アタッチメント無しで
畝立て・管理作業ができる
耕うん機の種類には、耕うん爪が後方についているリアロータリー式というタイプがある。主に広い畑で活躍し、耕うん爪を覆うロータリーカバー内で土を細かく撹拌、同時に耕うんした土を整地マットでならすので仕上がりがキレイになるといった良さがある。このリアロータリー式には、簡易畝立て機能付きの機種があり、別売りのアタッチメントを使用しなくても畝立てができるので手軽だ。ただ、専用のアタッチメント無しでしっかり畝が立つのか懐疑的な人もいるのではないだろうか。そこで今回は、ホンダからこの春登場した『ラッキーマルチFU700』シリーズで実際に畝を立てて検証してみたい。このシリーズには、『FU700JR』と『FU700JRM』の2タイプがある。『JR』タイプは耕うんと整地に加えて、簡易畝立てまでこなす。『JRM』タイプは、いわゆるロータリーカバー開閉型で、耕うん・整地・簡易畝立てのほか、土揚げ、中耕培土など多彩な管理作業まで対応するタイプだ。
簡易培土でも
しっかりした畝が立つ!
初めに『FU700JR』を試してみた。畝立ての準備は、専用アタッチメントの場合と同様に、事前に良く耕すことが必要だが、さすがに196㎤エンジン搭載だけあって耕うんがパワフルだ。良く耕うんしたら、ロータリーカバーに付いている尾輪を下向きにして長さを合わせるだけ。機械を走らせてみると、整地マットが土を押さえながらたわみ、培土器のような形になる。ロータリーカバーの中で攪拌された土が、整地マットでしっかり押しつけられ、直線的な断面をもつ台形の畝ができあがった。当初は、きれいな畝になるか心配だったが、しっかりした畝が立ち、これなら野菜も元気に育ちそうだ。




(写真上)機体後方の尾輪は移動と簡易畝立てで活躍
(写真下)ハンドル高さは左レバーを握るだけで調節可能。
ハンドルを持ち上げて旋回するリアロータリー式では、ワンタッチで上下できることは、取り回しの良さに直結する
こだわりの畝立てには
専用の培土器で
今回の畑では申し分ない畝が立ったが、土質によっては簡易培土器では思い通りの畝ができない場合がある。また、畝の高さや形にこだわりたい場合もあるだろう。そのときは別売りのアタッチメントの出番だ。今回は丸畝が作れるパープル培土器を使用してみた。作りたい畝によって最適な培土器が選べること、また好みに応じた設定調整で重めの土にも対応、思い通りの畝が作れることが培土器使用のメリットだ。
パープル培土器


別売りのパープル培土器を付けると、なだらかな丸畝が作れる。培土器の設定次第で高さや畝間が調整でき、土質を選ばずに楽に土を牽引できる
簡易培土


標準装備の簡易畝立てでは直線的な断面の台形型の畝が立った。畝間も十分で、水はけも良さそうだ
カバー開閉型なら一台で
多彩な管理作業にも対応
次はもう一つの『FU700JRM』を試してみた。こちらの機種は、ロータリーカバーが開閉するタイプで、耕うん・整地・畝立てに加えて土揚げや中耕・培土等の多彩な管理作業に対応する。カバーの開閉角度や、分離・脱着式の耕うん爪の配列、ロータリーの回転方向を作業に合わせて変更し使用する。今回は土揚げ作業を試してみた。土揚げの設定にした耕うん機を走らせると、ロータリーに掻き揚げられ、攪拌された土が、開いたロータリーカバーのサイドから噴出し、高さのある斜面が出来上がっていく。畝の高さは本企画を振り返っても随一で、まるでプロが使う管理機で作ったような畝だ。深い作土層を必要とする野菜を植えてみたくなる。


『FU700JRM』のロータリーはナタ爪と土揚げ爪を組み合わせたハイブリッド爪。分割・脱着式だから作業に合わせて付け替えられ、正転・逆転の回転方向も選べる。たとえば中耕・培土に利用する際はナタ爪を外して土揚げ爪だけを装着し、さらに回転を逆転に。耕幅が狭くなり、畝間での土寄せにも活躍する




(写真上)『FU700JRM』のロータリーカバーは開閉角度を3段階で切り替え可。カバーを開くと3つに分かれた整地マットが大きく羽根を広げたようになる
(写真下)開いたロータリーカバーとサイドカバーの横から、勢いよく土が噴き出し、高さのある畝が出来た
『FU700』で
管理作業を手軽に楽しく
今回の検証の結果、簡易培土機能でも十分立派な畝が立つことが分かった。耕うんから畝立てまで手軽に使える耕うん機を探している人に簡易畝立てができる機種はもってこいではないかと思った。しかし、専用培土器にもメリットがあることも再確認できた。畑の土質が重たい場合や、畝の高さや形状にこだわりたい人には、培土器の活用を薦めたい。また、ロータリーカバーが開閉するタイプであれば、できる作業がさらに広がる。一歩先行く野菜作りを模索する読者であれば、機能を活用して菜園生活を益々楽しめるだろう。