季刊うかたま
http://www.ukatama.net/
写真=高木あつ子 文=おおいまちこ

今回の耕す女子
- 千葉県我孫子市今村直美さん(いまむらなおみさん)細渕有里さん(ほそぶちゆうりさん)
- 今村さんは1970年千葉県生まれ。英語教諭、大学職員などの職を経て千葉大学園芸学部別科へ。2009年に就農。家族は夫と娘がひとり。細渕さんは1986年埼玉県生まれ。千葉大学園芸学部別科を修了後、埼玉県小川町の有機農家などでの研修を経て就農。ネコと2人暮らし。
土と人、人と人がつながる畑に
「さぁて、収穫して、明日の“ての市”で売り切るぞ!」
夏の日差しをたっぷり浴びて育ったつやつやのナスやピーマンを見ながらこう言うと、今村直美さんと細渕有里さんはコンテナを抱えてさっそうと畑に向かった。明日は千葉県柏駅近くの柏神社で月に1度開催される「手づくりての市」の日。同時に開かれる若手農家による野菜市に、2人の農園「わが家のやおやさん 風の色」も毎月、出店しているのだ。
「地元の人にとって、身近な農家になりたい」
そんな思いを胸に、2人が我孫子市と柏市にまたがる手賀沼(てがぬま)のほとりで農業を始めて6年になる。JR成田線新木駅から程近い5反*の畑を拠点に、旬の野菜を無農薬・無化学肥料で栽培。個人宅へ野菜セットを宅配したり、高齢者施設やレストランなどに出荷するほか、昨年10月にはJR我孫子駅から徒歩5分の場所に「Abby's Farm(アビーズファーム)」という小さな直売所をオープン。地域の新規就農の仲間や福祉施設と共同で野菜や加工品を販売している。
農園のコンセプトは「畑を通じて人とつながること」。だから野菜市はもちろん、直売所でも出荷するメンバーが自ら当番制で店に立つ。
「野菜を買いに来てくれる人に畑の様子を伝えたり、逆に食べ方を教えてもらったり。野菜市でも、いつも一人一人と向き合ってお話ししているんですよ」と、直美さん。
この日は2人での作業だったが、普段は援農スタッフをはじめ、誰かしら畑に来るという。自然の中で体を動かしたい人、卒論を書いている学生さん…、いつどんな人が来ても、ウエルカムな姿勢でいるんだとか。
収穫が一段落すると、有里さんは、ガスパワー耕うん機「ピアンタ」で、ナスの畝間(うねま)を軽く耕し始めた。
「ピアンタは、狭い畝間には本当に便利。燃料が家庭用のカセットガスなのに威力があるし、機械自体も軽くて使いやすいのがいいですね」
収穫を続ける直美さんとおしゃべりしながら、軽やかに耕していく。
*1反=約1000平方メートル、300坪。
**ガスボンベはメーカー指定の東邦金属工業㈱製。






2人とも野良着にはとくにこだわりはないそうだが、履物に関しては、直美さんは「足が守られている感じが好きだから」長靴派。有里さんは「涼しいのが好きなので」地下足袋派。帽子は必需品だが、大きなつばのついた農家帽は「いかにもって感じが恥ずかしいのでかぶらない」とのこと