2016.10.01-02 アジアロードレース選手権 第5戦 インドインド

高橋が4位/5位で総合3位をキープ。6位/7位の小山はランキングトップに躍り出る

2016年10月1日(土)、2日(日)・決勝  会場:ブッタ・インターナショナル・サーキット
スーパースポーツ 600cc(レース1) レポート

アジアロードレース選手権(ARRC)第5戦がインドのブッタ・インターナショナル・サーキットで開催されました。今大会からケガで欠場していた高橋裕紀(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)が復帰しましたが、鈴鹿8時間耐久ロードレースでケガをしたラタポン・ウィライロー(A.P.Honda Racing Thailand)は欠場。その代役として日浦大治朗が参戦しました。

高橋裕紀(#1)、ザクゥアン・ザイディ(#21)高橋裕紀(#1)、ザクゥアン・ザイディ(#21)

日浦大治朗(#46)、ザクゥアン・ザイディ(#21)、小山知良(#71)日浦大治朗(#46)、ザクゥアン・ザイディ(#21)、小山知良(#71)

ブッタ・インターナショナル・サーキットはF1世界選手権も行われたことがあり、充実した設備が整った5.141kmのコース。1.2kmという長いストレートや多様なコーナーが組み込まれています。また、アップダウンが厳しく、攻略が難しいことでも知られています。ARRCは初開催のため、レースウイークの木曜日にサーキットの視察が行われました。

土曜日の予選、ポールポジションを獲得したのはアンソニー・ウェスト(ヤマハ)。Honda勢は高橋が5番手、日浦が7番手、小山知良(T.Pro Yuzy Honda NTS)が8番手につけました。そして迎えたレース1は、スタート直後のクラッシュでいきなり赤旗中断。16周のレースが13周に短縮され争われることになりました。ホールショットを奪ったのはザクワン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)。しかし、ジャンプスタートのストップ&ゴーペナルティーとなってしまいます。現在ザイディは、小山と同点でランキングトップ。その座を死守するためにばん回を図りますが、14位でレース1を終えました。

小山知良小山知良

日浦大治朗日浦大治朗

そのザイディに代わってトップに立ったのは好調のウェスト。その後方でデチャ・クライサルト(ヤマハ)とアズラン・シャー・カマルザマン(カワサキ)、アハマド・ユディスティラ(カワサキ)の3選手が2番手争いを繰り広げます。その争いからクライサルトとユディスティラの2台が抜き出て、4番手をカマルザマン、高橋、アヌチャー・ ナクチャロエンスリ(ヤマハ)、羽田太河(T.ProYuzyHondaNTS)が争いました。結果、優勝はトップを守りきったウェスト。高橋は4位、2つポジションを上げた小山が6位に入りました。日浦は8位でチェッカー。羽田は4番手争いに加わっていましたが、途中リタイアに終わりました。

スーパースポーツ 600cc(レース2) レポート

レース2は、スタートで飛び出したクライサルトが首位を走ります。その後をウェスト、カマルザマンが追う展開で3台がトップ集団を形成。それを高橋、ユディスティラ、ナクチャロエンスリ、ザイディ、小山が激しい4番手争いをしながら追いかけます。トップ争いはクライサルトとウェストに絞られ、カマルザマンはセカンド集団に飲み込まれます。この集団からカマルザマンと高橋が一足先に抜け出し一騎打ちのバトルを展開。しかしナクチャロエンスリが追いついてきて、再びし烈な争いが繰り広げられます。高橋は3番手浮上しようと果敢に仕掛けますが、5位でチェッカー。ウェストがダブルウインを飾り、2位にクライサルト、3位にはカマルザマンという結果になりました。そのほかHonda勢は、ザイディが6位、小山が7位、羽田が10位、日浦は16位完走となりました。

高橋裕紀高橋裕紀

シーズンは最終戦を残すのみ、ポイントランキングでは小山がトップに浮上。2位にザイディ、3位に高橋とHonda勢がタイトルを争っています。

アジア・ドリーム・カップ レポート

アジア・ドリーム・カップ(ADC)は、中村大輝が第4戦終了時点で158ポイントを重ね、ランキングトップ。2位のハーフィズ・アズマンは95ポイントとなるので、この大会で50ポイント差を付けることができればチャンピオンが決まる一戦となりました。予選でポールポジションを獲得したのはブロック・パーソン。中村は2番手、アズマンは3番手となり、フロントローに並びました。

中村大輝(#2)中村大輝(#2)

中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)

レース1、中村はトップに立つとレースをリードして逃げきりの優勝を飾ります。2位に入ったヤッシン・ガブリエル・ソンマに3秒584もの差を付ける圧倒的勝利でした。アズマンは大きな集団に飲み込まれ5位でチェッカー。この結果、中村のポイントは183に伸び、アズマンは106ポイント。その差は77ポイントまで広がり、残りのレースでアズマンの逆転の可能性は消え、中村のタイトル獲得が決定しました。今シーズンは、最終戦を待たずにタイトルを決めた中村がその強さを示しました。

