一歩先行く耕運機活用術

vol16

畑として使っていない場所を
耕うん機の活用で菜園に変えてみよう!

ライター/小田ゆかり、写真/福地大亮

昨年から続くコロナ禍で、家庭菜園を始める人が増えている。自宅の庭の一角や休耕地などを利用しようと考えている人もいるだろう。そこで今回は「新しい畑スペースを作る」をテーマに、耕うん機を使いかたくなった空き地で検証してみた。

土起こしからの
菜園づくりに挑戦

家庭菜園を始める際、自宅の庭先や空き地、休耕地などを耕して楽しもうと考える人も多いことだろう。しかしこれらの土地を手作業で起こそうとすると、土のかたさにてこずり、時間と労力もかかるので、ハードルが高い。そこで今回、耕うん機を活用するとどれだけ楽にできるようになるのか、実際に土がかたくなった空き地で2種類の耕うん機を使って畑づくりを体験してみた。

かたく締まった土を
手作業で耕すのは大変!

検証には東京都立川市「スマイル農園」の豊泉さんにご協力いただき、二坪半ほどの空き地を使わせてもらった。普段は道具や自転車置場などに使われる踏み固められたかたい土の場所だ。まずは鍬を使って手作業で土の掘り起こし作業を行った。畑を作るとなるとある程度の深さまでやわらかくほぐす必要がある。しかしかたい土はかなり手強い。鍬を使い慣れた豊泉さんでさえ、「鍬が跳ね返りますね。これは厳しい」と手こずり気味だ。繰り返し鍬を入れながら進むので、時間も相当かかりそうだ。「かなり力も必要ですから、初心者の方にはとてもキツイ作業だと思いますよ」。手作業で新たに畑を作るのは、思った以上に大変だ。スタートで挫折してしまう人も多いだろう。

(左)これまで畑にしていなかった空きスペースで検証。(右)踏み固められた地面は、鍬では思った以上に手強かった

車軸式のかたい土対策は
深耕爪の活用で

一方、耕うん機での作業はどうだろう。かたい土の場合、耕うん機でも難しいこともある。今回、かたい土を砕くのに最適な別売りの深耕用耕うん爪「ミラクルローター」に交換できる車軸式の「こまめ」を選んで試してみた。鋭角で長い爪が土を力強く捉え、ぐんぐん掘り起こしていく。「ぐいぐいと土に入っていくね」と豊泉さん。うまく作業を進めるコツは、かたい土に跳ね返って機体を走らせないよう、抵抗棒を意識すること。そしていっぺんに深くまで掘り起こそうとせずに、何度か往復し、少しずつ掘り進めていくことも重要だ。ミラクルローターで、ざっくりと耕したのち、標準爪に変えて耕うんすると細かな土になり、畑に適したふかふかな状態になった。

こまめ F220(JT)
最初はミラクルローターで

最初にミラクルローターを装着。間隔を広くとった、長く鋭い爪で「土を砕く」イメージで進む。耕うん後は塊が残り、やや粗めのざっくりとした土ができる

仕上げは標準爪で

ミラクルローターでかたい土を砕いたあと、仕上げに標準爪に付け替えて再度耕す。すると、塊がほどよくほぐれ、ふんわり細かな土ができあがった

「サ・ラ・ダ」なら
かたい土でも手間いらず

次に「サ・ラ・ダ」を試してみた。「サ・ラ・ダ」はこまめのように爪を交換せずに、標準爪のままでも、かたい土の作業ができる。その理由のひとつは、「サ・ラ・ダ」の耕うん爪の回転方式にある。内爪が前転方向に、外爪が後転方向に回転する一軸正逆転ロータリーのため、耕うん爪が土に食い込み、機体が跳ねるのを防いでくれる。また耕うんする深さも、前輪についているレバーを引き、好みの深さに設定すれば一定の深さをキープし、完成度の高い畑ができる。試した豊泉さんの評価も「これはじつに楽ですね!」と二重丸。より楽に作業ができるのは「サ・ラ・ダ」の方だろう。何度か往復させながら土をほぐす必要があるのは「サ・ラ・ダ」も同様だ。最初は深さ設定を浅めにしてかけ、二回目以降に設定を深めに変えるのがオススメ。ちなみに今回試した場所では、二往復目でかなり土が軟らかくなった。実際の土の状況をみて回数を調節してほしい。また、後進ギアがついており、小さな畑でUターンが難しいときも前進とバックを繰り返して耕うんできるのが便利だ。

サ・ラ・ダ FF300

自走式の「サ・ラ・ダ」はかたい土でも安定感がある

前輪のレバーで深さ調整ができる。1回目の耕うんは浅く、2回目は深く設定して耕すと、かたい土も楽に掘り返すことができる

新たな畑づくりで
菜園生活に目覚める

長いあいだ踏み固められ、畑にするには難しそうな場所でも、耕うん機やアタッチメントの活用で無理なく土起こしができ、新しい畑ができあがった。こうして作った畑にはより愛着もわくに違いない。自宅の庭先や知り合いが持つ休耕地などで、家庭菜園を楽しもうと考えている人は是非検討してほしい。見過ごしていたスペースが菜園に姿を変えるかもしれない。ぜひ耕うん機を積極的に使って、家庭菜園の第一歩を踏み出してみてほしい。

左が「こまめ」、右が「サ・ラ・ダ」で起こした畑。どちらも、2~3往復して耕したが、硬い土でも短時間でふかふかの畑ができあがり手作業との違いを実感できた。