ROUND02

中国中国 上海インターナショナル・サーキット 2017.04.06(木)

F1 2017 中国

2017 CHINESE GRAND PRIX - プレビュー

Hondaは、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)の第2戦中国GP(開催地:上海、4月7日~9日)に向けて準備を進めています。今大会のサーキット情報や、今週末のレースの見どころなどをレポートします。

※ FIAとは、Fédération Internationale de l'Automobile(国際自動車連盟)の略称

コメント

長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
長谷川 祐介「オーストラリアでの開幕戦はなかなか難しいレースになりましたが、自分たちの現在の立ち位置を確認することができたと思っています。ポジティブ/ネガティブ両方の側面がありましたが、収穫としてはPUの信頼性をある程度担保できたということ、一方で課題としてはパフォーマンスにまだ改善の余地があるということが確認できました。

今回の中国GPも開幕戦以上にタフな戦いになると予想しています。

この時期の上海特有の不安定な天候は、マシンセットアップの熟成を難しくしますし、低速/中速コーナーと二本のロングストレートを併せ持つサーキットレイアウトは、PUに大きな負担をかけることになります。いつも以上に、事前の準備とセットアップが重要になります。

今回も、マシンから最大限のポテンシャルを引き出すために、マクラーレンと一丸となり全力でレースに臨みます。また、長いシーズンになるので、毎戦できるだけ多くのデータを収集し、レースを経るごとに確実な進化をみせられるように取り組んでいきたいと思っています」

フェルナンド・アロンソ
フェルナンド・アロンソ「オーストラリアのレースは、事前の想定からパフォーマンスには期待をしていなかったので、結果はちょっとしたサプライズでした。私たちにはまだすべきことがたくさんありますし、開幕前していたところに到達していませんが、裏側では必死に取り組んでいます。シーズン開幕から数戦はフライアウェイ(ヨーロッパ以外の開催)ですが、この中国GPを含めた毎戦でアップデートを投入できればと思っています。

上海では、昨年はタイヤに注目が集まり、グレイニングも頻発しましたが、今季のコンパウンドがこうしたサーキットでどういうパフォーマンスをみせるかも興味深いところです。天気は変わりやすく気温も低いので、チーム全員がセットアップに注力してバランスを見つけることが重要です。

変わった造りのコースで、特にターン1はカレンダーの中でも気に入っているコーナーです。メルボルンのような市街地コースではないので、ドライバーにとっては高速走行での腕が試される場所でもあります。新しいマシンの性能を見るのも楽しみですし、少なくともチェッカーフラッグを受けるまでトラブルなく過ごせることを願っています」

ストフェル・バンドーン
ストフェル・バンドーン「オーストラリアでの開幕戦は完走できたものの、結果にはがっかりする部分もありました。ただ、私のキャリアにおいては大きな節目になりましたし、McLaren-Hondaのドライバーとして正式なスタートを切れたことはうれしかったです。週末を通して多くを学びましたし、直面する多くの課題に素早く対応しなければなりませんでした。そうした中できちんと完走できたことを誇りに思います。

最下位というのは望んでいた結果ではありませんが、中国でも状況は大きく変わらないと思います。しかし、今週末には新しいパーツも投入されますし、マシンパッケージの力を最大限に引き出すべく全力で取り組みます。

上海はメルボルンと、第3戦のバーレーンとはかなり異なる特性ですので、週末の早い段階で適応しなければなりませんし、セットアップに全力を尽くします。低速・中速コーナーと、長いストレートの組み合わせで、いろいろな要素を少しずつ併せ持っています。フリー走行では、コース上で過ごす時間を多く持つことが重要です。金曜にできるだけ多くを学び、土日でなにができるかを見ていこうと思います」

エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
エリック・ブーリエ「McLaren-Hondaにとって、オーストラリアGPが難しいレースだったのは疑いようがありません。しかし、ポジティブな要素があったことも事実です。土曜日のペースは想定よりもよく、特にフェルナンドはグリッドのアドバンテージを活かし、力強いレースをみせてくれました。

上海は予想できない展開になることで知られています。理由はいくつかありますが、マシン、タイヤ、そしてPUにとってタフなコースであることと、天候が変わりやすいことが挙げられます。ただ、私たちのペースはライバルと比べてオーストラリアほど恵まれないだろうと予想しています。

上海インターナショナル・サーキットの特徴はメルボルンと大きく異なり、長いストレートではアルバートパーク以上に弱点が出てしまうかもしれません。しかし、我々はいつものファイティングスピリットを持って攻めていきますし、一番重要なのは、2台のマシンの信頼性を向上させることです。その後、パフォーマンスにも焦点を向けていきます」

サーキット情報

名称上海インターナショナル・サーキット
初開催 2004年
優勝者 2016 ニコ・ロズベルグ
2015 ルイス・ハミルトン
2014 ルイス・ハミルトン
2013 フェルナンド・アロンソ
2012 ニコ・ロズベルグ

