アジアロードレース選手権(ARRC)第5戦がインドのブッタ・インターナショナル・サーキットで開催されました。今大会からケガで欠場していた高橋裕紀(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)が復帰しましたが、鈴鹿8時間耐久ロードレースでケガをしたラタポン・ウィライロー(A.P.Honda Racing Thailand)は欠場。その代役として日浦大治朗が参戦しました。
高橋裕紀(#1)、ザクゥアン・ザイディ(#21)
日浦大治朗(#46)、ザクゥアン・ザイディ(#21)、小山知良(#71)
ブッタ・インターナショナル・サーキットはF1世界選手権も行われたことがあり、充実した設備が整った5.141kmのコース。1.2kmという長いストレートや多様なコーナーが組み込まれています。また、アップダウンが厳しく、攻略が難しいことでも知られています。ARRCは初開催のため、レースウイークの木曜日にサーキットの視察が行われました。
土曜日の予選、ポールポジションを獲得したのはアンソニー・ウェスト(ヤマハ)。Honda勢は高橋が5番手、日浦が7番手、小山知良(T.Pro Yuzy Honda NTS)が8番手につけました。そして迎えたレース1は、スタート直後のクラッシュでいきなり赤旗中断。16周のレースが13周に短縮され争われることになりました。ホールショットを奪ったのはザクワン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)。しかし、ジャンプスタートのストップ&ゴーペナルティーとなってしまいます。現在ザイディは、小山と同点でランキングトップ。その座を死守するためにばん回を図りますが、14位でレース1を終えました。
小山知良
日浦大治朗
そのザイディに代わってトップに立ったのは好調のウェスト。その後方でデチャ・クライサルト(ヤマハ)とアズラン・シャー・カマルザマン(カワサキ)、アハマド・ユディスティラ(カワサキ)の3選手が2番手争いを繰り広げます。その争いからクライサルトとユディスティラの2台が抜き出て、4番手をカマルザマン、高橋、アヌチャー・ ナクチャロエンスリ(ヤマハ)、羽田太河(T.ProYuzyHondaNTS)が争いました。結果、優勝はトップを守りきったウェスト。高橋は4位、2つポジションを上げた小山が6位に入りました。日浦は8位でチェッカー。羽田は4番手争いに加わっていましたが、途中リタイアに終わりました。
レース2は、スタートで飛び出したクライサルトが首位を走ります。その後をウェスト、カマルザマンが追う展開で3台がトップ集団を形成。それを高橋、ユディスティラ、ナクチャロエンスリ、ザイディ、小山が激しい4番手争いをしながら追いかけます。トップ争いはクライサルトとウェストに絞られ、カマルザマンはセカンド集団に飲み込まれます。この集団からカマルザマンと高橋が一足先に抜け出し一騎打ちのバトルを展開。しかしナクチャロエンスリが追いついてきて、再びし烈な争いが繰り広げられます。高橋は3番手浮上しようと果敢に仕掛けますが、5位でチェッカー。ウェストがダブルウインを飾り、2位にクライサルト、3位にはカマルザマンという結果になりました。そのほかHonda勢は、ザイディが6位、小山が7位、羽田が10位、日浦は16位完走となりました。
高橋裕紀
シーズンは最終戦を残すのみ、ポイントランキングでは小山がトップに浮上。2位にザイディ、3位に高橋とHonda勢がタイトルを争っています。
アジア・ドリーム・カップ(ADC)は、中村大輝が第4戦終了時点で158ポイントを重ね、ランキングトップ。2位のハーフィズ・アズマンは95ポイントとなるので、この大会で50ポイント差を付けることができればチャンピオンが決まる一戦となりました。予選でポールポジションを獲得したのはブロック・パーソン。中村は2番手、アズマンは3番手となり、フロントローに並びました。
中村大輝(#2)
中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)
レース1、中村はトップに立つとレースをリードして逃げきりの優勝を飾ります。2位に入ったヤッシン・ガブリエル・ソンマに3秒584もの差を付ける圧倒的勝利でした。アズマンは大きな集団に飲み込まれ5位でチェッカー。この結果、中村のポイントは183に伸び、アズマンは106ポイント。その差は77ポイントまで広がり、残りのレースでアズマンの逆転の可能性は消え、中村のタイトル獲得が決定しました。今シーズンは、最終戦を待たずにタイトルを決めた中村がその強さを示しました。
(左から)ヤッシン・ガブリエル・ソンマ、中村大輝、フェブリアンシャー
