元々、「自動車は単なる移動手段ではなく運転そのものが楽しめるもので無くてならない」という持論を持って車を購入してきた私は、前車のエディックスを買う前はドイツメーカーの車（クーペ）を乗り継いでいました。
2003年当時「6人以上乗ることが出来て、それでいて普通自動車の領域にある車。」という条件で候補に挙がったのが前車のエディックスでした。高回転まで回す事の出来るVTECエンジン、シビックを基本としたシャシーで背がミニバンにしては高くない点が好印象でした。
素直なハンドリングと十分なパワー、6人乗っても荷物室を犠牲にしない点など、非常に高いバランスの良い車だと思いました。エディックスは自分と家族のコンセプトにぴたりと当てはまったこともあり購入して以来、気がつけば11年間も乗っていました。
しかしながら11年の間に幾つかの環境が変わりました。子供の成長も変化の一つですが、最大の変化は転勤による道路事情でした。道の広かった九州から、道の狭い土地に引っ越したことでエディックスがもつ幅の広さがデメリットとして大きくなりました。
「子供の塾や習い事の送り迎えで気を遣う、スライドドアの車が欲しい。」と言い出したのは嫁でした。子供が大きくなってから嫁がエディックスを運転することが多くなっておりエディックスの幅の広さやスイングドアによる開け閉めなど、狭い土地ならではの気を遣うことが多くなっていたのです。

家庭事情に当てはまりそうな車を探し、多数のディーラー巡りをしました。国内外問わず、幾つもの車を試乗しました。しかし箱型ミニバンは試乗しませんでした。
それは私の「箱型ミニバンは大空間を運ぶだけで運転する人も乗る人も犠牲を強いられる。」と、嫁の「大きすぎて運転ができない。」という思いがあったからです。
ようやく購入候補に挙がったのはフリードでした。
フリード試乗の後、何気なく横にあったステップ ワゴンが目に止まりました。大きな印象ですが、わくわくゲートに目が行きました。使い勝手は良さそうです。
ディーラーの人は「幅が狭い分、運転はしやすいですよ。長さもバック以外は気になりませんよ。ミニバンもだいぶ進化しています。乗ってみてはどうですか？」と言ってくれました。
そこで渋る嫁をセカンドシート（キャプテンシート仕様）に乗せ、「試乗だけ」という約束で嫁の了解を取り半ば強引にステップ ワゴンを試乗したのです。
驚きました！
まずはパワー。1.5Lと言われなければ全く解らないエンジン。軽々と加速します。エディックスよりも車重がありながら、排気量が小さいとは思えません。
静寂性も素晴らしい。エディックスも回さなければ煩くないと思っていましたが、同等の加速では静寂性は圧倒的にステップ ワゴンに軍配が上がります。一番後ろのシートでも大声で話す必要はありません。
そして乗り心地。スパーダは固めということでしたが、エディックスに比べると突き上げ感が全く違います。特に2列目シートの快適性は高かったと評判でした。
ハンドルは軽いのに違和感がありました。しかしハンドリングは素直で以前のトールミニバンとは比べようがありません。それどころか背が高い分、視界がクリヤーで取り回ししやすい。
嫁はキャプテンシートで静寂性と乗り心地を享受した様で、快適性を堪能した様でした。
ミニバンの進化が感じられた試乗となり、大幅に良いと思いました。
そして嫁も「大きすぎて運転出来ない。」から、「運転できるかも…。」と変化しました。
それから1か月、考えに考え抜いた挙句、とうとうステップ ワゴンを買う決意をしました。もちろん、これには良いディーラーさんに巡り合えたという偶然も重なったことも大きく寄与しています。

ミニバンは大容量を引き替えにその他を譲歩しなければならない「妥協の産物」と私は考えていました。
それが新型ステップ ワゴンに乗ることで大きく変わりました。
乗り心地、ハンドリング、安全性といったところに妥協がありません。
快適装備も進化して、乗った誰もが楽しめる車に仕上がっていると思います。
最後に最も変わったのは「嫁」というのを告白しなければなりません。
購入前は「運転できないかも。長さが怖い。大きすぎる。どうしよう…」と不安そうだったのですが、購入後は「エディックスより運転が楽になった。長さは全く気にならない。ディーラーの人が言うとおりだった。」との感想を言うまでになったのです。
ステップ ワゴンは家族を変えました。子供も「エディックスとは別れたくない。」などと言っていたにも関わらず、セカンドシートでAVライフを楽しんでいます。
嫁もまったく不安不満を口にすることはありません。

まずは試乗してみることをお勧めします。　
さらに普通は車を買う時が一番うきうきするもので、そこから徐々に感動は薄れるものですが購入してから、その使い勝手の良さを更に感じました。
まず、ディーラーでも見て使い勝手の良さそうだった「わくわくゲート」は、明らかに私の家に合っていました。縦長の駐車場に自転車とバイクを置いているのでリアゲートを大きく開けるのは困難なのです。購入して以降、リアゲートを上げたことは無く、後部からの物の出し入れはすべてわくわくゲートからとなっています。
これが他社のミニバンだったら後ろは開けることができず不便な思いをしたと思います。
左前方を見るミラーも慣れが必要ですが、左前タイヤ位置を確認するには非常に有効です。
購入後に非常に便利だと思ったのはHonda SENSINGのACCです。試乗では使うことがなかったのでよくわからなかったのですが、ACCを使うことで大きく運転が変わりました。
特に高速道路での気の使い方が全く変わりました。ハンドル、前車位置、アクセル開度などの多角的「人感」が必要だった（当たり前ですが）のですが、それがLKASを加え車任せの部分が多くなったことで、人は運転を監視する役目にシフトしたようです。運転も流れに任せることが多くなり必然的に余裕の運転をするようになりました。
いろいろと書きましたが、ミニバンの進化はすごいと思います。私と同じようなミニバン嫌いの人にも一度乗ってみることをお勧めします。