FF300とFF500の
作業性・操作性を比較
耕うん機には同じシリーズの中に排気量が違う機種が用意されているのを目にする。ホンダのフロントロータリー式耕うん機『サ・ラ・ダ』シリーズもそのひとつ。本企画でもお馴染みの「FF300」の排気量57ccに対して、今回リニューアルされた「FF500」は145ccと、約2・5倍もの排気量を誇る。排気量が大きいとその分「パワーが上がる」ことは想像できるが、パワーが上がると、実際に何が良いのか、家庭菜園の作業でもメリットがあるのか、検証してみたい。
段違いの力強さ
初めに、耕うん作業から試した。「FF300」は、これまでにも検証してきた通り、安定感も操作性も良く、バランスの取れた非常に扱いやすい機種だ。次は「FF500」で検証する。少し耕うんしただけで、ロータリーがグイグイと土に食い込み、力強さが圧倒的に異なることが感じられた。しかも「FF500」は耕幅が55cmで最大耕深も約20cmと、「FF300」と比べて10cm広く、4cm深く耕せる。大排気量の恩恵によるものだが、趣味の家庭菜園であっても、この違いは大きい。特に、深く掘れることは、根菜類や深く根を張る野菜を栽培する人にとっては魅力的だろう。ではパワーが増すことに反比例して、操作性が悪くなると思われるのではないだろうか。機体重量も「FF300」は51㎏ 、「FF500」は78㎏と差があるが、取り回しについては、あまり違いは感じられず旋回もしやすく、小回りも利く。それは、このフロントロータリー式『サ・ラ・ダ』シリーズはエンジンがタイヤの上にある構造から重量バランスが良いという特徴によるものだ。

「FF500」は今春のリニューアルでセルスターターが搭載され、エンジン始動はスタートボタンを押すだけでOK
FF500は
幅広の畝立ても楽々!
アタッチメントをつけた作業ではどうだろうか。まずは「FF300」に培土器を付けて畝立てをすると、簡単に美しい畝が立てられた。次に敢えて牽引する土の量が最大になるように培土器を設定して試すと、「FF300」の牽引力では苦しいと感じられた。同じ培土器の設定で「FF500」で試すと、難なく幅広の高畝が出来上がった。この牽引力があれば、重い土質や粘土質の畑での作業であったり、畝を高くしたいときにも大いに活躍するだろう。次に試したのはマルチ張りだ。両機種の耕幅と牽引力の違いから設定されているマルチシートが異なる。できあがりのマルチ幅は「FF500」の方が10㎝ほど広くなる。実用性の高い幅広のマルチを使いたい方には「FF500」がオススメだ。


アタッチメントを使うとシート張りと土寄せが同時にできる。

「FF300」で作ったマルチは35cmだが、「FF500」だと45cmに
本格的な畑づくりは
FF500にお任せ
今回の検証から「FF300」は改めてバランスの良い機種だと再確認できた。家庭菜園での様々な作業でオールマイティに活躍してくれるはずだ。一方、「FF500」は排気量の違いに見合った段違いのパワー感を持ち、耕うん作業でも、アタッチメントを使った作業でも「FF300」の一歩先を行っている機種だと感じた。しかもフロントロータリー式ならではの扱いやすさから家庭菜園でも持て余すことがなく、十分にその能力を活用できることが分かった。家庭菜園にのめり込むと、本格的な土づくりや畝にこだわりが出てきたり、色々な作物の栽培に挑戦したり、畑を広くしたいという気持ちが出てくることだろう。そんな人にとって「FF500」が良き相棒にとなってくれると思う。耕うん機を選ぶ際には、排気量の違いによる特性を理解した上で、自分に最適な耕うん機を見つけてほしい。
FF500


FF300



「FF300」の最大耕深は約16cmで、各種の野菜づくりに適応できる。「FF500」は深さ調節が6段階で最大耕深が約20cmあり、楽に深さを出せるので根菜類の栽培などにも向いている。耕うん時の深さ調節は両機種ともレバー1本で簡単