一歩先行く耕運機活用術

vol20

アタッチメントを使わずにできる!
ロータリーカバー開閉型で色々な畝を
立ててみよう

ライター/小田ゆかり、写真/福地大亮

野菜作りを楽しんでいると、新しい野菜に挑戦したくなり、作物の種類がどんどん増えて行ってしまうものだ。それぞれの野菜に最適な土作り、畝立てをしたいけれど、プロのように野菜ごとに専門の道具や機械は揃えられない。そこで強い味方になるのが、1台で色々な畝が立てられる耕うん機だ。前号に続き、『ラッキーマルチFU700JRM』を使用して、設定を確認しながら出来上がる畝を紹介する。

FU700JRMで
多様な畝立てに挑戦

リアロータリー式耕うん機『ラッキーマルチFU700』にはJRとJRMの2タイプがある。JRMは、ロータリーカバーが開閉できるのが特長だ。ロータリーカバーの開閉と耕うん爪の設定を組み合わすことで色々な畝が立てられるので、アタッチメントを追加で揃えなくても、本機自体の設定で多彩な作業が可能になる。家庭菜園家にとって頼もしい限りだ。設定のポイントは、①ロータリーの爪の配置と向き、②ロータリーの回転方向③ロータリーカバーとサイドカバーの開閉と角度だ。これらを作りたい畝の形によって変えていく。今号ではいくつかの設定を紹介し、それぞれどのような畝が立てられるかを検証してみたい。

設定 1
設定が楽な簡易畝立て

畝立て前の準備として畑を良く耕した後、まずは簡易培土から試してみた。設定はロータリーをそのままに、尾輪を下向きにして長さを合わせるだけ。機械を走らると、整地マットが土を押さえつけながらたわみ、畝が出来上がっていく。往復すると、直線的な断面を持つ台形に近い畝が出来た。シンプルな仕組みだけに、畝の出来上がりは土質に左右されやすいが、今回の検証では高さも十分で使いやすそうな畝が出来た。

設定 2
なだらかな丸畝づくり

次は爪の設定を変更し、ロータリーカバーも開けて、丸畝を作ってみた。土揚げ爪が内側、ナタ爪を外側に、正転時に爪の反りが入っている側が土にあたる向きでローターを取りつけ、シフトを正転側の作業に入れ機械を動かすと、土揚げ爪に持ち上げられた土をマットが押さえ、丸みを帯びた形のよい畝が出来あがっていく。ロータリーでしっかり土を盛り上げてからマットで押さえるので、簡易培土と比べ、土質に左右されづらい。また、ロータリーカバーとサイドカバーの開き具合で、高さや形状が微調整できるのが利点だ。形のよい丸畝は、多くの野菜の栽培に活躍しそうだ。

耕うん爪は、ナタ爪(爪軸赤)と土揚げ爪(爪軸黒)を組み合わせた分割着脱式。土揚げ爪は幅広く、角度が付いているので、土を跳ね上げられる。

耕うん機の設定別の畝形状
簡易畝立て
簡易畝立て
簡易畝立て
  • 爪配置:内側がナタ爪、外側が土揚げ爪
  • 爪先の向き:内向き
  • ロータリー回転:正転
丸畝
丸畝
丸畝
  • 爪配置:内側が土揚げ爪、外側がナタ爪
  • 爪先の向き:外向き
  • ロータリー回転:正転
畝幅が広い高畝
畝幅が広い高畝
畝幅が広い高畝
  • 爪配置:内側が土揚げ爪、外側がナタ爪
  • 爪先の向き:外向き
  • ロータリー回転:逆転
畝幅が狭い高畝
畝幅が狭い高畝
畝幅が狭い高畝
  • 爪配置:土揚げ爪のみ
  • 爪先の向き:外向き
  • ロータリー回転:逆転

※ 爪の向きは、ロータリーの回転方向に応じて、爪の反りが入っている側が土にあたる向きにセットする

設定 3
土揚げ作業にも活躍

続いて、畝間が広い高畝を作ってみる。設定は土揚げ爪が内側、ナタ爪が外側ではあるが、爪の回転方向を逆転とするため、先程の設定とは左右をひっくり返すイメージになる。土揚げ爪が削り取った土が、ロータリーカバーの中で攪拌された後、サイドから排出されて畝になっていく。畝底を削りながら持ち上げる分、畝も高くなり、まるでプロが使用する管理機で作った畝のようだ。水はけの悪い畑での栽培、水はけのよい土を好む野菜、根を深く張る作物の栽培に活躍しそうだ。畝間が広いので、成長すると横方向に広がる作物にも向いている。

設定 4
幅狭の畝立て+中耕・培土

最後は畝間の狭い高畝を作る。設定は、先ほどの設定から、ナタ爪を外してやればよい。畝の特長は先ほどの設定と同様だが、畝間が狭くなるので、家庭菜園でも使い勝手が良さそうだ。ロータリー設定はそのままに、別売りの小径のオプションタイヤを使用すると、輪距が狭められ、家庭菜園で栽培中の狭い畝間にも入りやすくなる。畝間をその状態で耕してやれば、中耕・培土が一度にでき、手作業では手間のかかるネギの土寄せ作業等に大活躍する。

オプションタイヤの装着で栽培中の狭い畝間でも活躍
オプションタイヤを使用すれば、最も狭い設定で約21cmまで輪距が狭められるので、狭い畝間にも入れる
オプションタイヤを使用すれば、最も狭い設定で約21cmまで輪距が狭められるので、狭い畝間にも入れる

オプションタイヤを使用すれば、最も狭い設定で約21cmまで輪距が狭められるので、狭い畝間にも入れる

FU700JRMで
畝づくりの幅を広げよう

検証の結果、ロータリーカバー開閉タイプの『ラッキーマルチFU700JRM』なら、耕うん爪の組み合わせなどにより、多様な畝を立てられることが確認できた。アタッチメント無しでも一台で何役にも使い分け可能だ。今回紹介した設定例を参考に、自分の畑や作物に合った設定で活用するのはもちろん、いろいろな畝を試し、作物の成育を比較するのも面白い。野菜づくりのレベルアップにもつながるだろう。また、この機種の特長を把握し、試行錯誤しながら、耕うん機に触れることも楽しみのひとつになるのではないだろうか。

今回使用した機材

ラッキーマルチFU700(JRM)
ラッキーマルチFU700(JRM)
パワフルな耕うんと、標準装備で簡易畝立てが出来るリアロータリー式耕うん機『ラッキーマルチFU700』シリーズ。手軽な畝立てに便利な「JR」と、耕うん爪の設定などで一台で何役にも使える「JRM」がある。
オプションタイヤ3.5
オプションタイヤ3.5