カラフル人参ってどんな野菜?

ニンジンといえばオレンジのイメージですが、カラフル人参はその名の通り黄色や紫など色とりどりのニンジンです。ニンジンの原産地は中央アジアのアフガニスタン周辺ですが、そこから西と東に分かれて伝わり品種改良されました。私たちが普段手にするオレンジ色のニンジンは西洋系のニンジンです。東洋ニンジンは細くて長く、正月のおせちに使う紅色の金時人参を代表として、黄色、紫、黒、白など様々な色がありましたが、トウ立ちが早い、収穫がしにくいなどの栽培のしにくさ、また個性のある味も理由で最近では栽培する人が少なくなっていました。
ところが、最近カラフルな東洋系品種と作りやすい西洋系品種をハイブリッドした新品種が登場し、栽培しやすくなったため、カラフル人参の人気が急速に高まっています。
彩りが個性的なカラフル人参ですが、食べ方は普通のニンジンと変わらずサラダやソテーなどでおいしく食べられて、色の違いによって味や栄養素にも違いがあり、食卓に彩りを加えてくれます。

カラフル人参栽培、3つのポイント

ポイント1
カラフル人参は主根が長く伸びるため、形がいいニンジンを作るために土をよく耕します。
ポイント2
乾燥すると発芽しづらいため、畝は低めにつくりましょう。
ポイント3
カラフル人参は栽培方法も味も品種によって大きく違います。まずはタネ袋の裏に書かれた特徴をよく読みましょう。いちばんの違いはタネまき時期で、一般的には西洋系ニンジンは春まき、夏まきの2回栽培できますが、東洋系はトウ立ちが早く春まきに向きません。

カラフル人参の栽培時期

タネを直まき

ニンジンは移植ができないので、タネを直まきします。
セリ科の仲間は水が大好きです。発芽時に水分が少ないと、発芽がそろいません。夏まきなら7月中旬ごろの梅雨の末期にタネまきするのがおすすめ。土の水分量が十分なときにタネをまくと、まいたタネが一斉に発芽し、その後の栽培がとても楽になります。そして、この時期にまくと11月頃から収穫できます。ただし、水浸しの土ではだめ。ニンジンはタネが腐り、発芽しても根腐れを起こします。また、暑い夏になってからまくと、発芽が難しくなり、8月下旬のタネまきだと収穫が遅れて大きくなりづらいです。
春まきができる品種なら、2月下旬まきがおすすめで収穫は6月。タネまきが遅くなると暑くなって生長が止まってしまい、太らないかトウ立ちすることが多くなります。

カラフル人参の育て方

土づくり(新規の畑の場合)

まっすぐ下に向かって主根が伸びて肥大するため、土がかたいと形のいいニンジンは採れません。カラフル人参は長く伸びるものが多いので、深さ30cmくらいまで土をよく耕してやわらかくしておきます。肥料の入れ方にも注意が必要で、栽培直前に元肥を入れるとニンジンの形が悪くなります。ニンジンは、未熟な有機物を好みません。元肥を施すなら、タネまきの1か月以上前に入れておくと有機物の発酵が進み、ニンジンが好む状態になります。量は1m2あたり、完熟堆肥1kg、発酵油かす100g、貝殻石灰を100g施します。なお、粘土質の畑は肥料の持ちがいいため、元肥は上記の量の2割減とし、逆に肥料の消耗や流失が多い砂質の畑では2割増しを目安にします。
畝は水はけの悪い畑なら10cm程度、水はけがいい畑なら畝を作らずに栽培しても十分です。
春まきなら、畝にマルチフィルムを張ると畝の湿度と温度が安定し、雑草予防にもなるのでおすすめ。点まきをするなら、15cm間隔に穴の空いたマルチフィルムを使います。
野菜づくりを続けている畑の場合は?
有機栽培を続けている畑など、土が肥えている場所なら肥料は入れる必要はありません。肥料過多になると病虫害にかかりやすく、未熟な有機質があると又根の原因になるなど、ニンジンの形が悪くなります。もし施すならタネまきの1か月以上前に行い、有機物の発酵が進むよう畑を置いてからタネをまきましょう。
夏まきは梅雨が終わる時期に畑を耕す
培土器を使えば素早く土寄せができる
往復して畝の原型をつくる
表面をならして高さ10cm程度の低い畝を作る
春まきは穴が空いたマルチを使うと良い

