では、最後尾からのスタートなのでポイント圏内に行くのは不可能だと思い、チームと相談して、序盤に前との間隔を大きく開けて、30周自分のペースで走ろうと決めてその通りに頑張りました。終盤、前に追いつきましたが、やはりここでは抜くことはできませんでした。結局レースペースも優勝した選手と同等で走ることができたので、レース1でのアクシデントがなければポイントが獲れていただろうと思います。

僕にとって初めての市街地コース、GP2で初めてのウエットタイヤでの走行は、とてもいい経験になりました。結果は悔しいものでしたが、着実にステップを上がっている実感はありますので、経験を次に生かして、きちんと結果を残せるよう頑張ります」

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