堆肥や肥料のすき込みにも
耕うん機が活躍する
元気な野菜を収穫するための第一歩は土づくりだ。植え付け前の野菜の栄養分として施す肥料や、シーズンオフに土壌改良するための堆肥を土にすき込む。こうした手入れを各要所で丁寧に行うことで、野菜がすくすく育ち、土もレベルアップしていく。しかし、手作業で畑全体に肥料をすき込むのは一苦労。肥料が偏らないように混ぜるには、時間と労力もかかる。そのため、植え付け前に肥料をパラパラ撒いて軽く耕すだけの人もいるのではないだろうか。そこでぜひ試してほしいのが、耕うん機の活用だ。耕うん機を使えば、肥料や堆肥を畑に撒いて「耕うん」するだけで、均一にすき込むことが出来る。実際に試し、手作業との違いをみてみよう。
手作業



上:腐葉土や肥料を鍬ですき込む。
左:うまくすき込まれずに、肥料などが表面に残っている。
右:土の中は、腐葉土が固まっている箇所があり、ムラになっていた。耕うん機と比べると、混ざり具合の差は一目瞭然だ
耕うん機



上:腐葉土や肥料を土にまき、その上から耕うん機を走らせる。
左:いちどの作業で土の中にきれいにすき込まれ、表面に肥料は見当たらない。
右:中もまんべんなく攪拌され、土に馴染んでいるのがわかる
※肥料のすき込み状況をわかりやすく検証するため、今回は腐葉土と粒状の肥料を使用しました。 実際に肥料を使用する際は、各商品に記載されている用法・用量をご確認ください。
『こまめ』を使えば
均一なすき込みが簡単!
初めて使う際や休ませた後の畑は、土が硬く肥料が混ざりにくいので、あらかじめ耕うんして土をほぐしておく。準備を終えた畑に堆肥や肥料を均等にまいたら、すき込みにとりかかる。まずは手作業で行った。鍬の扱いに慣れないこともあり、なかなか上手く土中にすき込まれず表面に残った肥料がはっきり見える。スコップで掘ると、浅い部分に肥料がたまり、深くまで混ざっていない。作業を数回繰り返さないと均一に混ざらず、時間もかかり体力的にも辛い。次に、車軸ローター式の耕うん機『こまめ』で試してみた。作業は簡単で、肥料をまいた上から「耕うん」するだけだ。あっという間に肥料が残らず土の中にすき込まれていく。作業後は、どこを掘っても深くまで肥料が行き渡り、偏りなく混ぜ込まれているのが確認できた。さっと1回の耕うんでも十分に混ざったが、さらにしっかり混ぜたい場合は、耕うん機をゆっくり進ませるか、同じ場所を2度掛けするとより混ざる。手作業とは比較にならないほど、時間と労力を大幅に削減できる。耕うん機を使う大きな利点は、深さや混ざり具合を均一にできる点だ。肥料がムラなく行き渡れば、野菜が元気に育つ土壌の活性化も期待ができる。
『サ・ラ・ダ』は
さらにコツいらず
ここまで『こまめ』を使って耕うん機のメリットを検証したが、さらにコツいらずで便利なのが、フロントロータリー式の『サ・ラ・ダ』だ。内爪が前転、外爪が後転し、土にしっかり食い込む一軸正逆転ロータリー搭載の「サ・ラ・ダ」ですき込み作業を行った結果は『こまめ』と同様で、畑にまいた肥料はまんべんなく土に混ぜ込まれた。自走式な上、深さ調節も最初に設定したとおりに動いてくれるので、抵抗棒で調節しながら走る「こまめ」以上に、簡単・楽にすき込みが出来た。


肥料を深くすき込むのも
耕うん機なら簡単!
野菜の種類によっては、肥料を深くすき込むのが栽培のコツというものもある。もちろん耕うん機なら、深くすき込むのも容易だ。機種ごとに、簡単なテクニックを覚えておこう。車軸式の『こまめ』は、抵抗棒を使って自分で深さを調節する。深くすき込みたい場合は、抵抗棒を長めに設定し、土に押しつけてその場に長くとどまるようにする。最初にコツをつかんでしまえば、あとは簡単だ。一方の『サ・ラ・ダ』は、よりオートマチックな耕うん機だ。最初にすき込む深さを最大に設定すれば、あとはその深さをキープしてくれる。前輪の位置をセットするだけでテクニック不要なのだが、土が硬くて設定の深さまで爪が入りづらいと感じるときは、ハンドルを少し持ち上げ、前輪を地面につけるようにすると、さらに前方に荷重がかかり、爪が土の中に食い込みやすくなる。
サ・ラ・ダFF300





深さの調節は前輪の操作のみでいいが、土が硬いときは前輪を地面につけることで、より荷重がかかり爪が深く食い込みやすくなる
こまめ F220(JT)


深く混ぜる際は抵抗棒を長くする。ハンドルを押し下げ、その場で爪が深く食い込むのを意識すると、より深くすき込むことができる
耕うん以外にも活用して
土づくりをレベルアップ
耕うん機というと、「耕す」作業にばかり目が行きがちだ。「すき込み」に活用している人は、意外と少ないのではないだろうか。しかし、手作業と比べたときの便利さや、均一に混ぜ込む実力は今回の検証が示すとおり。専用のアタッチメントも必要ない。特別な使い方をしなくても畑の土づくりがレベルアップする活用術だ。ぜひ試して菜園づくりに一層役立ててほしい。