季刊うかたま
http://www.ukatama.net/
写真=高木あつ子 文=おおいまちこ

今回の耕す女子
- 山梨県北杜市宇佐美 見和さん(うさみみわさん)
- 1982年東京生まれ。畑歴は1年8カ月。武蔵野美術大学卒業後、デパート勤務を経て2007年、学生時代から交際していた達也さんと結婚。2013年2月に山梨県北杜市へ移住し、農家になる。夫と1男2女の5人暮らし。
都会から移住して始めた農業
本当にこの先に畑があるのだろうか…。国道から脇道に入り、細い砂利道を少し心細い気持ちで上っていくと、雑木が生い茂る山の麓に小さな畑が見えてきた。なだらかな斜面に切り拓かれた段々畑は、手入れが行き届いて美しく、幾種類もの野菜やハーブがすくすくと育っている。
オーバーオールにお団子ヘア姿で出迎えてくれたのは、宇佐美見和さんだ。4年ほど前に東京から家族そろって山梨県北杜市に移住。その後、夫・達也さんの2年間の農業研修を経て2015年、南アルプスの山々が見渡せるこの場所で「うさみファーム」をオープンした。元々は田んぼだった耕作放棄地をコツコツと開墾して整地した畑は、現在おそよ3反*。今なお開墾を続行中だという。
生まれも育ちも東京で、農業とは縁なく生きてきた見和さんだが、今は3人の子育ての合間に、達也さんに教わりながら、農作業に精を出す。
「種まきや定植、草取り、種採り、出荷の作業が私の主な役割です。種まきってドキドキしますよね。小さな種から芽が出てきた時は、“ありがとう!”って気持ちになる」
そんな見和さんが、この日は、農業機械に初挑戦。ミニ耕うん機「こまめ」を使い、ジャガイモを掘り上げたあとの畝(うね)を耕した。最初のひと畝こそ緊張の面持ちだったが、すぐに慣れてきた様子で笑顔で話す。
「すごく軽くて、農業機械を使ったことがない私でも、あっという間に使いこなせた! やっぱり機械は仕事が早いですね〜。“こまめ”は見た目もとってもかわいいです」
泥遊びしていた長女の唄央(うたお)ちゃん、次女の木菊(きく)ちゃんがやって来て一緒にお茶タイム。真正面に雄大な南アルプスの鳳凰三山を仰ぎ見ながら、手づくりの小松菜クッキーとしそ茶をいただく。なんとも心地よい時間が流れていく。
*1反=約1000㎡,300坪




いつもお団子ヘアにしているので、帽子のてっぺんに十字に切り込みを入れ、お団子部分を外に出せるようにアレンジ。オーバーオールの胸にかけているのは、「近正」というメーカーの園芸ばさみ。「夫からのプレゼントです。赤いケースがかわいいでしょ?」