(左から)ヤッシン・ガブリエル・ソンマ、中村大輝、フェブリアンシャー(左から)ヤッシン・ガブリエル・ソンマ、中村大輝、フェブリアンシャー

中村大輝中村大輝

レース2は大混戦となり、最終ラップまで大きな集団が崩れることなく激しいトップ争いが繰り広げられました。アズマン、中村、パーソン、シチポン・スリムーントリ、フェブリアンシャー、ココ・タダチら、周回ごとにポジションを入れ替えながらバトルを繰り広げました。中村は首位を狙いますが、最終ラップに転倒。その後、スパートをかけたパーソンが涙の初優勝を飾り、2位にスリムーントリ、3位にアズマンが入り表彰台に登りました。日本人ライダーの渋田晨央も4位に入る健闘をみせました。

ブロック・パーソン(#7)ブロック・パーソン(#7)

(左から)シチポン・スリムーントリ、ブロック・パーソン、ハーフィズ・アズマン(左から)シチポン・スリムーントリ、ブロック・パーソン、ハーフィズ・アズマン

スーパースポーツ 600cc コメント

高橋裕紀(スーパースポーツ600cc 4位/5位)
「ケガから復帰して最初のレースは全日本の岡山国際サーキットでした。JSB1000の大きなマシンを操るのは大変でしたが、走りきることができました。今大会はまだ痛みがありましたが、レースに支障はなく挑めたと思います。トップ争いに加わることができずに残念でしたが、ランキングトップと2位の前でチェッカーを受けるという目標を果たすことができました。2戦休んでしまいましたので、自力でのチャンピオン獲得は難しいですが、最後まであきらめずに戦います」

小山知良(スーパースポーツ600cc 6位/7位)
「今回は、本当にタフなレースウイークでした。初開催のサーキットでしたが、1回目フリー走行を走っている際、2周目に他車に追突され、マシンが大破してしまいました。まともに走行できたのはフリー走行3本目から。メカニックがしっかりとしたマシンを仕上げてくれたので、現状でのベストを出しきることができたと思います。今大会でランキングトップとなりました。チャンピオンを獲得できるよう最大限の努力をして最終戦に挑みます」

日浦大治朗(スーパースポーツ600cc 8位/16位)
「突然の代役参加でしたが、アジアロードのレベルの高さを感じることができました。初めてのチーム、マシン、そして大会だったので、思いっきりぶつかる以外にありませんでした。いい結果とは言えませんが、とても楽しく充実した時間を過ごすことができました。この経験を全日本最終戦に生かしたいと思います」

アジア・ドリーム・カップ コメント

中村大輝(アジア・ドリーム・カップ 優勝/17位)
「勝ってチャンピオンを決めたいと思っていました。その願いが叶って、とてもうれしいです。レース2も優勝しようと思いましたが、その気持ちが強すぎて、焦って転倒してしまいました。最終戦では、ダブルウインできるようにがんばります。先輩の尾野(弘樹)選手や(カイルール・イダム)パウィ選手のように、いつか世界選手権で活躍できるライダーになれるようにがんばりたいと思います」

渋田晨央(アジア・ドリーム・カップ 11位/4位)
「F1も開催されるサーキットということで、走ることを楽しみにしていました。実際、路面もきれいで走っていて楽しいコースでした。練習で転倒してしまいましたが、攻める方向でセッティングを進め、トップ集団で走ることができました。得るものが多くある大会でした。それを生かして、最終戦では優勝を目指します」

スーパースポーツ 600cc(レース1) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
113A.ウエストヤマハ13 25'21.592
224D.クライサルトヤマハ13+4.786
333A.ユディスティラカワサキ13+5.899
41高橋裕紀Honda13+8.438
525A.シャー・カマルザマンカワサキ13+9.242
671小山知良Honda13+10.009
 
846 日浦大治朗 Honda13+12.806
11100ティティポン・ワロコーンHonda13+18.262
1231ゲリー・サリムHonda13+19.754
1421ザクゥアン・ザイディHonda13+35.482
1616 イルファン・アルディアンシャー Honda13+57.341
1791ジャクリット・サワンサワットHonda13+1'03.666
DNF77羽田太河Honda12+1Lap

スーパースポーツ 600cc(レース2) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
113A.ウエストヤマハ1631'03.153
224D.クライサルトヤマハ16+3.199
325A.シャー・カマルザマンカワサキ16+7.538
414A.ナクチャロエンスリヤマハ16+8.565
51高橋裕紀Honda16+8.772
621ザクゥアン・ザイディHonda16+9.042
 
