一歩先行く耕運機活用術 一歩先行く耕運機活用術

  • 文●小田ゆかり
  • 写真●柳原美咲
vol6

小さな畑での利用価値を知って
手軽に耕うん機を使いこなそう。

数坪の小さな家庭菜園でも、良い野菜を育てるには土づくりが鍵なのは変わらない。しかし小さな畑なので、機械で耕す必要はないという人が多いのではないだろうか。そこで今回は、ふだんは鍬を使って作業している方たちに耕うん機を試してもらい、小さな畑での耕うん機の活用方法について探ってみた。

1坪の畑で耕うん機を
使ってみよう

訪ねたのは、東京都国分寺市のサークル「暮らしのなかの食農会」が活動する菜園。メンバーは14名、24坪の土地で大根やキャベツ、トマトなど数多くの野菜を自然農法で育てている。野菜の出来を左右する土づくりはふだんから大事にしてきたそうだ。「狭い畑なものだから」鍬で土を耕してきたメンバーたちには、「耕うん機を使うイメージはなかった」とのこと。ただ話をよく聞くと、「土が硬くなると、女性だけで耕すのは厳しい」「鍬で耕すと、猫の額くらいの場所でも翌日は腰痛に」といった悩みもチラホラ。そこで、ちょうど収穫の終わったハヤトウリの棚を外し、約3.3m×約1.6m のスペースでミニ耕うん機「ピアンタ」を使ってもらうことにした。

ほろほろ、ふわっ
土の感触が違う!

作業をしてくれるのは、リーダーの横堀勉さん。耕うん機は初体験とのこと。メンバーのみなさんも興味津々だ。スターターロープを引きエンジンをかける。「意外と軽い力でかかるんだね」と横堀さん。スロットルレバーを握り、耕うんスタート。初めこそ、硬い地面に弾かれる感触があったそうだが、すぐにコツをつかんだようだ。「小回りがきくのでターンも軽くできますね」みるみるうちにガチガチだった土がほぐれ、メンバーたちから「あんなに深く掘り起こされてる」と歓声が上がる。「2回ほど耕うんしただけで、かなりきめ細かくほぐれます。土がふわっとしてくるのがはっきりわかり、土の感触が手作業とは違います。鍬でやったら時間も相当かかるでしょう。だからすごく楽です。腰や腕への体の負担も少ないですね」と横堀さんも手応え十分。

土を細かく耕そうとすると手作業では時間がかかる。
身体への負担も小さくない
耕うん機が元気よく働き、サクサクと耕うんする。
コツを掴めば操作も簡単だ

きめ細かく軟らかな畝は
大根栽培にもぴったり!

さらに耕うん機で畝立てにも挑戦。培土器を取り付けて一往復すると、簡単に1本の畝ができあがった。幅の狭い畑でも小さな機体が役に立つ。ふだんはもちろん手作業で畝づくり。「人手はあるし、みんなで一斉にやればそれほど大変じゃない」と話していたみなさんだったが、耕うん機による畝立てを目の当たりにすると、「あんなに簡単にできるなんて」「きれいで立派な畝!」と驚きの声が次々と聞こえてくる。

鍬による畝立ても行った。手作業で耕した場所にはところどころ土の塊が残ってしまう
耕うん機に培土器をつけて。「鍬での作業に比べたら、本当に楽です。初心者でもきれいな畝がつくれそうです」

硬くなっていた収穫後の畑が、わずかな時間で、次の種蒔きを待つふかふかの畝に様変わり。横堀さんも出来映えに満足そう。「機械で耕うんした土がきめ細かくほぐれているから、均等で形のいい畝ができますね。手作業ではそれが難しいんですよ」。さっそく何を植えるかの相談が始まる。「この畝に大根を植えたら、いいのが育ちそうだね」と横堀さん。ほかのメンバーも「ジャガイモもいい」「今からだったら、のらぼう菜じゃない?」と楽しそうに会話を弾ませていた。

鍬による畝立ても行った。手作業で耕した場所にはところどころ土の塊が残ってしまう

持ち運びも
移動も安心

耕うん機を自宅から菜園に持ち込む場合でも、このピアンタはハンドルを簡単に畳むことができ乗用車のトランクに積めるコンパクトな作り。約20kgと軽量だから積み降ろしも負担なくでき、手軽に持ち運びもできる。車輪も付けられるので、菜園内の移動も手押しでラクラク。「思っていたより手軽に使えることがわかりました」「いろいろ活用できて便利ですね」と、試したみなさんの総合評価もうなぎのぼりだ。1台の耕うん機で、手軽に良質な土づくりができる。手では難しい作業も簡単になる。小さな畑でも野菜づくりがさらに楽しくなるに違いない。

作業後の気になる泥汚れ。カバーが標準装備のため車の
トランクや保管場所を汚さない
カセットガス燃料は取り扱いも簡単!
今回使用したピアンタはカセットガス式。燃料交換はカセットガスをケースに入れてセットするだけだから、手を汚さずにできる。ガソリン燃料の取り扱いが不安な方や家庭菜園を手軽に楽しみたい方にオススメ。使用条件などで異なるが、カセットボンベ1本で最大約1時間の連続運転が可能だ。