小型耕うん機の定番機種と
手軽な機種の違いを見る
今回用意した機種は、菜園を楽しむ人たちの間で人気の定番機種の「こまめ」と、より手軽な「ピアンタ」。どちらも回転する耕うん爪の力で耕しながら前進する車軸ローター式と言われるタイプだ。価格帯も同じだが特徴は違うところが多い。一番の違いは燃料。ガソリンが燃料の「こまめ」に対して、家庭用コンロで使うカセットガスを使用するのが「ピアンタ」。「こまめ」は、ひと回り大きなエンジンを搭載し、ゆとりあるパワーをもつ。満タンで約2時間稼働、広めの畑でも十分に対応できる。ただし、燃料の持ち運びや長期保管の際の燃料抜きが必要など、ガソリンならではの気を使う場面もある。それに比べ、「ピアンタ」は力強さは劣るが、カセットガス1本で約1時間の作業が可能で、小さめの畑なら問題なく対応可能だ。カセットガスを使用するためガソリンの扱いに不慣れな人でも扱いやすくよりお手軽な機種だと言える。
ピアンタ FV200

家庭用でおなじみのカセットガスボンベを使用。1本で約1時間連続運転可。指定燃料:東邦金属工業製

- 最大耕幅
- 35cm
- 耕うん爪直径
- 25cm
- 排気量
- 49.4㎤
- 重量
- 20㎏
- メーカー希望
小売価格 - 109,780円
(税込み)
こまめ F220(JT)

燃料は自動車用ガソリン。携行缶から給油。満タンにすると0.67L。1回の給油で約2時間連続運転できる。

- 最大耕幅
- 54.5㎝
- 耕うん爪直径
- 28㎝
- 排気量
- 57.3㎤
- 重量
- 27㎏
- メーカー希望
小売価格 - 109,780円
(税込み)
万能型の「こまめ」
小回り抜群の「ピアンタ」
実際の耕うん作業ではどんな違いがあるのだろう。「こまめ」は、耕幅が50㎝を超え、爪の両側についたサイドディスクがまっすぐ耕うんしやすくしている。操作に慣れると取り回しも容易で、見た目以上にパワフルなので、短い時間で耕うんできる。耕うん機を使用するメリットを存分に感じられた。これなら小さな畑から30〜50坪程度の比較的大きい畑まで、オールラウンドに活躍しそうだ。「ピアンタ」は、「こまめ」に比べ力強さの点では小さめで、耕幅も35㎝と狭い。しかし、その狭い耕幅と軽さを活かせば、取り回しの良さは「こまめ」を上回る。隣地と近接している畑や市民農園などの小さい畑からガーデニングの花壇づくりにも重宝されるだろう。
ピアンタ


こまめ


耕幅は「こまめ」の方が約20cmほど広い。サイドディスクの効果で安定した作業ができる。「ピアンタ」は耕幅はやや狭い。機体が軽く小回りが効き、狭い畑で活躍できそうだ。
アタッチメントの使用で
作業の幅が広がる
耕うん機のもう1つの魅力は、アタッチメントを使用することで様々な作業が容易に美しく行うことが可能になり畑づくりがより楽しめることだ。特に「こまめ」は、耕うん爪や培土器など目的別に使えるアタッチメントが多く用意されている。アタッチメントによるもっとも代表的な作業の畝立てを、今回の2機種で試してみた。「こまめ」では、大型で台形の畝を立てられる溝浚器を使ってみた。牽引する土の量が多く負担のかかる大型の畝でも、ぐんぐん前進し難なく作業ができた。一方、「ピアンタ」は、たくさんの土を抱え込む培土器は、牽引力の点で少し力不足のため、浅めの畝を作る培土器を使用した。これであれば、小さな畑のスペースを無駄にしない効率の良い畝づくりができると感じた。小型耕うん機が耕うん以外の作業にも役立つことを認識した。
ピアンタ


こまめ


土の量が多い溝浚器でも、「こまめ」なら台形の大きな畝ができる。「ピアンタ」も浅めの培土器でサクサクときれいな畝が仕上がる
アタッチメントで
移動も便利
小型といっても重量のある耕うん機の移動はどうなのだろう。「ピアンタ」には、標準で車輪とキャリーボックスが付き、作業後も爪に付いた土を落とさず移動でき、車に積み込む際も汚れを気にすることはない。「こまめ」は、標準で車輪が付いておらず、持ち上げて運ぶことも多いが、別売りで豊富な車輪が用意されている。今回は、「らくらく車輪」を試した。畑まで移動し、車輪を跳ね上げ装着したまま作業できるため、とても便利だった。
ピアンタ


標準で車輪付きキャリーボックスがつき、移動や車載時にも汚れを気にせずできる。車に乗せる時も一人でできる
こまめ


別売りの移動用車輪で畑の移動も可能。車載の時は、二人で積み込むことを推奨したい。
「菜園生活」次の
ステップへ向けて
今回、小型の車軸ローター式耕うん機の2機種を試してきた。「こまめ」は広めの畑や土質の硬い畑で作業している方、深く耕したい方、豊富なオプションを使って畑作業を楽しみたい方に向いている。「ピアンタ」は、女性や力に自信のない方に特におすすめで、小さい畑や離れたところある貸農園にも気軽に運びたい方にも向いていると感じた。これまでの内容を見ていただき自分に合った耕うん機選びの参考にしていただきたい。