ROUND08

アゼルバイジャンアゼルバイジャン バクー市街地サーキット 2017.06.22(木)

2017 AZERBAIJAN GRAND PRIX - プレビュー

2017 AZERBAIJAN GRAND PRIX - プレビュー

Hondaは、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)の第8戦アゼルバイジャンGP(開催地:バクー、6月23日~25日)に向けて準備を進めています。今大会のサーキット情報や、今週末のレースの見どころなどをレポートします。

※ FIAとは、Fédération Internationale de l'Automobile(国際自動車連盟)の略称

コメント

長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
長谷川 祐介「バクーを訪れるのは今年で2回目になりますが、カナダGPが悔しい結果に終わったこともあり、次の戦いの地であるアゼルバイジャンに向かうことを楽しみにしています。

昨年はカナダGPの翌週開催だったため、カナダから直接向かう形になりましたが、今年は1週間のインターバルを経ており、チームは一旦ファクトリーに戻ってデータを分析した上でアゼルバイジャンに向かいます。ただ、バクー市街地サーキットは、シーズンの中でも最長レベルの2km超のストレートが特徴のパワーサーキットですし、今回もチームにとっては難しいチャレンジになると思っています。

McLaren-Hondaにとっては、ここまで厳しいシーズンが続いていますが、ここから前進するためにできることのすべてを行っています。マクラーレンと一丸になって、開発に専念し、少しでも早く状況の改善を図りたいと思います」

フェルナンド・アロンソ
#FA14 MCL32-03
フェルナンド・アロンソ「バクーは素晴らしい都市で、昨年の初開催が成功裏に終わってから、アゼルバイジャンで再びレースをするのを楽しみにしていました。バクーのアンバサダーとして活動していたので、過ごした時間も長いですし、仲間もたくさんいます。F1レースを開催するのにふさわしい、本当に素敵な場所だと思います。歴史を感じさせる街並みや城壁の中にあるストレートを駆け抜けると、F1というスポーツにとっての新たな場面に出会えたと実感します。

カナダでは今季初のポイント獲得まであと一歩に迫りながらリタイアを喫しましたが、バクーへはさらに闘志を燃やして臨みます。ただ、今週末も難しい結果になるかもしれません。パワーユニットの交換によるペナルティーを受ける場合には後方からのスタートになり、幅が狭く高速ストレートとタイトコーナーが組み合わされたコースではオーバーテイクが難しいからです。ただ、不可能なわけではないので、いつも通り戦い続けるのみです。

バクー市街地サーキットは、カレンダー中で最速のコースです。ドライバーからすれば、壁に囲まれたコースをこんなスピードで走るのは、本当にエキサイティングです。レースではスタートが重要になるでしょうから、金曜と土曜にいいセッティングを見つけることが重要です」

ストフェル・バンドーン
#SV2 MCL32-04
ストフェル・バンドーン「バクーでの初めてのレースにワクワクしています。これまでシミュレーターでかなりの時間走り込んでいるので、実際の走行でもそんなに違和感はないと思います。

このサーキットは、他のコースの特性を織り交ぜたような構成で、高速となるロングストレートだけでなく、インフィールドセクションにはタイトなコーナーとハードブレーキングがあります。燃費に厳しく、ERS(エネルギー回生システム)の影響も大きいので、エンジニアにとっては忙しい週末になると思いますが、自分たちのパッケージが最大の力を発揮できるようにしていきます。

カナダはチーム全員にとって残念な結果に終わりました。バクーでパフォーマンスが急に向上するとは思いませんが、トップレベルで戦えるよう、常に学び、懸命に努力するのみです。我々は前を向き続け、どのレースであっても同じように取り組んでいきます。自分たちの持つパッケージからできる限り多くを引き出すために、必死で戦います」

エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
エリック・ブーリエ 「モントリオールではフラストレーションの残る結果となりましたが、美しい都市であるバクーへ移動し、今年からアゼルバイジャンGPと名を変えて行われる、ここでの2度目のグランプリに意識を向けています。カナダでは、週末を通じて見せたポテンシャルを十分に発揮することはできませんでしたが、バクーのコース特性を考えると、同じように厳しい戦いが待っていると思います。

しかし、我々はまだ戦いの最中ですし、立ち止まってはいません。結果とは逆に、チームの闘志と勝利への意欲はこれまで以上に高まっており、それがポイント獲得の原動力になると思います。弱点に目を向けるよりも、現状におけるベストを発揮するための策を考え、行動すべきです。

簡単な週末にならないことは分かっていますが、バクーの魅力的な古都や中世の城壁を背景にした最高のレースが待っています。昨年、初めてこの地を訪れた際の雰囲気はとても素晴らしく、ファンの皆さんから受けた声援も温かいものでした。また、風景も最高で、チームは中心部のヒルトンホテルに宿泊しますが、そこからはスタート‐フィニッシュラインが見渡せて、美しい市街地が眼下に広がります。こんな場所で、よい週末を過ごせるように願っています」

