S2000

ありがとう、高根沢の兄弟たち

杣夫の末裔さん (30代/愛媛県)

2014年11月8日の投稿

夢を叶えるのも一苦労だが、夢を維持するのも難しい事だと思う。S2000と初代インサイト、1999年に同じファクトリーから世に出た兄弟車15周年というテーマで本当は投稿したかったが、今年はその2台を失う事になってしまった。

初代インサイトは足回りをやってしまい、走行が14万km近く来ていたこともあり、もういいだろうと判断した。セカンドオーナーとして4年超7万キロ余走行したが、やはり実燃費の良さと軽快さが美点だった。私が乗っている間の積算燃費は30km/Lに達していた。5MTはモーターアシスト込みで辛うじて許されるようなハイギアで、高速道路登坂では5速で走っていたのを、ブリッピングから3速に叩き込むようなテクニックを要求されたが、それも今となっては感慨深い。

S2000は鈴鹿サーキット南コースでエンジンブローという最後を遂げた。シフトミスをした訳ではないし、オイル管理も行っていたが走行8万キロを前にしての予期せぬ別れとなった。場所を選んで踏むべき所ではきちんと上まで引っ張っていた為、負荷はそれなりだったと思う。これもまたセカンドオーナーとして6年4万km余りを走行したが、車の楽しさも難しさも教えてもらったと思っている。エンジンを積み替えての再起も考え、迷いに迷ったものの、鈴鹿での終焉がとても絵になるというか、この車両の性格上相応しく思え降りる事となった。オープンカーとはとても思えない頑強なボディワークと超高回転型エンジンの咆哮を生涯忘れる事はないだろう。

性格は両極端な兄弟車だったが、彼らに出会えて本当に幸せだった。何より、乗り味から開発に携わった技術者たちの、この車で自分たちの精神の形、価値を世に問うのだという意気を感じられたのが良かった。NSXだけで生活するのは流石に不便なので、早々に次の夢を探さなければならない。ただ、また懲りずに買うのは2ドアのクーペかスポーツカーなのだと思う。

S2000
S2000