歴史

中国GPは、2004年にF1カレンダーに加わりました。舞台となる上海インターナショナル・サーキットは、建設費が約4億5000万ドルと、世界で最も高価なサーキットの一つと言われており、漢字の「上」をイメージしたレイアウトが特徴です。このエリアは湿地帯で、土壌の改良のために地下40mに及ぶコンクリート杭が40,000本も打ち込まれています。

メインスタンドは3万人収容で、ピット前のストレートに沿って2棟の9階建てタワーがそびえ、その高さは140m。また、パドックには池があり、チームホスピタリティの入ったビルがその上に並び、美しい風景を作り出します。

05年のレース前には、グリッドへ向かう途中でミハエル・シューマッハとクリスチャン・アルバースが接触し、両者ともにピットスタートを強いられるという珍事もありました。

McLarenとしては、08年にルイス・ハミルトンがMP4-23で完全制覇を達成しています。予選で2番手に0.3秒差をつけてポールポジションを奪うと、レースでも約15秒差で圧勝。ハミルトンは、その2週間後の最終戦ブラジルGPで初の世界タイトルを獲得しました。このほか、2010年と11年にも優勝し、中国GPでは計3勝しています。

過去に中国人ドライバーがグランプリに出場したことはありませんが、マ・キンファがHRTより12年のイタリアGPのFP1に参加しました。

コース

全長 5.451㎞ ※カレンダーの中では10番目の長さ。最長はスパ・フランコルシャン、最短はモナコ
2016ポールポジション ニコ・ロズベルグ 1分35秒402
2016ファステストラップ ニコ・ヒュルケンベルク 1分39秒824(48周目)
ラップレコード 1分32秒238(ミハエル・シューマッハ、2004年)
エンジニアリング フロントタイヤの熱入れがポイント。多くのロングコーナーがあり、アンダーステア傾向が強くなる
ドライビング 高速コーナーであるターン1への進入がポイント。全開走行の場合、8速で突入し時速は300㎞を超えるが、コーナーの頂点では時速50㎞程度まで減速を強いられる。ここでのブレーキ圧は約2Mpa、スロットル開度は20%程度となり、ドライバーはその中でマシンのバランスを取らなければならない
マシンセットアップ これまでは多くのダウンフォースが必要となるサーキットだったが、今季のレギュレーション変更により、ダウンフォースが減らせる見込みであり、1.17㎞のバックストレートではさらなる高速度が期待される
グリップレベル 低い。アスファルトがスムーズであることに加え、スモッグによって日照が少なくなり、路面温度も低くなる
タイヤ スーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白)
ターン1までの距離 380m ※カレンダーの中で最長はバルセロナの730m
最長ストレート 1.17㎞ ※カレンダーの中で最長
トップスピード 時速340㎞(ターン14への進入時)
スロットル全開率 55%
ブレーキパッド ミディアム。8つのブレーキングポイントがあるが、ロングストレートでブレーキを冷やすことができる
冷却 マシンは全開時間が長くなるが、気温の低さもあって温度コントロールが可能となる
燃費 1周あたり1.7㎏を消費。カレンダー中の平均値に近い
ERSの影響 低い
ギアチェンジ 51回 / 1ラップ、2856回 / レース

レース

周回数 56ラップ
スタート時間 現地時間14時(日本時間15時)
グリッド ポールポジションがコース左側のレーシングライン上にあるが、そのアドバンテージはわずかと言える。昨年のレースでは2番グリッドのダニール・クビアトがポールシッターのニコ・ロズベルグをターン1でパスした
DRS ゾーンは2つ。ターン1とターン14の手前にそれぞれ設けられている。ターン14手前のほうが長く、直後に時速50㎞まで減速するヘアピンコーナーがあることから、オーバーテイクポイントとなりやすい
ピットストップ 昨年のレースでは15周目と30周目近辺での2ストップ戦略が有効だった。今季はタイヤコンパウンドが硬めのため、20周前後での1ストップが予想される
ピットレーン 351m。1回のストップでのタイムロスは約21秒と比較的短い
セーフティカー 出動率は45%と高め。過去には、特にターン1で接触する回数が多く、出動の原因となっていた。2015年は、残り3周時点でトロロッソのマックス・フェルスタッペンがメインストレート上でストップし、セーフティカー先導のままレース終了となった
注目ポイント ピット前のストレートに大きなバンプがあり、雨が降るとそこに水が溜まってスピンの原因となる。昨年の予選ではこのバンプとコース上方にある橋の影響で水が多くなり、パスカル・ウェーレインがスピンしてバリアにヒットした
見どころ 予想外の展開が多く発生する。昨年はパンク、クラッシュ、さらに多くのピットストップなどが発生。予選でのトラブルによって最後尾からスタートしたルイス・ハミルトンは、接触の影響もあり、5回ピットストップを行いながらも、7位でフィニッシュした

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