畝づくりのバリエーションが増える
培土器の活用法を紹介
野菜が育ちやすい環境を作るには、適切な畝立てがたいせつだ。畝には排水性や通気性を良くするほか、根がのびのび張れるスペースを作るという役割がある。そんな畝づくりに活躍するのが、耕うん機と培土器だ。畝立てについては、これまで培土器の種類や出来上がる畝の形状などを紹介してきたが、今回は一歩先に進めて、耕うん機と培土器を使った畝立ての応用テクニックがテーマだ。使用する機種は、家庭菜園愛好家にとって定番で幅広い層から支持される「こまめ」と、こまめのアタッチメントとして、よく購入される別売りのニューイエロー培土器を選んだ。この組み合わせで一般的な使い方をすれば、1条植えにぴったりな丸畝が出来る。作りたい畝のサイズ、形状に合わせて培土器の種類を選ぶこともできるが、今回は1つの培土器でできる活用法を紹介したい。
作土層の深い畝をつくる
最初に紹介するのは、高い畝を簡単に作るテクニックだ。培土器による畝立ては、使用する培土器でおおよそ作れる畝の高さが決まってしまうが、使い方次第で、通常より深い作土層を持つ畝を作ることが出来る。ポイントは、畝たての前にあらかじめ深く土を耕しておくことだ。こまめの耕うん爪の両側には安定性を増し、まっすぐ耕しやすくするサイドディスクが付いているが、これを外して耕うんすると、土の抵抗が減ることで耕うん爪が土中に入りやすくなる。そしてサイドディスクを外したまま培土器を付けて畝立てすると、培土器が深く掘られた土をかき分け高い畝ができた。畑を休めた後や土が固いときは耕うん機が暴れやすい。その際は、まずサイドディスクを付けて耕うんし、次に外した状態で作業し、深く耕しておこう。
簡単に高畝ができた!
深さが必要な野菜に有効
できあがった畝は通常よりも作土層が深いため、根菜類のように深く根を伸ばす野菜でも、根の張りを妨げずに育てられる。「サイドディスクを外して耕うん・畝立て」するだけの「こまめ」ならではの簡単テクニックだが、野菜や土壌によって畝を高くしたいときに有効な畝立て方法だ。いつもの培土器でつくる畝では高さが足りないと感じていたら、試してみてはいかがだろうか。
テクニック1作土層の深い畝をつくる

通常の畝立て


やや幅広の平畝をつくる
培土器を使用して畝立て作業をする場合、通常は往路のすぐ隣をターンして畝を形成していく。このような使い方であれば、1条植えに向いたこんもりとした丸形の畝ができる。では、この培土器を使って2条植えにも対応する幅の広い畝を作ることはできないのだろうか。答えは可能だ。背の低い平畝であれば使い方を工夫することで簡単に作ることが出来る。その方法はシンプルそのもの。復路は往路のすぐ隣ではなく、作りたい畝の幅を目安に距離を取ってターンする。そして往路と復路の間の表面をレーキでならす。土を寄せ上げないので、畝の高さは出せないが、2条植えができる平畝が完成した。手作業で土を盛って平畝を作るのに比べれば圧倒的に早く楽に作ることができる。
簡単な発想の転換で
2条植え用の畝にも対応
往路と復路のスペースを空け、あとで平らにならす。そんなちょっとした発想の転換で畝づくりの可能性が広がった。広い畑や2条植えでたくさんの野菜を育てたい方にも、このテクニックは有効だろう。つくる野菜のサイズに合わせて幅を変えられるから、レパートリーも広がるのではないだろうか。
テクニック2やや幅広の平畝をつくる


培土器で溝掘りも!
最後は、視点を変えた培土器の活用法を紹介しよう。本来は畝をつくるための培土器を、植え溝掘りに使うアイデアだ。ポイントは視点を逆にして、土を寄せた山の部分ではなく、畝間に着目すること。すると、土をよけた部分はまさに溝を切っていることになり、畝間が植え付けスペースに変身する。ジャガイモの種芋を植えてみたが、広い畑でも作業が手軽になると感じた。同じ考え方で溝施肥にも活用できる。培土器の活用法を紹介したが、アイデア次第で活用の幅が広がる。紹介したアイデアを参考にして、ぜひ野菜づくりの作業に活かしてほしい。
テクニック3培土器を溝掘りに活用
