季刊うかたま
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写真=高木あつ子 文=おおいまちこ

今回の耕す女子
- 秋田県仙北市佐藤真莉さん(さとうまりさん)
- 1991年生まれ、秋田県仙北市出身。畑歴は、物心ついてから20年近く。家族は祖父母、父母、姉家族(姉・義兄、甥)。秋田県立角館南高校卒業後、秋田県が行なう「未来農業のフロンティア育成研修」の野菜コースを受講し、修了と同時に実家に就農。
ギャルメイクで野良仕事
ド派手ないでたちに、しばし圧倒されてしまった。目の前に立つのは、今どきのギャルメイクでばっちり決めた女の子。鮮やかな赤いつなぎと白い長靴に身を固め、手にはしっかり、ネギを握っている。
ここは、“米どころ秋田”の東部中央に位置する仙北市西木地区。今回の耕す女子・佐藤真莉さんは、イネ19町(*)、ネギとソバを各1・5町栽培する専業農家の娘だ。2人姉妹の次女として、「将来は自分が家業を継ごう」と、高校卒業後、秋田県が実施する「未来農業のフロンティア育成研修」を2年にわたって受講。2011年春に就農した。
のどかな田園地帯にどっしりと構える大きな家に、祖父母、両親、姉夫婦と2歳の甥っ子、そしてまもなく結婚する予定の真莉さんの彼、畠山和喜さんの、4世代9人で暮らす。
主に農作業に携わっているのは、父・一也さん、母・真弓さんと真莉さん、和喜さんの4人で、真莉さんはネギを担当。栽培から出荷までの維持管理を行ないながら、母娘で自家用野菜なども栽培。春〜秋は、勉強も兼ねて、農協の出荷所で野菜の検品のアルバイトにも精を出す。
*1町=約1ha(3000坪)、1万平方メートル。




就農してまもなく、「農業をやっている若手の女性で地域を盛り上げよう!」と、地元の先輩で、同じく農家の娘の西宮奈々子さん、浅利智絵子さんとともに、チーム“農産娘(のうさんむすめ)”を立ち上げた。地元の小学生の農業体験学習に協力したり、今年度からは、“農産娘”専用の畑を設け、パプリカやミニカリフラワーなどを栽培。地元の道の駅やスーパーの直売所などで、自分たちのブランド野菜として販売を始めた。
それぞれ多忙な毎日だが、時間をやりくりして、できるだけ3人一緒に作業を行なっている。この日は、“農産娘”の畑を準備するため、耕うん作業。ガスパワー耕うん機「ピアンタ」で耕しながら、「大型の農業機械は使えないけど、“ピアンタ”は軽くて小回りがきくので私にも扱いやすい。狭い畝間(うねま)にも使えて便利です」と、真莉さん。「農業をする若い仲間がもっと増えたらいいな」「西木を売り込んでいきたい」と、お揃いの野良着まで用意して、張り切っている3人だ。




「かっこいいので、農作業はいつもつなぎです」。手持ちのつなぎは10着ほど。「かあさんとねえちゃんに“日焼けは怖いよ”と脅かされたので」、紫外線の気になる季節は、帽子を目深に被り、口元もカバーで覆って目しか出さない。長靴は丈夫で長持ちする(株)弘進ゴム製の白い業務用を愛用