一歩先行く耕運機活用術 一歩先行く耕運機活用術

  • 文●鑓田浩章
  • 写真●柳原美咲
vol4

畑や作物に合わせた、
理想の畝立てをしよう

野菜づくりに欠かせない畝づくり。耕うん機を使った畝立てを覚えると、作業の幅が広がり、体の負担も軽減されるのでおすすめだ。しかし、畝には形や大きさに違いがあるように、畝立てに必要な培土器にも色々な種類がある。畑の状況やつくる野菜によって、どれを選べばいいのか迷ってしまう。数種類の培土器を用意して実際に畝をつくり、それぞれの特徴を検証してみた。

畝立ての
すぐれた効果

畝立ては、耕うんした土を盛り上げ畑に溝をつくることで、通気性や作物の葉への日当たりの確保、根の発育・水の吸収作用を良くしてくれる。さらに排水性を高めることで、野菜の生育を促進する効果がある。鍬を使って溝を切り、土を盛り上げる作業を手作業で行うとなれば、大変な重労働になる。耕うん機と培土器を使えば、体への負担は大幅に軽減できる。しかし、何種類もある培土器のどれを使えばいいのか、わからない方も多いと思う。そこで今回、3種類の培土器を用意して、その違いを探ってみた。

培土器を
使った畝立て

そもそも畝はどのようにできるのか。培土器を耕うん機に装着し、まっすぐ耕うんしていくと、進行に合わせ、両サイドに土が盛り上がっていく。往路で山の半分、復路で残り半分の山をつくる。2つの山が合体して、一往復で1本の畝が完成する。今回はサイズや形の違う培土器を用意したが、基本的に畝をつくる仕組みはどれも同じだ。

片側に土を寄せ往復することで畝ができあがる。

オールラウンドに
使える

培土器:丸畝用

最初に試したのは、丸型用の培土器だ。なだらかな「かまぼこ」のような丸型の畝をつくる。羽根の部分を開閉させることで、畝の大きさを変えることができる。また、培土器の先端部分の角度を調整すれば、畝の高さも変えられる。ホウレンソウ、コマツナ、ナスなど根が浅いものから、深く根を張るニンジンやダイコンなどの根菜類まで多くの種類の野菜に対応し、マルチに使える培土器といえるだろう。しかし、盛る土の量を多く必要とし、小さな耕うん機よりも、パワーの大きい耕うん機を使ったほうがより操作が行いやすい。

小型の畝は
根の浅い野菜

培土器:丸畝用(小型)

次に試したのは、先程よりもひと回り小さな培土器だ。同じ丸型畝だが、できた畝は幅も高さもひと回り小さい。こちらは根を深く張らないキャベツ、ブロッコリー、ハクサイなどの葉物野菜やハーブ類などに適している。畝が小さいため作業面積が限られる小さな菜園で、しっかりと畝を立てたい方に最適な培土器だろう。また盛る土の量が少ないので、馬力の小さな耕うん機でも十分対応でき、使いやすいのもうれしい。

排水性の良い
台形の畝

培土器:台形畝用

最後は台形畝用のタイプ。先の2つの丸型畝とは異なる角型で台形の形状の畝を立てる。畝のサイズも大きく、高さも最高25センチまでになる。台形畝の特徴は表面積が広く、利点は溝部分をしっかりとした形状にすることで、粘土質の土壌でも排水を良くすることができることだ。葉物から根菜類まで多くの野菜に対応するので、まずは自分の畑の土質の確認をおすすめしたい。また、こちらも土量が多く必要で、馬力の大きな耕うん機に適している。

人も野菜も
健やかに

手作業の畝立てでは、鍬はもちろんメジャーや紐、支柱など様々な道具も必要になる。耕うん機を活用すれば培土器ひとつで、多くの手間や作業が省け、時間短縮や疲労軽減にもつながる。畝は野菜にとって一生の寝床になる大事な場所。おいしい野菜に育つためにも、健やかな生育環境が欠かせない。培土器は今や、畝立て作業の必須アイテムになりつつある。自分の菜園環境にふさわしい畝と培土器を見つけてもらいたい。

今回使用した耕うん機。ヒッチ付で培土器もすぐ取付できる。出力最高2PSで小ぶりな畝から大きめの畝づくりまで対応できた。