季刊うかたま
http://www.ukatama.net/
写真=高木あつ子 文=おおいまちこ

今回の耕す女子
- 埼玉県幸手市添田香菜さん(そえだかなさん)
- 1985年、埼玉県春日部市出身。畑歴8年。大東文化大学卒業後、不動産会社に1年7カ月勤務。その後、人材派遣やアルバイトで試食販売、大学の事務などの職を経て、2014年2月、香菜田農園オープン。15年4月から埼玉県農業大学校で有機農業を勉強中。
“趣味”から“一生の仕事”に
「この辺に植わっているのがオレガノで、こっちがレモングラス、それはチャービルっていう、アニスに似た香りのするハーブで……あ、その葉っぱですか? それは、ハーブじゃなくて、結球しなかったハクサイです(笑)」
春を迎え、枯れ葉の間から新芽が顔を出し始めた畑を歩きながら、添田香菜さんは、自分が育てているハーブを一つひとつ紹介してくれた。剪定ばさみを片手に、時折、しゃがみこんでは枯れ葉を刈り込み、株元に日が当たるように手を入れている。
香菜さんは2年ほど前、母方の祖父が亡くなったのを機に、畑の一部を受け継ぎ、それまで趣味としていた農業を「一生の仕事にしよう」と、その第一歩を踏み出した。
8畝*ほどの畑でハーブと少しの野菜を無農薬で育て、いずれはハーブを中心とした観光農園と加工施設を開設することを目標に、ドライハーブなどの加工、販売もスタート。が、思うところあって仕切り直し。この春から、熊谷市にある埼玉県農業大学校で有機農業を学んでいる。
平日は大学校の寮で暮らし、週末、家に戻ってきて、車で25分の畑へ通う。ときには母親や友達が手伝いに来てくれることもあるそうで、この日は幼稚園からの幼なじみである小原裕美さんが助っ人にやって来た。裕美さんにハーブの刈り込みをまかせ、香菜さんは、卓上コンロ用のカセットガス**で動くミニ耕うん機「ピアンタ」のエンジンをかける。
「『ピアンタ』は軽くて小回りが利くから、小さな畑があちこちにある私にはぴったり。でも畑が広くても、このサイズの耕うん機があったら便利なんじゃないかな」
野菜やハーブの植わった小さな畑をすいすいと耕していく。
*1畝=約100平方メートル、30坪。
**カセットガスはメーカー指定の東邦金属工業㈱製。





春から秋にかけてのお気に入りの野良着は、レギンス+ハーフパンツ。「動きやすいし、長靴の着脱もラク。汚れたら、レギンスだけ取り替えればいいし、そのままの格好で街中に買い物に行けるので便利ですよ」。夏場に室内で加工の仕事をする時は、レギンスを脱いで、ハーフパンツ姿で作業するそう