季刊うかたま
http://www.ukatama.net/
写真=高木あつ子 文=おおいまちこ

今回の耕す女子
- 埼玉県鳩山町安住梨奈さん(あずまりなさん)
- 1986年、埼玉県鳩山町生まれ。畑歴9年。阿佐ヶ谷美術専門学校卒。2008年より各地の農園で研修を受け、翌年1月から1年間、埼玉県小川町の有機農場「霧里農場」で研修生となる。2010年1月に農園「tack farm」をオープン。
祖父の畑で農業を
穏やかな春の日の午前9時。眺めのいい畑の片隅に建つ小さな小屋で、安住梨奈さんが、その日に配達予定の野菜セットの仕分け作業に精を出していた。
作業台には、ジャガイモや小松菜などの馴染みのある野菜をはじめ、黒キャベツやスイスチャード、のらぼう菜といった、市場にはあまり出回らないような野菜が並んでいる。
梨奈さんは、それらの野菜を新聞紙で丁寧に包み、配達用のかごに詰めていく。聞けば同じ金額のセットでも、お客さんの好みに合わせて内容を少しずつ変えているという。
「配達に行った時の何気ないおしゃべりから、その人の好みの野菜がわかったりする。今の季節は葉物が中心。好きな人には葉物を多めに入れるけど、芋類が好きな人には、葉物は減らしてお芋を少し多めに入れたり。自分で配達するのは手間だけど、お客さんとつながって、直接声を聞けるのが楽しいです」
埼玉県中部に位置する鳩山町。梨奈さんの農園「tack farm」は、町の西部に広がる農村地帯にある。耕作しているのは母方の祖父の農地。自宅のある町の東側のベッドタウンから、毎日、車で6〜7分の農園に通っている。
計2町*弱ある畑では、農薬、化学肥料を使わず、年間70種類もの野菜やハーブを育てている。畑の一角に山積みにした木の剪定チップを2年間寝かせて堆肥にし、もみ殻と一緒に畑にすき込み、土をつくる。
ちょうど夏野菜の準備をする季節。トマトの苗を植える畑を、小型耕うん機「パンチ F503」で耕した。
「“パンチ”は、家庭菜園はもちろん、農業を仕事にしている私にとってもサイズ的にちょうどいいし、しっかり耕せる。ハウスや小さな畑でも手軽に使えるのがいいですね」
色白で細身の梨奈さんだが、一人でもくもくと土に向かう作業が好きだとか。「休憩するとかえって疲れるので」、お昼ごはんは先に延ばし、一気に畑仕事を片づけてしまうのが、梨奈さん流の働き方だ。
*1町=10反、3000坪。約10000㎡ 1反=300坪。約1000㎡




「日焼けはしたくないので、肌は絶対に出しません」という梨奈さん。帽子と手袋は紫外線100%カットの素材。「この手袋は手首まで隠れるくらい長めのところが気に入っています」。長靴は「AIGLE」のラバーブーツを愛用。「高価ですけど、丈夫なので毎日履いても丸2年は持ちます」。普段の作業はiPodを聞きながら。テンションの上がるMINMIさんの曲がお気に入り