ロータリー式なら
コツいらずで上手に耕うん
家庭菜園で使用される耕うん機には、定番の車軸式のほかにロータリー式があるがロータリー式ならではのメリットも多い。今回は、ホンダのリアロータリー式耕うん機『ラッキーマルチFU700JR』(以下、FU700JR)とフロントロータリー式『サ・ラ・ダFF500』(以下、FF500)という二つの機種を実際に使用し、それぞれの特徴を見ていきたい。まずは両機種に共通するロータリー式の特徴を押さえておこう。最大の特徴は、作業や移動時に進むための駆動輪が独立して動く自走式であるという点だろう。また、事前に耕うんの深さや作業スピードを設定できるため、作業の際に、細かく力の入れ具合を加減する必要がない。この点が抵抗棒への力の入れ具合で、耕うんの速度や深さを調整する車軸式との最大の違いだ。また、ロータリー式の駆動輪には、デフロック機構が備わり、まっすぐな耕うんをサポートしてくれる。この機能は、畝立てやマルチ張りなど、アタッチメントを使った作業でも活躍する。このように、力やコツがいらないだけでなく、上手に作業が行えることがロータリー式耕うん機のメリットだ。


- (左)『FF500』にブルー溝浚器を付けて畝立てを行った。アタッチメントを付けても作業の安定性はキープ
- (右)デフロックレバーを「直進」にすると安定性が増し、まっすぐ進みやすい。「旋回」に切り替えると方向転換がスムーズにできる
パワフルで仕上がりが
キレイなリアロータリー
初めに、リアロータリー式の『FU700JR』を試してみた。リアロータリー式は、その名の通り耕うんロータリーが機体後方にある。ロータリーは、カバーに覆われており、カバーの後ろに付くマットと、機体前方に重りが付いているのが特徴だ。実際に耕うんしてみるとエンジンのパワーと機体の重さで、自然と爪が土中に食い込んでいく。耕した跡は粒子の細かい土が、キレイに整地されていく。その理由は、先に書いたロータリーを覆うカバーと、カバーに付いているマットだ。掘り起こされた土は、カバーの中で攪拌され、さらさらとした細かい土になり、その細かくなった土をカバーに付いているマットが整地しながら進むから、平らでキレイな畑に仕上がる。最近は、『FU700JR』のように別売りのアタッチメントを使用しなくても、尾輪と整地マットを使って手軽に簡易畝立てができる機種も出てきている。検討材料の一つになるだろう。
フロントなら旋回も楽!
取り回しの良さが特徴
リアロータリー式は機体の重さがメリットになると実感したが、「大きな機体は取り回しが大変そう」と感じる人もいるかもしれない。そういう方にはフロントロータリー式の耕うん機がおすすめだ。『FF500』を見ると、耕うん爪が機体前方についている。これがフロントロータリー式の特徴である。作業中も足元に余裕があり、安心感がある。リアロータリー式とは違い、耕うん爪を覆うカバーが無く干渉されないので、爪が深く潜っていくことも感じられた。また、機体前方に耕うん爪がついていることで、畑のキワまで耕うんができることもメリットだ。限られたスペースでの作業にも有効に使えるだろう。旋回するときは、テコの原理を利用する。デフロックレバーを旋回に切り替え、ハンドルを押し下げると前方の爪が持ち上がり、あまり力を使わずに旋回できた。パワフルな耕うん性能を持ちながらも、取り回しがとても楽なことは大きなメリットだ。本格派にはもちろん、初心者でも扱いやすいだろう。最後に、この機種で土量の多い畝を立てるブルー溝浚器を試してみたが、まっすぐグングン進み難なく、きれいな畝が簡単に立てられた。
耕うん
FU700JR


FF500


- (左)『FU700JR』の耕深は最大17cm。整地マットが畑をならす
- (右)『FF500』の耕深は最大20cm。耕うん後はタイヤの轍が残る
旋回
FU700JR

FF500

- (左)『FU700JR』はハンドルを持ち上げながら回り込み、旋回する
- (右)『FF500』はハンドルを押し下げると爪が持ち上がり、楽に旋回
ロータリー式耕うん機を
選択肢のひとつに!
今回、ロータリー式耕うん機全般のメリットを紹介し、リアロータリー式、フロントロータリー式の機種を実際に使用して、それぞれの特色を確認できた。この機会にロータリー式の特徴を理解し、ご自分の菜園への導入を検討してみてはいかがだろうか。

フロントロータリー式なら耕うん爪が前方にあるので、畑のキワまで耕すことができる