今を去ること30数年前、現在のようなミニバンブームが来る事も予想だにできない中、モーターショウにワゴンなのに短いボンネットからウィンドスクリーンへとワンモーションにつながる車があり、子供ながら「こんな車が走るのは遠い未来だろうな」と思ったのを覚えています。
それから時を経て初代オデッセイのイメージスケッチを見たときは、まさしく子供の時に見たそれだと感激したのもつかのま、実車はそこまで具現化しておらずガッカリしました。
しばらくして3代目オデッセイのプロトタイプを雑誌で一目見たとき、何かが私の中で弾けました。初代で絵に描いた餅で肩すかしを食らったのも忘れ、まさに「いつか見た夢の車」に出会うことができたのです。
FF車でこのデザインを構築できたのは技術的進歩の恩恵もありますが、やはりHondaの技術者並びにデザイナーの熱意の賜物だと思います。
デザイン的に好きなのはショルダーラインがリアコンビランプの上に回りこんで収束していくファジーさと、低くかまえたフロントフェンダーがボンネットの脇を、くさび型にせり上がっていくところです。フロントからサイドに回りこんで見る限り、非常にバランスのとれた形だと思います。
ただ若干、アンバランスだなと感じるのは、斜め後方から見ると先に触れたフェンダーの薄さから始まるロワーボディに対して、Aピラー後方のキャビンが大きく感じスポーティさがややそがれる点です。ただこれはフロントのすばらしさの裏返しなので、愛嬌と考えればよいでしょう。
またアブソルート標準の空力パーツは、社外品のようなアグレッシブさを強調したものではないが、フロントはGTマシン風の折り返しを付けた品の良いスポーティ感をかもし出しています。
とにかく、これだけデザインと技術を融合しながら、無理なく7人乗りにパッケージングできた今という時代、並びにHondaの技術陣に感謝です。
デザイン的にこのオデッセイを凌駕するミニバンは他社からは当分出ないと思いますが、唯一の心配は次期オデッセイがどう変化するかだけです。
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