深さの調節は
抵抗棒の操作で行う
耕うん機は様々な用途に活用できるが、もっとも基本となる作業が耕うんだ。その目的は、土をまんべんなく砕いて空気を混ぜ込み、軟らかな土にすること。排水性や保水性が良くなり、作物の根も伸びやすくなる。畑づくりに不可欠の作業だが、深く掘り返せていなかったり、深さにムラができたりして、理想の耕うんとは違うと感じている人も多いのではないだろうか?そこでまずは、基本のキである「耕うん」の仕方から確認してみよう。使用した車軸式耕うん機は、爪が土をかきながら進み耕うんしていくが、その深さ調節は、抵抗棒の使い方にかかっている。耕うんを始めるときは、ハンドルを押し下げて抵抗棒を土に押し当てる。押さえる力が足りないと耕うん爪が土に食い込まずに表面を走る状態になってしまうため、耕うん開始時には押さえ気味にする。しかし押さえすぎると前に進まない。力を少しずつ抜いてハンドルをゆっくり上げると耕うんしながら前進する。力を急に抜いてしまうと勢いよく前進し、爪が土の表面に出てダッシングをしてしまう。

「こまめ」の抵抗棒。

ハンドルを押し下げて
抵抗棒を土に押し当てる。

クラッチレバーを握り、
同時に抵抗棒を押さえる力を
少し抜いてハンドルをじわりと
上げていくと前に進む
慣れて加減をつかむまでは抵抗棒にかける力を意識しながら、急な操作をしないことがポイントだ。あとは土質をみながら調節することで、均等でなだらかな耕うんができ、栽培しやすい畑づくりが可能になる。



深く掘っているところから急に抵抗棒の差し込みを浅くすると、エンジンの力でぐっと前に出てしまう。深さが一定にならず土の中で波打つ原因に。棒をさしてみると一目瞭然
まっすぐな耕うんを
マスターしておこう
耕うん機を使った人からよく聞くのが「まっすぐに耕うんするのが難しい」という声だ。まんべんなく耕すだけなら、なにもまっすぐにこだわる必要はないと思うかもしれない。しかし、耕うんの仕上げをまっすぐにしておくと、次のステップに活かせる利点がある。まずは、まっすぐ耕うんするコツから説明しよう。基本は、背筋を伸ばし目線を少し遠くに定めること。ゴール地点にあるものを目印にして進むのも曲がらないためのコツだ。機械に慣れていない人は、耕うんしたいコースに麻紐をピンと張り、それをガイドに進むのも有効だ。耕うん機を押して歩く際、耕して軟らかくなった部分を踏みつけないようにするのが基本だが、抵抗棒が通った跡の上を片足ずつ踏むように歩いていくと、歩いた跡が自然とまっすぐな一本の溝になる。これを活用することが出来る。たとえば、耕うんのあとに培土器を使って畝立てをする際、抵抗棒の跡を歩いた線を目印に進むだけで、まっすぐ整った畝ができる。あるいは、溝をそのまま利用し等間隔に種や苗を植えれば、ラインが揃った畑が効率よく作れるというわけだ。

油断すると、土の硬さの違いで曲がってしまうことも


今回使用した「こまめ」には直進性と安定性が増すサイドディスクが標準装備され、耕うんしやすい。慣れるまではサイドディスクをガイドの紐に沿わせるようにすると、容易にまっすぐな耕うんができる。紐を巻き込まないよう注意しよう
スピードと軸を意識して
スムーズに転回しよう
耕うんをしていて、うまくいかなかった経験が多いのが折り返し地点での転回ではないだろうか。特に、大回りしてしまい、耕うんしたい位置からズレてしまったり、耕うん爪が土中に深く食い込んだ状態で無理に回ろうとして身動きが取れなくなったという失敗例が多い。

耕うん爪が土中に深く入り込んでいる状態で転回しようとすると土の抵抗をまともに受けて曲がれない。こんなときはクラッチレバーを放していったん操作を止め、態勢を整えてから再スタートしよう
上手に転回するコツは、手だけで回そうとせず、耕うん機の中心部分を軸として自分が回り込むようにすること。そうすれば小さな円でUターンができる。スムーズな転回に欠かせないのが、ハンドル左手側にあるクラッチレバーの操作だ。レバーを握り離しして前に進み過ぎないようにし、ハンドルを少しずつ上げて抵抗棒の食い込みを浅くするのがコツ。そうすると軽い力で回すことができる。抵抗棒を勢いよく浮かせると機体が前に走り出してしまうので注意しよう。ただ、クラッチレバーを放せば耕うん機は止まるので、焦ることはない。慣れないうちは、ハンドル右手のスロットルレバーを緩めてエンジンの回転数を低めにするのも有効だ。





基本のコツをつかみ
菜園生活を楽しもう
車軸式耕うん機は、コツをつかむまで多少の慣れが必要だが、操作は決して難しくはない。逆に操作に慣れて、自分の思うように扱えるようになることが、畑作りの面白さにつながる。そこが車軸式の魅力の一つと言えるだろう。この機会に正しい使い方の基本をマスターし、家庭菜園を楽しむ際の相棒として役立ててほしい。