土づくり(新規の畑の場合)
まっすぐ下に向かって主根が伸びて肥大するため、土がかたいと形のいいニンジンは採れません。カラフル人参は長く伸びるものが多いので、深さ30cmくらいまで土をよく耕してやわらかくしておきます。肥料の入れ方にも注意が必要で、栽培直前に元肥を入れるとニンジンの形が悪くなります。ニンジンは、未熟な有機物を好みません。元肥を施すなら、タネまきの1か月以上前に入れておくと有機物の発酵が進み、ニンジンが好む状態になります。量は1m2あたり、完熟堆肥1kg、発酵油かす100g、貝殻石灰を100g施します。なお、粘土質の畑は肥料の持ちがいいため、元肥は上記の量の2割減とし、逆に肥料の消耗や流失が多い砂質の畑では2割増しを目安にします。
畝は水はけの悪い畑なら10cm程度、水はけがいい畑なら畝を作らずに栽培しても十分です。
春まきなら、畝にマルチフィルムを張ると畝の湿度と温度が安定し、雑草予防にもなるのでおすすめ。点まきをするなら、15cm間隔に穴の空いたマルチフィルムを使います。
野菜づくりを続けている畑の場合は?
有機栽培を続けている畑など、土が肥えている場所なら肥料は入れる必要はありません。肥料過多になると病虫害にかかりやすく、未熟な有機質があると又根の原因になるなど、ニンジンの形が悪くなります。もし施すならタネまきの1か月以上前に行い、有機物の発酵が進むよう畑を置いてからタネをまきましょう。
タネまき
移植に不向きなので、タネは必ず直まきします。ニンジンは土に十分な水分がないと発芽しないので、畝は乾燥しにくい低い畝にします。発芽したらほぼ成功といわれるくらい発芽させるのが難しく、タネまきの方法や時期が大切です。コート種子をつかうと発芽は比較的簡単になります。
タネは、夏まきなら畝にスジを付けて2cm間隔でスジまきします。春まきは、地温を上げるために15cm間隔に穴があいたマルチフィルムを使って1穴4粒の点まきをします。水をたっぷりあげてタネを浅く埋め、上からしっかり鎮圧するのがコツで、その後も本葉2〜3枚になるまでは土を乾燥させないことが大切です。夏は温度が確保されるので基本的に不織布は不要ですが、1枚かけておくと「保湿」効果が得られて、発芽がそろいやすくなります。春まきの場合は土が乾燥することは少ないので1回水やりすればほぼ必要ありません。大切なのは発芽温度の確保で、不織布の2枚重ねべた掛けなど保温対策をきっちりしましょう。
【夏まき】
タネ同士の間隔は2cm。まいた後は薄く土をかぶせる
【春まき】
春まきはマルチを使用して1穴に4粒ほどの点まきをする
連作障害
ニンジンは連作障害がでにくいので、連作が可能です。
害虫対策
ニンジンはキアゲハの幼虫に食害されることがあります。防虫ネットを使うか、よく観察して取り除きます。アブラムシがつく場合は手で払いましょう。
除草と間引き
夏まきの場合は生長が遅いので、幼いうちは周りの雑草を抜いてやるのが大切な作業になります。本葉3枚を越えれば乾燥にも暑さ寒さにも強くなるので、自然に生長します。このあとの重要な作業は間引きです。混んでいるところから徐々に3回くらいに分けて間引いていきます。最初の間引きは草丈が3cmくらいのときに、最終的にはニンジンの草丈が15cmくらいになったときに10〜15cm間隔になるようにします。点まきの場合は1本立ちにします。間引いたニンジンはやわらかくおいしいので、サラダやみそ汁の具にいれるのがおすすめです。
混んできたら間引きをする。間引き菜もおいしいので無駄にせずぜひ味わって
最終間引きが終わった頃。3回にわけて間引きをし、最終株間は10~15cmほどにする
収穫
根元を少し掘って、ニンジンの直径が3〜5cmくらいに太っていたら収穫できます。カラフル人参は細く長いタイプが多いので、茎葉を持って引っぱると切れてしまうことが多いです。スコップを使って掘り起こすと安心です。