中村大輝
レース2は大混戦となり、最終ラップまで大きな集団が崩れることなく激しいトップ争いが繰り広げられました。アズマン、中村、パーソン、シチポン・スリムーントリ、フェブリアンシャー、ココ・タダチら、周回ごとにポジションを入れ替えながらバトルを繰り広げました。中村は首位を狙いますが、最終ラップに転倒。その後、スパートをかけたパーソンが涙の初優勝を飾り、2位にスリムーントリ、3位にアズマンが入り表彰台に登りました。日本人ライダーの渋田晨央も4位に入る健闘をみせました。
ブロック・パーソン(#7)
(左から)シチポン・スリムーントリ、ブロック・パーソン、ハーフィズ・アズマン
高橋裕紀(スーパースポーツ600cc 4位/5位)
「ケガから復帰して最初のレースは全日本の岡山国際サーキットでした。JSB1000の大きなマシンを操るのは大変でしたが、走りきることができました。今大会はまだ痛みがありましたが、レースに支障はなく挑めたと思います。トップ争いに加わることができずに残念でしたが、ランキングトップと2位の前でチェッカーを受けるという目標を果たすことができました。2戦休んでしまいましたので、自力でのチャンピオン獲得は難しいですが、最後まであきらめずに戦います」
小山知良(スーパースポーツ600cc 6位/7位)
「今回は、本当にタフなレースウイークでした。初開催のサーキットでしたが、1回目フリー走行を走っている際、2周目に他車に追突され、マシンが大破してしまいました。まともに走行できたのはフリー走行3本目から。メカニックがしっかりとしたマシンを仕上げてくれたので、現状でのベストを出しきることができたと思います。今大会でランキングトップとなりました。チャンピオンを獲得できるよう最大限の努力をして最終戦に挑みます」
日浦大治朗(スーパースポーツ600cc 8位/16位)
「突然の代役参加でしたが、アジアロードのレベルの高さを感じることができました。初めてのチーム、マシン、そして大会だったので、思いっきりぶつかる以外にありませんでした。いい結果とは言えませんが、とても楽しく充実した時間を過ごすことができました。この経験を全日本最終戦に生かしたいと思います」
中村大輝(アジア・ドリーム・カップ 優勝/17位)
「勝ってチャンピオンを決めたいと思っていました。その願いが叶って、とてもうれしいです。レース2も優勝しようと思いましたが、その気持ちが強すぎて、焦って転倒してしまいました。最終戦では、ダブルウインできるようにがんばります。先輩の尾野(弘樹)選手や(カイルール・イダム)パウィ選手のように、いつか世界選手権で活躍できるライダーになれるようにがんばりたいと思います」
渋田晨央(アジア・ドリーム・カップ 11位/4位)
「F1も開催されるサーキットということで、走ることを楽しみにしていました。実際、路面もきれいで走っていて楽しいコースでした。練習で転倒してしまいましたが、攻める方向でセッティングを進め、トップ集団で走ることができました。得るものが多くある大会でした。それを生かして、最終戦では優勝を目指します」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 13 | A.ウエスト | ヤマハ | 13 | 25'21.592 |
2 | 24 | D.クライサルト | ヤマハ | 13 | +4.786 |
3 | 33 | A.ユディスティラ | カワサキ | 13 | +5.899 |
4 | 1 | 高橋裕紀 | Honda | 13 | +8.438 |
5 | 25 | A.シャー・カマルザマン | カワサキ | 13 | +9.242 |
6 | 71 | 小山知良 | Honda | 13 | +10.009 |
8 | 46 | 日浦大治朗 | Honda | 13 | +12.806 |
11 | 100 | ティティポン・ワロコーン | Honda | 13 | +18.262 |
12 | 31 | ゲリー・サリム | Honda | 13 | +19.754 |
14 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 13 | +35.482 |
16 | 16 | イルファン・アルディアンシャー | Honda | 13 | +57.341 |
17 | 91 | ジャクリット・サワンサワット | Honda | 13 | +1'03.666 |
DNF | 77 | 羽田太河 | Honda | 12 | +1Lap |
スーパースポーツ 600cc(レース2) リザルト
