上手な野菜づくりに
欠かせないマルチ張り
黒や透明のマルチを家庭菜園でも目にする機会が増えているが、「家庭菜園で、そもそも必要なものなの?」と疑問に思っている人も多いのではないだろうか。苗の株元をビニールフィルムで覆うマルチには、土の表面の乾燥を防ぐほか、雑草の繁殖、害虫、水やりや雨による泥はね防止効果もある。また、保温効果で急激な温度変化から根を守り、雨によって土が固まることも防いでくれる。初心者でも上手に野菜を育てやすくなるマルチは、家庭菜園でもぜひ取り入れたい作業の一つだ。だが、やりたいと思っていても「手作業で張るのは大変そう」「一人では無理そう」とためらう声も多い。そんなマルチ張り作業だが、家庭菜園用の耕うん機で手軽にできることはあまり知られていない。そこで、耕うん機を使った作業と手作業の両方を試し、マルチ作業のしやすさを比較・検証してみたい。
手作業でのマルチ張りは
慣れるまでコツが必要
最初に手作業でマルチを張ってみた。まずは、畝立ての準備が必要だ。鍬で畑起こしをしたあと溝を切り、畝を成形したところで、ようやくマルチシート張りに取りかかる。先端を固定してから少しずつ伸ばしていき、左右を仮止めしていく。シートが薄いので、よれないように張るのは意外と難しい。一人できれいに張るにはコツが必要なようだ。最後に、風で剥がれないよう鍬で左右の端に土をかぶせ、足で踏んで押さえる。なんとか完成したが、手順が多いので時間もかかり、一苦労だ。そのうえ慣れないと、かぶせる土の量の加減がわからない。畝幅がきれいに揃わずに、幅がまちまちの畝が出来てしまった。
耕うん機のマルチ張りは
畝立て、土寄せも同時に
次は、耕うん機を使ったマルチ張りを試してみる。必要なのは、マルチ専用のアタッチメントと専用シートだ。畑を耕うんし終えたところで、機械本体のヒッチにアタッチメントを取りつけ、マルチシートのロールをセットする。準備はこれだけだから簡単だ。あとは耕うん機でまっすぐ耕していくだけで自然とマルチシートが張られていく。張ったそばからアタッチメント横の丸いディスクがシートの両端に土をかぶせていくので、仮止めも必要ない。耕うん機が畝立てとマルチ張りを同時にしてくれるから、一度の工程でたちまち一本のマルチが出来上がった。
耕うん機

手作業

耕うん機なら
仕上がりも断然きれい
鍬でせっせと溝を切ったり、土寄せしなければいけない手作業と比べると、耕うん機の手軽さは感動的なほど。手順が圧倒的に少ないので時間も短く、体力的にもとても楽だ。しかも、出来上がりが断然きれい。両側に各10 センチほど整然と土がかぶさり、細いシートでも、その幅を最大限活かした畝が出来上がった。シートがしっかり押さえられているので風の強い日にも安定してきれいに張れる点もメリットだろう。手間がかかり大変だと思われがちなマルチだが、耕うん機を使えば、慣れない人でも簡単に張れる。マルチをマスターすれば、野菜づくりがますます楽しくなるに違いない。また、家庭菜園用の耕うん機は持っているが、もっぱら耕すだけだった人も、ぜひアタッチメントを活用して作業のレパートリーを広げてみてほしい。