一歩先行く耕運機活用術 一歩先行く耕運機活用術

  • 文●鑓田浩章
  • 写真●柳原美咲
vol3

サイズが異なる耕うん機の
働きの違いを理解しよう。

耕うん機のカタログを開くと、同じタイプでも、大きさの異なるものがある。実際に使うと、作業にどのような違いがあるのか、気になるところだろう。今回、車軸式の大きさが違う耕うん機を使い比べて、それぞれの利点を探ってみた。 大きさによる特徴を理解できれば、本当に自分にあった耕うん機を選べるはずだ。

大きさの違う
2つのモデル

用意した耕うん機は車軸式の「こまめF220」と「パンチF503」。2つの耕うん機の特徴を簡単にまとめると、「こまめ」は、排気量57 ㏄のエンジンを搭載し、小型軽量による取り回しのよさとパワフルさを備えた車軸式の定番モデルだ。30坪ほどから100坪の畑まで対応する。一方の「パンチ」は排気量163㏄の大きなエンジンで、 52 ㎏のずっしりとした重量と広めの耕幅を活かし、広く深く掘り進むことができる。約300坪の広さまで対応するワンサイズ上の耕うん機である。

<車軸式の定番>こまめF220(JT)
コンパクトサイズながらパワフルに耕うん。
27㎏の重量で移動も持ち運びも便利。
●最大耕幅:54.5㎝
●耕うん爪直径:28㎝
●排気量:57.3㎤
●重量:27㎏
<ワンサイズ上の車軸式>パンチF503(JT)
車軸式耕うん機でトップクラスのパワー。
しっかりとした重量で固い土にも深く食い込む。
●最大耕幅:63㎝
●耕うん爪直径:30㎝
●排気量:163㎤
●重量:52㎏

同じ条件で
耕うんしてみる

畑の大きさに合わせて耕うん機を選ぶべきだが、人により耕うん作業にかけられる時間は異なるのではないか。そんな疑問を解消しようと2台の耕うん機を使って、同じ条件のもとで実際に耕うんをし、それぞれどの程度の違いが出るかを検証してみた。

軽いので
取り回しが簡単

まずは排気量57ccの「こまめ F220」から試す。スターターロープを勢いよく引くと、適度な加重とともに驚くほど簡単にエンジンが掛かった。スロットルレバーを握ると、爪の回転が勢いを増し、どんどん土に食い込んでいく。「こまめ」は小型で軽量のため旋回も楽で、取り回しの良さが実感できる。耕うんは2往復するところでちょうど4分が経過していた。耕うん面積を測ってみると、12m×2m50㎝で約9坪だ。フカフカの状態の畑がそこにあった。

大きいタイプの
実力

続いて排気量163cc「パンチ F503」を検証した。「こまめ」が2往復した4分を目安に耕うんしてみる。スタートは「こまめ」と同じで、スターターロープを引き始動する。エンジン自体が大きいので、引くときの手応えはかなりのもの。響くエンジン音がパワーを感じさせる。「パンチ」は、ゆっくり爪が回転し土を粗く起こす1速と、より細かく土を起こす2速の変速ギアを持つのが特長。今回は2速にして耕うんを行った。勢いよく回転する爪が土に食い込み、どんどん前進する。車体の重さと持ち前の馬力の相乗効果で、より深く耕うんできる。旋回については、「パンチ」はハンドルと耕幅が長いので、「こまめ」のほうが簡単に感じた。3往復目を折り返したところで4分経過。同じように面積を測ると、12 m×4mで約14 坪。「こまめ」の1.5倍だった。

「こまめ」で4分間(2往復分)の耕うん作業をした状態で「パンチ」も検証した。 ※作業結果については、畑の土の状態や耕うん機操作習熟度により変わります。
30坪を耕す場合の
作業時間の目安

※作業時間4分での実測値を元にした換算値です。 一定の条件の下での一例のため、条件により変更になることがあります。

  • パンチ
    8分30秒
  • こまめ
    13分20秒

それぞれの
得意技に注目

今回、2つのモデルを使い比べ、大きさの違いによる作業能力や特徴について検証した。「こまめ」のような扱いやすい小型タイプは、どんな状況でも活躍できる万能モデルだ。小型であるがしっかりと耕うんでき、さらに移動・収納時には使い勝手のよさを実感できるだろう。 一方、作業面積を優先する場合、エンジンが大きく耕幅の広い「パンチ」が優位性を発揮する。限られた時間の中で耕うん作業を完了させることもでき、他の作業に時間を割くことができる。この結果を参考に、自分の畑の広さや目指すスタイルにあった耕うん機を選んでほしい。

「パンチ」は1速2速と速度を選べる。後進にも対応し、大きな機体の取り扱いも安心だ。