一歩先行く耕運機活用術 一歩先行く耕運機活用術

  • 文●小田ゆかり
  • 写真●松木雄一
vol10

専用ローターを使い
耕うん機で本格的に除草しよう

久しぶりに足を運んだ家庭菜園で、一面に広がる雑草にうんざりした経験を持つ人も多いのではないだろうか。だが耕うん機を活用すれば、時間や労力をかけず、楽な除草が可能だ。今回は、そんな耕うん機による除草作業を検証してみた。

すぐに生える雑草は
菜園管理の頭痛の種

家庭菜園を楽しむ方にとってもっとも厄介で面倒な作業の一つは雑草対策ではないだろうか。雑草を放置すれば、雑草に養分を取られてせっかく植えた作物が負けてしまったり病害虫の発生を招く恐れもある。こまめに除草するのがベストだが、広範囲の除草を手作業でやると考えただけで心が折れかねない。そんな頭痛の種を取り除いてくれるのが耕うん機だ。耕うん用のローターに加え、除草を行うための別売りの専用ローターが用意されている。そこで今回は実際に耕うん機で除草を行い、手作業と比べながら、除草に耕うん機を活用するメリットを考えてみることにした。機種を用意し畑での実力を検証した。

こまめ F220に除草用ローター「ブルースパイラル650」を装着した状態

耕うん機を使えば
あっという間に除草!

まずは雑草に覆われた畑を、鎌を使って手作業で除草していくが、雑草が一面に生える畑では、なかなか作業が進まず、今回設定した5分ではわずかな広さしか除草できなかった。次は耕うん機を使った除草を体験した。作業の準備は、標準の耕うん爪を専用ローターに付け替えるだけ。通常の耕うん作業と同じ要領で操作するだけで、手作業に比べ約8倍の大きな差が付いた。

手作業と耕うん機での除草
同じ5分でこんなに作業量が違う!
手作業と耕うん機同じ5分の作業時間で、耕うん機で除草した範囲は手作業の8倍ほど。作業効率は一目瞭然。耕うん機なら広い畑の除草も手間をかけずにできそうだ

自然な姿勢だから
長時間の作業も楽

雑草を手作業で取り除くとき、どうしても足腰に大きな負担がかかってしまう。今回5分という短い時間を設定し手作業と耕うん機での除草を検証したが、手作業は、5分という短い時間でも、少しずつ移動しながらの作業は体への負担も大きい。一方耕うん機を使った除草作業は、もちろん、腰を屈めることなく自然な姿勢で作業でき、体への負担もなく長時間の除草でもこれなら楽に進められる。作業の大変さを考えるとこれは大きなメリットといえる。

屈んだ姿勢での作業は大きな負担がかかる。
雑草の根からきれいに取り除くのは一苦労

土を浅く削って
根から除草する

雑草対策で重要なのは根を残さないことだ。手作業で草を根まで掘り起こすのは大変な作業。丁寧に作業しても、しつこい根を持った草が残るところが気になった。一方耕うん機では、ローターが土の表層を削り取るように草を絡め取る。まさに「根こそぎ」駆除できるという点が、手作業との大きな違いだ。根までしっかりと取り除いておくことで畑の状態も維持しやすく除草の回数も減らすことができる。

手作業で苦戦した背の低めの雑草も除草用
ローターなら土の表層を削り取るように駆除する

膝丈の草なら
そのまま除草できる

次に隣接する畑で膝丈ほどに伸びたヒメシバの除草にも挑戦してみた。本来ある程度伸びてしまった雑草は、鎌や刈払機などを使って下刈りのひと手間が必要になる。また、これらの作業で根までは除去できない。下刈りなどの準備は行わない状態で、専用ローターを試してみた。専用ローターを付けた耕うん機は膝丈のヒメシバをものともせずに、グイグイと倒していく。除草における耕うん機の実力を実感することができた。

膝丈ほどに伸びた雑草なら問題なく除草ができ、
通常の耕うんをする感覚でスイスイと作業が進んでいく

より美しく仕上げる
ひと手間のコツ

耕うん機を使っても一度で取り切れない草や根が残ることもある。その際には、方向や角度を変えながらの二度掛けが効果を発揮する。耕うん機を二度走らせると大半の草を取り除ける。また最後のひと手間として、除草用ローターで除草した後に耕うん爪に付け替えてサッと耕うん機をかけると、より仕上がりを良くすることができる。このひと手間で、取り切れなかった雑草の根が土中からかき出される。畑全体をきれいにしておきたい時に試してみてほしい。

空いた時間で
もっと楽しもう!

耕うん機を上手に活用すれば面倒だった除草もラクラク。手作業時の足腰への負担も無くしっかり根付いている雑草にも対処することができ、除草にかかる時間も短縮されるため、ほかの菜園作業の時間も取りやすくなる。何より、除草の手間が少なくなれば、ゆとりのある菜園生活を長く過ごせるだろう。これからは、畑を休ませた後等の面倒な除草は耕うん機に任せて、野菜づくりをもっと楽しんではいかがだろうか。

今回使用した機材