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#USLETE SPECIAL

夢をつかむために必要なこと

佐藤琢磨
鈴鹿サーキットレーシングスクール
SRS-Kart、SRS-Formulaプリンシパル

2019年3月、鈴鹿サーキットで行われた鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)の2019年度入校式。SRS-Kart、SRS-Formulaの佐藤琢磨プリンシパル(≒校長)が世界で活躍するプロのライダー/ドライバーになる― そんな夢を叶えるために集まった40名の生徒に向けたコトバです。

こんにちは。この度鈴鹿サーキットレーシングスクールのPrincipalに就任させていただいたレーシングドライバーの佐藤琢磨です。みなさん今日いきいきしていると思います。入校おめでとうございます。ここまでそれぞれたくさんの厳しい道を乗り越えてきたライダー、ドライバーのみんなだと思うのですが、今日が本当のスタート。ここから鈴鹿サーキットという世界に誇れる環境の中で思う存分走っていただいて、本当にたくさんのチャレンジをしてほしいと思っています。

ここでの失敗は、
多ければ多いほどいい。

今日カートの子たちとこんなディスカッションをしました。レースはチャレンジしてこそ道が開ける世界ですが、やはり「結果」が必要です。リスクマネジメントもしなければならない。普段の力が出なかったり、やりたかったけどできない、そういうジレンマを抱えながら、一方で最も練習がしにくいスポーツ、過酷な競技だと思っています。スクールなら、思う存分失敗できる。ここは挑戦する場所です。日々一番になることを目指す、そういう姿勢で取り組んでいただきたいと思います。自分の限界を高めるために挑戦してほしいと思っています。

先ほど、岡田Principalからお話があった「分析する」。自分自身を見つめて、自分自身を分析して、効率よく、どうやって限られた時間、限られたリソースの中で結果を出すかということを常に考えてもらいたい。20日間以上に渡るスクール、世界でも恵まれた環境だと思いますが、それに甘んじることなく、一日一日を大切にしてもらいたい。家を出てスクールに来るのは合宿気分で楽しいと思います。楽しい仲間を作るということもここでは勉強できますが、お互いに最高のライバルだと思います。仲間のことを信じて情報交換して、自分たちを高める。だけど、ライバルである。全員がこのままトッププロになれないかもしれない。世界、日本のトップで戦えると僕は信じていますが、それは非常に厳しい世界になってくると思っています。

日々の生活スタイルから自覚をして、今まで「スクール生だから恥ずかしくない行動をしなさい」と言われてきたかもしれませんが、恥ずかしいとかレベルの低い話ではなく、さすがだなと思われる日本のモータースポーツを支えるドライバー・ライダーになってもらいたい。そして世界で活躍する日本のアスリートとして、オリンピック選手と同じような感動を日本、世界の人に見せてもらいたいと思います。

自分がスクールに入ったのは97年ですから、22年前です。ドキドキ緊張していましたし、「自分はここで夢をつかむんだ」とそういう思いで座っていたことを思い出します。前校長の中嶋悟さんから「一生懸命悔いなくがんばってください」と、入校式のときに言われたことも未だに残っています。自分としては、その気持ち一つでやってきました。

僕の場合は技術が伴っていなくて、たくさんの失敗をしました。失敗というのは、自分自身を見つめなおして高める最大のチャンスだと思っています。失敗は実戦では少なければ少ないほうがいいのですが、このスクールでは思い切りチャレンジしてほしい。みんな才能があると思っていますが、(才能があるのは)人生の中ではほんの一部です。

自分が最高のパフォーマンスを
出すための環境は
自分自身で作る

(Fのスクール生のほうを指しながら)背筋を正してしっかりと聞いている、気持ちが伝わってくるんですよね。座っているときも背筋を伸ばして人の話を聞く、これはすごく大切なこと。これをしたからといって、サーキットで100分の1秒タイムが早くなるわけではないです。

でも、これをすることによって周りの人が動きます。自分はどうやって成功するのか、自分なりのイメージがあると思いますし、ここでは走りとかブレーキングポイントとかはあまり教えません。それは意味がないことで、自分自身で学ばなければいけないことですから。ここではどういう魅力的な人間になるかのお手伝いはできる。それをみんなに自覚してほしいですね。

ここではクルマ、道具を操る能力があるのは、みんな分かっていますから、その一歩先、自分が最高のパフォーマンスを出すための環境を自分自身で作る。自分が中心になる、求心力って言いますよね。周りを惹きつける力、それがないと上のカテゴリーでは成功できない。速いやつは世の中ごまんといます。その中でどうやって勝ち抜いていくか、こいつをチャンピオンにしたいなと心の底から思ってもらえるドライバーにならないと生き残っていけない。

ライダーもそう。岡田Principalのように世界チャンピオン、日本人ライダーの世界チャンピオンが何名も生まれています。4輪では残念ながら世界チャンピオンはまだまだですけど。F1では最高のシートに乗らないと(その座に)立てない、それくらい厳しい世界。でもそこにたどりつくためには速くて魅力のある人間力、それがこのSRSから輩出したドライバー・ライダーに備わってくれていたら、日本のモータースポーツ界、日本のドライバー・ライダーってすごいんだと世界に示すことができるのではと思います。

自分もそれを目指して現役で走っています。

いま自分が座っているシートは
当たり前じゃない。
全ての人に感謝をして、
負けない努力を。

僕は今日来て、みんなの資料を見ました。3日間お疲れ様でした。最高のスタートが切れていると見ていて思います。みんな真剣でしたし、みんなすごいいい汗をかいていたし、目がよかったし、本当に情熱を感じました。今回の改革でたくさんのミーティングを重ねて、特にスクールカーのフォーミュラのほうを、思い切り走れるような環境を作ろうよということでクルマを調整しようと話をしています。そういうことから始めて、世界で頂点を目指せる人材を育てるために我々も最大限のサポートをしたいと思っています。僕が残念ながらスクールにほとんど顔を出せないですから、中野Vice Principalと密に連絡を取って、鬼監督としてみんなを叩き上げてくれると思うので、非常に楽しみにしています。みんなも自覚と意識を持ってね。

あと、心のどこかで考えていてほしいのですが、いま自分が座っているシートが当たり前と思わないでほしいです。みんな才能があって、なにかしらの条件で選ばれたのは事実なのですが、この背景にはたくさん悔しい思いをしたドライバー・ライダーがいます。この席に座りたくても座れなかった人がたくさんいます。その人たちの力と気持ちを無駄にしないように、ここに来ている時間を本当に大切にしてほしい。この席に座らせてくれたご両親・関係者に本当に感謝をして、メンテナンスしてくれるメカニック、講師陣に感謝と礼儀を持って、真摯に、でも負けないように。最高の走りをして、最高の人間になってください。

夏の間も何度か帰ってこられると思うので、成長をすごく楽しみにしています。秋、冬、スカラシップ、その次の年度のカテゴリーにがんばるみなさんと会えるのをすごく楽しみにしています。

1年間一緒にがんばっていきましょう!ありがとうございました。