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 13 | A.ウエスト | ヤマハ | 16 | 31'03.153 |
2 | 24 | D.クライサルト | ヤマハ | 16 | +3.199 |
3 | 25 | A.シャー・カマルザマン | カワサキ | 16 | +7.538 |
4 | 14 | A.ナクチャロエンスリ | ヤマハ | 16 | +8.565 |
5 | 1 | 高橋裕紀 | Honda | 16 | +8.772 |
6 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 16 | +9.042 |
7 | 71 | 小山知良 | Honda | 16 | +9.509 |
10 | 77 | 羽田太河 | Honda | 16 | +20.868 |
12 | 100 | ティティポン・ワロコーン | Honda | 16 | +23.492 |
15 | 16 | イルファン・アルディアンシャー | Honda | 16 | +1'06.079 |
16 | 46 | 日浦大治朗 | Honda | 15 | +1Lap |
DNF | 91 | ジャクリット・サワンサワット | Honda | 13 | +3Laps |
DNF | 31 | ゲリー・サリム | Honda | 3 | +13Laps |
アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 | No. | ライダー | 国・地域 | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 中村大輝 | 日本 | 7 | 17'01.674 |
2 | 9 | ヤッシン・ガブリエル・ソンマ | インドネシア | 7 | +3.584 |
3 | 5 | フェブリアンシャー | インドネシア | 7 | +4.430 |
4 | 13 | ココ・タダチ | フィリピン | 7 | +4.636 |
5 | 1 | ハーフィズ・アズマン | マレーシア | 7 | +4.903 |
6 | 12 | シチポン・スリムーントリ | タイ | 7 | +4.958 |
7 | 17 | ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン | インド | 7 | +5.122 |
8 | 4 | ハリス・ファーハン | マレーシア | 7 | +5.233 |
9 | 8 | ゾウシェン・ジュンジー | 中国 | 7 | +5.730 |
10 | 18 | セシュー・ラジブ | インド | 7 | +9.197 |
11 | 3 | 渋田晨央 | 日本 | 7 | +9.269 |
12 | 6 | ウォラフォード・ニャンサクホンサク | タイ | 7 | +9.581 |
13 | 21 | S.マザナクマール | インド | 7 | +22.228 |
14 | 15 | ブイ・デュイ・トン | ベトナム | 7 | +22.433 |
15 | 10 | ヤーデン・グナヴァデナ | スリランカ | 7 | +23.043 |
16 | 14 | コーリー・ブリッファ | オーストラリア | 7 | +23.243 |
17 | 16 | ユウ・ズージュン | 台湾 | 7 | +1'00.275 |
18 | 7 | ブロック・パーソン | オーストラリア | 7 | +2'52.578 |
アジア・ドリーム・カップ(レース2)
順位 | No. | ライダー | 国・地域 | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | ブロック・パーソン | オーストラリア | 7 | 17'01.625 |
2 | 12 | シチポン・スリムーントリ | タイ | 7 | +0.513 |
3 | 1 | ハーフィズ・アズマン | マレーシア | 7 | +0.915 |
4 | 3 | 渋田晨央 | 日本 | 7 | +1.232 |
5 | 13 | ココ・タダチ | フィリピン | 7 | +1.555 |
6 | 4 | ハリス・ファーハン | マレーシア | 7 | +1.926 |
7 | 5 | フェブリアンシャー | インドネシア | 7 | +2.247 |
8 | 8 | ゾウシェン・ジュンジー | 中国 | 7 | +2.271 |
9 | 15 | ブイ・デュイ・トン | ベトナム | 7 | +4.721 |
