季刊うかたま
http://www.ukatama.net/
写真=高木あつ子 文=おおいまちこ

今回の耕す女子
- 埼玉県久喜市圡橋育美さん(どばしいくみさん)
- 1979年、埼玉県飯能市生まれ。畑歴3年。大学卒業後、会社員や派遣社員、アルバイトとして働いた。2013年に埼玉県農業大学校に入学。2014年4月に就農。目下、イヌのクロ(13歳)、ネコのおかず(5カ月)と同居中。
祖父の跡を継いで農家に
広々としたビニールハウスの中に、冬の優しい陽光が降り注いでいる。ハウスの奥までまっすぐ伸びた何列もの畝(うね)。保温のために被せてある不織布をめくったら、レタスがびっしりと植わっていた。葉が生き生きとしていて、とってもおいしそうだ。
このレタスを栽培しているのは、今年4月で就農丸2年になる圡橋育美さんだ。祖父の跡を継ぎ、会社勤めから一転、農業大学校で野菜づくりを学び農家になった。今は一人で露地、ハウス合計3.5反*の畑で、冬場はレタスやタマネギ、夏はトマトをメインに栽培。大手スーパーの直売コーナーなどに出荷している。
農閑期の冬場は、畑の見回りから一日の仕事が始まるという。自宅周辺に点在する畑に出向き、野菜の様子に目を配りながら畝間(うねま)を歩く。
「野菜って、日々、少しずつ成長してる。だから毎日、様子が違うんです。そんなちょっとした変化に気づけた時がうれしい」と、育美さん。目をかけ、手をかければ、「本当によく育ってくれる」と、少し照れたような笑顔で話す。
出荷は、基本的にはほぼ毎日。午後一番でスーパーに持っていくために、午前のうちに収穫、袋詰めなどをすませてしまう。出荷から戻ると、たいていお昼ごはんは食べずに、そのまま畑仕事に突入するのだとか。
好天が続いて耕うん日和のこの日は、春野菜の植え付け準備のために、自宅近くの畑の一部を耕すことに。ガスパワー耕うん機「サ・ラ・ダ CG」にカセットボンベをカチャリとセットし、エンジンをかけた。
「“サ・ラ・ダ”は軽量だけど安定感があるし、よく耕せる。ガスボンベも簡単にセットできるから、機械が苦手な人も気軽に使えていい」
新米農家とは思えないほど手際のいい仕事ぶりだ。
*1反=約1000㎡、300坪。
**ガスボンベはメーカー指定の東邦金属工業㈱製。



作業着は、動きやすいニッカボッカがお気に入り。黒、紺、グレーの3色を毎日、着回している。帽子は「自分にはしっくりこないし、跡がつくのがイヤなので」かぶらない主義。日焼け対策にクリームを塗っているが、「仕事柄、焼けてしまうのは覚悟の上です」とか