一歩先行く耕運機活用術

vol23

畑の片付けと寒起こしで冬のあいだに土づくり!
次シーズンへの準備と対策に耕うん機を
上手に活用してみよう

ライター/小田ゆかり、写真/福地大亮

秋・冬の収穫が終わり、畑が空いているこの時期は、実は次のシーズンの野菜づくりにとって重要な土づくりの時期。土をリフレッシュさせるためのひと手間をかけることが大事になる。そこで今回は、次のシーズンに向けての準備と対策を取り上げ、重要な畑の片付けと寒起こしにも耕うん機が活用できることを紹介。手作業との比較も合わせ、検証してみたい。

畑の片づけと寒起こしで
春に向けて土をリセット

今シーズンの収穫を終え、ひと息つくこの季節。しかしこの時期は、疲れた土を休ませ、リセットする大事な時期でもある。収穫後の畑を春までそのままにしてしまう人もいるのではないだろうか。この時期にきちんと管理することで、次のシーズンの野菜作りに大きな意味を持ってくる。まず初めにやることは、収穫した野菜の根や葉を取り除くことだ。これらを放置すると病害虫が発生する原因となるので、野菜クズやゴミはきちんと取り除いておこう。ここで問題になるのが、硬く締まった畝の中に残された根の処理だが、これには耕うん機が活躍する。土の中に残ったこれらの処理は手作業でするには手間がかかるが、耕うん機を使えば簡単に崩すことができ、処理がしやすくなる。処理の終わった畑は、耕うん機できれいに耕しておけば、以後畑の様子を見やすくなる。畑じまいが済んだら、次にぜひやっておきたいことがある。それが「寒起こし」だ。寒おこしを知らない人もいるかと思う。寒起こしとは、畑に霜が降りる厳寒期に土を掘り起こし、その時できた土の塊を寒気にあてる作業のこと。地表から30㎝ほどの土を粗く掘り起こして寒い空気にさらすことで、土中の水分が凍結と解凍を繰り返し土の塊の中の病原菌や害虫の幼虫を死滅させ、サラサラのよい土を作る。その際、米糠や腐葉土を撒いてから寒起こしをすると、栽培に必要な微生物が増え、土の活性化にもつながる。

  • (左)収穫が終わったら、表面のゴミや葉を片づけたあと耕うん機を走らせ、畑の土をならしておこう。土中に残った根が掻き出され、雑草の処理もできる。このときは標準爪を使用する
  • (右)収穫後、畝がそのまま残る畑

ミラクルローターが
寒起こしと相性抜群!

土塊を作ることがポイントとなる寒起こしには、機械での作業は難しいのではと考えられるが、実際に耕うん機で手軽にできるのか、試してみた。まず、標準の耕うん爪をアタッチメントのミラクルローターに付け替えて作業することをおススメする。そして、土の塊を残すため、耕うんしすぎないことがコツとなる。標準の耕うん爪だと、深く爪を入れようとしているうちに、耕うんされて土がサラサラになってしまうため、寒起こしには向いていない。だがミラクルローターなら、長い鉤状の爪が土に深く入り込み、爪の間隔も広いため粗く掘り起こすことができる。そうした特徴が、寒起こしにピッタリというわけだ。しばらく耕していない硬くなった土にも使用できる。今回は畝が残ったままの畑で試してみたところ、拳ほどの土の塊がどんどん掘り起こされ、耕うん機で寒起こしができることが確認できた。硬くなった畑の場合は、焦らずに一度耕うん機を走らせ、表面を砕いてやり、2回目は少し爪を土中にしっかり入れることを意識して走らせてみるとよいだろう。写真のようなゴロゴロ感を意識しながら、畑の土質に合わせ、耕うんの回数など操作を加減してみてほしい。

  • (左)耕うん機による寒起こし。手作業よりはやや小ぶりだが、拳ほどのゴロゴロした塊ができている
  • (右)スコップを使って手作業で寒起こしした土。大きな塊ができている

耕うん機を使えば
手作業の何倍も簡単!

スコップを使った手作業による寒起こしも行い、耕うん機での作業と比較してみた。まずは5分の計測でどれくらいできるかを試したところ、畑の土がかなり硬かったこともあるが、手作業では1メートルがやっと。5分が非常に長く感じられた。一方の耕うん機は、あっという間に端から端まで作業終了。手作業よりやや小ぶりな土塊だが、寒起こしには十分な仕上がりになった。

手作業は5分間かかって1mだったが、耕うん機はあっという間に端まで掘り起こせた

1~2カ月後には
サラサラな土壌に

寒起こしのあとは、そのまま放置しておくだけだ。すると凍結と解凍を繰り返すことで徐々に塊が崩れ、1~2カ月後にはサラサラの土になるはずだ。そこに肥料などをすき込み、きれいに耕うんしておくと、春からの野菜づくりの準備ができる。寒起こしは手作業だと大変な作業だが、耕うん機とミラクルローターを使えば、時間もかからず、簡単にできる。この機会に畑の整理と寒起こしを耕うん機で試し、新たなシーズンへの準備に活用してほしい。

米糠や腐葉土を寒起こしの前にさっと撒いておくと、微生物のエサになり、土が活性化される