10 | 6 | ウォラフォード・ニャンサクホンサク | タイ | 7 | +4.769 |
11 | 17 | ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン | インド | 7 | +5.294 |
12 | 9 | ヤッシン・ガブリエル・ソンマ | インドネシア | 7 | +6.721 |
13 | 10 | ヤーデン・グナヴァデナ | スリランカ | 7 | +17.527 |
14 | 14 | コーリー・ブリッファ | オーストラリア | 7 | +17.622 |
15 | 21 | S.マザナクマール | インド | 7 | +31.931 |
16 | 16 | ユウ・ズージュン | 台湾 | 7 | +1'01.310 |
17 | 2 | 中村大輝 | 日本 | 7 | +1'09.481 |
DNF | 18 | セシュー・ラジブ | インド | 1 | +6Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | ||
---|---|---|---|---|---|---|
▲ | 1 | 71 | 小山知良 | Honda | 150 | |
▼ | 2 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 143 | |
- | 3 | 1 | 高橋裕紀 | Honda | 128 | |
▲ | 4 | 25 | A.シャー・カマルザマン | カワサキ | 116 | |
▼ | 5 | 20 | ディマス・プラタマ | Honda | 99 | |
▲ | 6 | 13 | A.ウエスト | ヤマハ | 99 | |
▼ | 7 | 31 | ゲリー・サリム | Honda | 98 | |
▼ | 10 | 77 | 羽田太河 | Honda | 68 | |
▼ | 14 | 100 | ティティポン・ワロコーン | Honda | 43 | |
▼ | 15 | 59 | ラタポン・ウィライロー | Honda | 39 | |
▼ | 16 | 91 | ジャクリット・サワンサワット | Honda | 26 | |
▼ | 18 | 34 | 岩田悟 | Honda | 13 | |
▲ | 22 | 46 | 日浦大治朗 | Honda | 8 | |
▼ | 27 | 69 | シャンカール・サラト・クマール | Honda | 1 | |
▲ | 28 | 16 | イルファン・アルディアンシャー | Honda | 1 |
ライダー(アジア・ドリーム・カップ)
順位 | No. | ライダー | 国・地域 | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 2 | 中村大輝 | 日本 | 183 |
- | 2 | 1 | ハーフィズ・アズマン | マレーシア | 122 |
▲ | 3 | 7 | ブロック・パーソン | オーストラリア | 114 |
- | 3 | 5 | マフド・フェブリアンシャー | インドネシア | 114 |
▲ | 5 | 13 | ココ・タダチ | フィリピン | 106.5 |
▼ | 6 | 8 | ゾウシェン・ジュンジー | 中国 | 101 |
▲ | 7 | 12 | シチポン・スリムーントリ | タイ | 81 |
- | 8 | 9 | ヤッシン・ガブリエル・ソンマ | インドネシア | 80 |
- | 9 | 4 | ハリス・ファーハン | マレーシア | 71 |
▼ | 10 | 6 | ウォラフォード・ニャンサクホンサク | タイ | 71 |
- | 11 | 17 | ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン | インド | 63 |
▲ | 12 | 3 | 渋田晨央 | 日本 | 39 |
▼ | 13 | 11 | アザール・ヌール | シンガポール | 38.5 |
▼ | 14 | 15 | ブイ・デュイ・トン | ベトナム | 38.5 |
▼ | 15 | 10 | ヤーデン・グナヴァデナ | スリランカ | 31 |
- | 16 | 18 | セシュー・ラジブ | インド | 26 |
- | 17 | 14 | コーリー・ブリッファ | オーストラリア | 21 |
- | 18 | 113 | 片山千彩都 | 日本 | 15.5 |
▲ | 19 | 21 | S.マザナクマール | インド | 4 |
▼ | 20 | 16 | ユウ・ズージュン | 台湾 | 3 |