一歩先行く耕運機活用術 一歩先行く耕運機活用術

  • 文●小田ゆかり
  • 写真●柳原美咲
vol4

耕うん機を長もちさせるための
メンテナンスのポイントを知ろう

オフシーズンなど長く出番がなかった耕うん機を久しぶりに動かしてみると、あれ?エンジンがかからない!というトラブルは意外と多い。そうした新シーズンの使い始めのトラブルを避けるには、長期間使用しないときにもきちんとしたお手入れをすることが重要だ。トラブル回避のためにはどんなお手入れをしたらいいのだろう?ふだんからどんなことに注意したらいいのだろうか?そこで機械を長もちさせるためのメンテナンスについて、プロの整備士に聞いてみた。

シーズンが終わったら
耕うん機から燃料を抜く

教えてくれたのは(株)ホンダパワープロダクツジャパンの整備士・河内(こうち)さん。家庭菜園向け耕うん機を使いながら指導してくれた。まず聞きたかったのは、長期保管後、エンジンがかからないというトラブルを防ぐには何をしたらいいのか、だ。

1爪まわりの泥汚れや
絡まった根を除去
爪はピンを抜くだけで
着脱できる
見落としがちな車軸部分に
絡まった草の根を取り除く

手袋を着用して爪を外し、錆の原因となる泥汚れを水洗いでしっかり落とす。オイル漏れの原因になる草や根の絡まりを取り除き、傷の有無も確認。摩耗した爪は交換する。

2エンジンに残った
ガソリンを抜く
燃料タンクの給油口からポンプで
ガソリンを抜く
キャブレター底部の燃料の抜き口に
付属のチューブを差し、燃料を抜く

長期間使用しないときは、まず燃料タンクのガソリンを抜いたあと、キャブレター内のガソリンも抜く。ガソリンはポリタンク等ではなく、必ず消防法令に適合した金属製のガソリン携行缶に移すこと。

河内さんの答えはズバリ、シーズン終了後、燃料タンクとキャブレターのガソリンをすべて抜きとることです」ガソリンって抜くもの?と意外な気がしたが、「放置しておくと劣化する」と聞いて納得。入れたままにすると、劣化したガソリンが固着し、詰まってしまうという。そうなると分解修理や交換など、大事だ。作業は工具いらずで難しくはない。上記の手順を参照して、レッツ、トライ!

エアクリーナーの点検で
次シーズンへの備えも

長期保管前のメンテナンスは、交換が必要な部品を確認し、次のシーズンに備える意味もあると河内さんは言う。チェックポイントの一つが、エアクリーナーだ。エンジンに空気を取り入れる時に埃を遮断する大事な場所で、汚れもたまりやすいため掃除が欠かせない。「埃で目詰まりすると不完全燃焼を起こし、エンジン始動に支障をきたすので、定期的な交換も必要です」汚れがひどい場合は、次のシーズン前に新しいエアクリーナーを用意しておこう。

3エアクリーナーの
点検&掃除
カバーを外し、
紙製の濾過部を取り出す
使用後(右)は全体が茶色く汚れている。
交換の目安

蛇腹状になった濾過部を広げて、中に埃がたまっていたら軽く手で叩いて落とす。目の詰まりが解消しないときは交換が必要。日頃から小まめに掃除していると長もちする。

次のシーズンに備えて
シートを被せて保管
埃や雨、紫外線による劣化から守るためにカバーをかけて保管しよう。物置に入れてカバーをかけておくのがベスト。

最後に掃除や点検が終わったら、シートを被せて保管。雨風にあたると、エアクリーナーの汚れや燃料タンクに水蒸気が溜まる原因に。快適に使うため保管にも注意を払いたい。

新たなシーズン開始時に
エンジンオイルの確認を

新しいシーズンを迎え、再び耕うん機の出番というとき、やるべきことはなんだろう?「エンジンオイルをチェックすることです」と河内さん。エンジンオイルは使わなくても自然に劣化し、そのまま使えば故障の原因になり、機械の寿命を縮め、修理も大変になってしまう。半年毎に新しいオイルに交換するよう心がけよう。

シーズン開始時に行うこと
エンジンオイルの確認&交換
エンジンオイルの劣化を確認し、必要ならば交換を。古いエンジンオイルは市販のオイルパックか、新聞紙などに染みこませて捨てる。※自治体ごとのゴミ処理の規定を守り、適性に処理してください。
  • 1
    給油キャップを取ってエンジンオイルの量や色を確認
  • 2
    排油ボルトとシーリングワッシャーを外し古いエンジンオイルを捨てる シーリングワッシャーも同時に交換
  • 3
    新しいオイルはオイルジョッキなどで予め計量してから注入すると作業が簡単

メンテナンス作業は
想像したよりも簡単!

耕うん機を使って家庭菜園を楽しむなら、メンテナンスも大切な作業。野菜づくりと同じで日頃のお手入れは欠かせない。その大切さはわかってはいても、「機械は苦手だし、難しそう」と尻込みする人も多いのでは?だが実際にやり方を見せてもらうと、慣れれば、女性でも難しくはないと感じた。複雑な機械だからと意識せず、まずはチャレンジすることが肝心なのではないだろうか。今回使用したモデル以外でも基本のメンテナンスは変わらないそうだ。この機会に、「キャブレターのガソリン抜き」など必須のメンテナンスから始めてみよう。

日常のひと手間で機械が長もち!
使用後、キャブレター内のガソリン抜きを忘れずに。
機械を長もちさせ、ストレスなく使い続ける秘けつは日常の点検とお手入れにあり!ポイントは3つ。1つめは、使う前にエンジンオイルの量と色をチェックすること。2つめは、エアクリーナーの汚れをチェックし、小まめに埃を落として使うこと。3つめは、キャブレター内のガソリンを、毎回使い終わったら空にしておくこと。やることは簡単。燃料コックを「止(OFF)」にしてからドレンつまみを緩め、ガソリンを抜くだけ。
エンジンオイルの不足は焼き付きの原因に。適量を常に確認しよう