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THE BIG CHALLENGE 伊沢拓也 GP2参戦レポート

Vol.2 スペイン・モナコ

初めてのサーキットの難しさを実感
課題は予選でのタイムアタック

2014年、GP2 シリーズに参戦する伊沢拓也選手は、スペイン、モナコでの戦いに挑みました。

5月9日〜11日に開催されたスペインでの第2戦は、バルセロナ郊外のカタルニア・サーキットで行われました。9日の予選で23番手となった伊沢選手は、10日にレース1に臨みました。スタートでエンジンがストップした伊沢選手でしたが、ほかにもスタートできないマシンがあり、レースはスタートがやり直されることとなりました。再スタート後、伊沢選手はペースよく走行を続けます。タイヤ交換を後半に延ばす作戦を採り、ピットインを行った28周終了時点では5番手まで上昇。しかし、ピットで再びエンジンが止まってしまい、タイムロスを余儀なくされました。20番手でコースに戻った伊沢選手は、その後追い上げましたが順位を上げることはできず、36周のレースを終えました。

11日に行われたレース2は、タイヤ交換のない26周のスプリントレースです。好スタートでポジションを上げた伊沢選手は1周目に17番手、2周目に15番手となりました。レース終盤、ペースの落ちた前車を連続でパスした伊沢選手は12番手に上昇。最終ラップに後続とバトルの末、13位でチェッカーフラッグを受けました。

レース後の伊沢選手のコメント
「初めてのコースということもあり、シミュレーターで準備はしてきましたが、やはり実際には把握しきれないことがあり、予選は攻めきれなかった部分がありました。しかし、予選については手応えがあり、前戦のバーレーンよりはうまく走れたと思うのですが、それが順位に結びつかず残念でした。レース1では、スタートでグリッドに着く前にエンジンが止まってしまいました。タイヤ交換の際にもエンジンが止まってしまい、順位としては仕方ない結果となりましたが、レースでのペースは悪くなかったと思います。レース2では、前戦で課題となったスタートがうまく決まりました。スタートの方法を自分なりに変えて臨んだのですが、それがよかったと思います。レース2でもレース中のペースはよく、タイヤをうまく持たせたおかげで、後半何台かパスすることができました。スタートという一つの課題はクリアできたのですが、予選はまだ課題です。予選でのタイムの出し方がうまくいけば、全体的にまとまって、かなりいいところで戦えるという実感はあります」

5月22日〜24日、GP2第3戦の舞台はモナコです。F1グランプリと同じ市街地のコースでレースは行われました。22日の予選は、ゼッケンの奇数偶数でグループ分けされて行われ、伊沢選手はAグループでコースイン。グループ順位13番手、全体では25番手となりました。23日に行われたレース1は、市街地レースらしい波乱の展開となりました。序盤からクラッシュが相次ぎ、スタート直後にセーフティカー導入。12周終了時点ではクラッシュしたマシンがコースをふさぎ、レースは赤旗中断となります。再スタートが切られた時点で23番手の伊沢選手は、中断前にタイヤ交換を済ませていたこともあり、その後徐々にポジションを上げました。25周終了時に再びセーフティカーが入った段階では15番手まで上昇。しかし、終盤に差しかかった32周目、ミラボーコーナーで他車と接触した伊沢選手はクラッシュし、リタイアを喫しました。

24日に行われたレース2では、伊沢選手は好スタートをみせ、1周目に15番手にポジションを上げます。その後、前車の脱落で14番手となった伊沢選手ですが、11周を終えた時点でピットイン。ブレーキのトラブルにより、リタイアせざるを得ませんでした。

レース後の伊沢選手のコメント
「モナコのコースは初めてで、市街地コースということもあり、いつもより入念にシミュレーターで準備しました。走る前は緊張しましたが、実際に走ってみると思ったよりすんなりできました。より狭いマカオでのレース経験があったからかもしれません。予選については、昨年のデータなどから『最後の最後にベストラップが出る』という認識だったのですが、コンディションが変わってしまったのか、タイムを上げる前にタイヤがダメになってしまいました。こういうコースではスタートのポジションがとても重要ですので、残念な結果でした。

レース1では、ペースもよく走れていて、早めにタイヤ交換したこともうまくいき、順位を上げることができました。しかし、ミラボーコーナーで後続車が強引にインに入ってきて、逃げ場がなくなりクラッシュしてしまいました。あのまま走れていればもう少し順位を上げられただけに、悔しい結果でした。

レース2は、スタートがうまくいき、その後のコーナーでも混乱をうまく抜けて順位を上げることができました。しかし、レースが始まって早々にブレーキペダルが奥に入ってしまうようになりました。前との間隔をあけて冷やしたり、いろいろやってみたのですが、状況は悪化したのでピットに戻りました。やはりメカニカルトラブルで直らないということが分かりましたので、リタイアせざるを得ませんでした。

伝統のあるモナコでのレースは、やはり特別な雰囲気のレースでした。それを体験できたことはよかったですし、この先必ず生きてくると思います。ただ、今回はスピードが足りなくて、予選から厳しい戦いになってしまいました。これで3戦が終わり、次のレースまで少し時間があるので、これまでのことや課題を見直して臨みたいと思います」

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