タネまき

移植に不向きなので、タネは必ず直まきします。ニンジンは土に十分な水分がないと発芽しないので、畝は乾燥しにくい低い畝にします。発芽したらほぼ成功といわれるくらい発芽させるのが難しく、タネまきの方法や時期が大切です。コート種子をつかうと発芽は比較的簡単になります。
タネは、夏まきなら畝にスジを付けて2cm間隔でスジまきします。春まきは、地温を上げるために15cm間隔に穴があいたマルチフィルムを使って1穴4粒の点まきをします。水をたっぷりあげてタネを浅く埋め、上からしっかり鎮圧するのがコツで、その後も本葉2〜3枚になるまでは土を乾燥させないことが大切です。夏は温度が確保されるので基本的に不織布は不要ですが、1枚かけておくと「保湿」効果が得られて、発芽がそろいやすくなります。春まきの場合は土が乾燥することは少ないので1回水やりすればほぼ必要ありません。大切なのは発芽温度の確保で、不織布の2枚重ねべた掛けなど保温対策をきっちりしましょう。
【夏まき】
夏まきならマルチをはらずにスジまきにする
タネ同士の間隔は2cm。まいた後は薄く土をかぶせる
【春まき】
春まきはマルチを使用して1穴に4粒ほどの点まきをする
タネを浅く埋めて上からしっかり鎮圧する
連作障害
ニンジンは連作障害がでにくいので、連作が可能です。
害虫対策
ニンジンはキアゲハの幼虫に食害されることがあります。防虫ネットを使うか、よく観察して取り除きます。アブラムシがつく場合は手で払いましょう。

除草と間引き

夏まきの場合は生長が遅いので、幼いうちは周りの雑草を抜いてやるのが大切な作業になります。本葉3枚を越えれば乾燥にも暑さ寒さにも強くなるので、自然に生長します。このあとの重要な作業は間引きです。混んでいるところから徐々に3回くらいに分けて間引いていきます。最初の間引きは草丈が3cmくらいのときに、最終的にはニンジンの草丈が15cmくらいになったときに10〜15cm間隔になるようにします。点まきの場合は1本立ちにします。間引いたニンジンはやわらかくおいしいので、サラダやみそ汁の具にいれるのがおすすめです。
混んできたら間引きをする。間引き菜もおいしいので無駄にせずぜひ味わって
1回目の間引後
2回目の間引後
最終間引きが終わった頃。3回にわけて間引きをし、最終株間は10~15cmほどにする

収穫

根元を少し掘って、ニンジンの直径が3〜5cmくらいに太っていたら収穫できます。カラフル人参は細く長いタイプが多いので、茎葉を持って引っぱると切れてしまうことが多いです。スコップを使って掘り起こすと安心です。

カラフル人参の保存方法

保存方法はニンジンと同じです。ニンジンは湿気に弱いのでまるごと保存する際には葉は切り離して新聞紙などで包み、冷暗所で保存しましょう。一度切ったニンジンは切り口から傷み始めるので、ぴったりとラップで包んで冷蔵保存し、3~4日で食べきるようにします。
秋冬に収穫するニンジンは、葉が枯れてきても掘り起こさずにそのまま土の中で3月ごろまで保存できます。食べたいときに掘り起こしましょう。春まきのニンジンは実割れを起こすので長く畑におかず、収穫適期に食べるようにします。

カラフル人参のおいしい食べ方

カラフル人参のキャロットラペ

材料(2人分)
  • カラフル人参
    300g
  • 小さじ1/2+少々
  • ピーナッツ
    適宜
  • レーズン
    適宜
  • ガーリックトースト
  • バゲット
    4〜6枚
  • にんにく
    1片(表面にこすりつける)
  • ドレッシング
  • 粒マスタード
    小さじ1
  • はちみつ
    小さじ1
  • 小さじ1/4
  • 小さじ2
  • オリーブ油
    大さじ2
作り方
  • チーズグレーターでカラフル人参を皮ごと削る。チーズグレーターを使うことで断面が荒くなり、味の絡みが良くなる。
  • チーズグレーターがない場合は
    チーズグレーターを持っていない人は、まず包丁で切れ目を何本か入れ、その後にピーラーで削ればOK。
  • 水分を抜くために塩揉みする。
  • 粒マスタード(小さじ1)、はちみつ(小さじ1)、塩(小さじ1/4)、酢(小さじ2)にオリーブ油(大さじ2)を混ぜ合わせながら加え、ドレッシングを作る。
  • ニンジンを絞り、ドレッシングの入ったボウルに入れる。
  • ピーナッツとレーズンを加えて、よく混ぜ合わせる。
  • ガーリックトーストにラペを盛り付けたら…
  • 彩り鮮やかなキャロットラペの完成。
調理ポイント
  • チーズグレーターを使うと、断面が荒くなって調味料のなじみが良くなる
  • 皮ごと使うと風味がアップ
育て方監修
株式会社 学研プラス
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