サーキット情報

名称バクー市街地サーキット
初開催 2016年
優勝者 2016 ニコ・ロズベルグ

歴史

カスピ海沿いに長いメインストレートが伸びるコースレイアウトは昨年と変わりませんが、昨年の「ヨーロッパGP」という名称から、今年は「アゼルバイジャンGP」と改められました。

ロシアGP開催地のソチから南東へわずか900㎞という距離にあるバクーは、ユネスコ世界遺産に登録されている旧市街地エリアの城壁を背景に、レースが繰り広げられます。コース全長は6.003㎞で、ベルギーのスパ・フランコルシャンに次いで、カレンダー中2番目の長さです。

市街地にもかかわらずコースは高速で、昨年の予選ではバルテリ・ボッタスが最高時速378㎞を記録。グランプリセッション中におけるF1マシンの史上最速記録を塗り替えました。

昨年のフリー走行では、ダニエル・リカルドとセルジオ・ペレスが赤旗中断を呼ぶクラッシュを喫するなど、アクシデントが多く発生しましたが、決勝では一転してアクシデントなしのレースとなりました。

McLaren-Hondaはノーポイントに終わりましたが、過去にヨーロッパGPが冠されたレースでMcLarenは4勝を挙げています。

コース

全長 6.003㎞ ※カレンダー中2番目の長さ。
2016ポールポジション ニコ・ロズベルグ 1分42秒758
2016ファステストラップ ニコ・ロズベルグ 1分46秒485(48周目)
ラップレコード 1分46秒485 (ニコ・ロズベルグ、2016年)
エンジニアリング バクー市街地サーキットでは、ストレートスピードと低速コーナーでのグリップがカギとなる。ダウンフォースレベルはイタリア・モンツァに次いで2番目に低いが、バクーにはタイヤに負荷をかける高速コーナーがないため、できる限りダウンフォースを削りながらも、タイヤを作動領域に保つセッティングを見つけなければならない。
ドライビング ターン15への進入で外側の縁石をうまく使うことがポイント。コーナーは狭く、進入は下り坂になっているので、ドライバーはコースを目一杯使うが、オーバースピードでコーナーへ入ると外側の壁にヒットするリスクがある。また、ターン1では時速365㎞近くからのブレーキングとなるが、直前に2㎞以上の全開区間があるためにブレーキが冷えており、ロックアップしやすい。
マシンセットアップ ロングストレートでのスピードを最大化するためにダウンフォースは低く設定。また、縁石を使いやすくするためにサスペンションを柔らかめにセッティングする。
グリップレベル 低い。まだ一度しかレース開催のない市街地コースなので、ウイーク最初は特にグリップがない。ただし、セッションを重ねるごとにレーシングラインの汚れが取れ、ラバーも乗ってくるので少しずつ改善される。
タイヤ スーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白) ※この組み合わせは今季3回目
ターン1までの距離 202m(カレンダー中最長はバルセロナの730m)
最長ストレート 2.1km ※ターン1へ向かう直線。カレンダー中最長
トップスピード 時速370㎞(ターン1への進入時) ※カレンダー中最速
スロットル全開率 56% ※カレンダー中最大はモンツァの75%
ブレーキ負荷 中程度。ブレーキングポイントは6カ所あり、負荷最大はターン1への進入
燃費 1周あたり2㎏を消費。カレンダー中でも高め
ERSの影響 大きい。回生量が最大となる箇所が多いため
ギアチェンジ 62回/1ラップ、3162回/レース

レース

周回数 51ラップ
スタート時間 現地時間17時(日本時間22時)
グリッド ポールポジションはコース右側で、グリップの高いレーシングライン上。しかし、ターン1は左コーナーなので、ポールシッターが出遅れれば2番グリッドのドライバーにチャンスが訪れる。
DRS ゾーンは2つ。ターン1へ向かうピット前のストレートと、ターン3へ向かうストレート。
ピットストップ 昨年勝者のニコ・ロズベルグは1ストップを選択。20周目でスーパーソフトタイヤからソフトに履き替えた。2ストップの最上位はダニエル・リカルドの7位。今年はタイヤが硬くなっており、昨年同様に1ストップが優位と予想される。
ピットレーン 295m。1回のストップでのタイムロスは約22秒。
セーフティカー 昨年のレース前にはクラッシュが起きると予想されていたものの、実際には一度もセーフティカーが入らなかった。フェルナンドのレースエンジニアであるマーク・テンプルは「昨年のレース前は、完走すればポイント獲得ができると思っていたが、そうはならなかった。ただし、今年は2度目の開催で、タイヤについての知見もあり、みんなよりアグレッシブになるはずなので、同じように考えている」と語っている
注目ポイント ピットレーン入口。最高速の出るメインストレートから進入していくレイアウトにより、かなりのスピードでピットへ向かうことになる。昨年はバルテリ・ボッタスがF1史上最速のピット進入スピードを記録した。
見どころ 厳しいサーキット。低速コーナーよりもストレートでのスピードが重視され、ランオフエリアが狭い部分もあるため、わずかなミスで、昨年のフリー走行におけるペレスやリカルドのようにクラッシュする可能性がある。

 

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