771小山知良Honda16+9.509
1077羽田太河Honda16+20.868
12100ティティポン・ワロコーンHonda16+23.492
1516イルファン・アルディアンシャーHonda16+1'06.079
1646日浦大治朗Honda15+1Lap
DNF91ジャクリット・サワンサワットHonda13+3Laps
DNF31ゲリー・サリムHonda3+13Laps

アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
12中村大輝日本7 17'01.674
29ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア7+3.584
35フェブリアンシャーインドネシア7 +4.430
413ココ・タダチフィリピン7+4.636
51ハーフィズ・アズマンマレーシア7+4.903
612シチポン・スリムーントリタイ7+4.958
717ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド7+5.122
84ハリス・ファーハンマレーシア7+5.233
98ゾウシェン・ジュンジー中国7 +5.730
1018セシュー・ラジブインド7+9.197
113渋田晨央日本7+9.269
126ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ7+9.581
1321S.マザナクマールインド7+22.228
1415ブイ・デュイ・トンベトナム7+22.433
1510ヤーデン・グナヴァデナスリランカ7+23.043
1614コーリー・ブリッファオーストラリア7+23.243
1716ユウ・ズージュン台湾7+1'00.275
187ブロック・パーソンオーストラリア7+2'52.578

アジア・ドリーム・カップ(レース2)
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
17ブロック・パーソンオーストラリア717'01.625
212シチポン・スリムーントリタイ7 +0.513
31ハーフィズ・アズマンマレーシア7+0.915
43渋田晨央日本7+1.232
513ココ・タダチフィリピン7+1.555
64ハリス・ファーハンマレーシア7+1.926
75フェブリアンシャーインドネシア7+2.247
88ゾウシェン・ジュンジー中国7+2.271
915ブイ・デュイ・トンベトナム7+4.721
106ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ7+4.769
1117ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド7+5.294
129ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア7+6.721
1310ヤーデン・グナヴァデナスリランカ7+17.527
1414コーリー・ブリッファオーストラリア7+17.622
1521S.マザナクマールインド7+31.931
1616ユウ・ズージュン台湾7+1'01.310
172中村大輝日本7+1'09.481
DNF18セシュー・ラジブインド1+6Laps
ライダー(スーパースポーツ 600cc)
順位 No. ライダー マシン 総合ポイント
1 71 小山知良Honda150
2 21 ザクゥアン・ザイディHonda143
- 3 1 高橋裕紀Honda128
4 25 A.シャー・カマルザマンカワサキ116
5 20 ディマス・プラタマHonda99
6 13 A.ウエストヤマハ99
 
7 31 ゲリー・サリムHonda98
10 77 羽田太河Honda68
14 100 ティティポン・ワロコーンHonda43
15 59 ラタポン・ウィライローHonda39
16 91 ジャクリット・サワンサワットHonda26
18 34 岩田悟Honda13
22 46 日浦大治朗Honda8
27 69 シャンカール・サラト・クマールHonda1
28 16 イルファン・アルディアンシャーHonda1

ライダー(アジア・ドリーム・カップ)
順位 No. ライダー 国・地域 総合ポイント
- 1 2 中村大輝 日本183
- 2 1 ハーフィズ・アズマン マレーシア122
3 7 ブロック・パーソン オーストラリア114
- 3 5 マフド・フェブリアンシャー インドネシア114
5 13 ココ・タダチ フィリピン106.5
6 8 ゾウシェン・ジュンジー 中国101
7 12 シチポン・スリムーントリ タイ81
- 8 9 ヤッシン・ガブリエル・ソンマ インドネシア80
- 9 4 ハリス・ファーハン マレーシア71
10 6 ウォラフォード・ニャンサクホンサク タイ71
- 11 17 ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン インド63
12 3 渋田晨央 日本39
13 11 アザール・ヌール シンガポール38.5
14 15 ブイ・デュイ・トン ベトナム38.5
15 10 ヤーデン・グナヴァデナ スリランカ31
- 16 18 セシュー・ラジブ インド26
- 17 14 コーリー・ブリッファ オーストラリア21
- 18 113 片山千彩都 日本15.5
19 21 S.マザナクマール インド4
20 16 ユウ・ズージュン 台湾3

高橋裕紀(#1)、ザクゥアン・ザイディ(#21)

高橋裕紀

小山知良

日浦大治朗

日浦大治朗(#46)、ザクゥアン・ザイディ(#21)、小山知良(#71)

中村大輝(#2)

中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)

(左から)ヤッシン・ガブリエル・ソンマ、中村大輝、フェブリアンシャー

中村大輝

ブロック・パーソン(#7)

(左から)シチポン・スリムーントリ、ブロック・パーソン、ハーフィズ・アズマン

シチサック・オンチャイアン

シチサック・オンチャイアン(左)