※本映像は試作機にて撮影

Miimoとは

はじめに

Hondaの芝刈機は、1978年に発売した歩行型芝刈機HR21から始まりました。その後モデルチェンジを行ないながら、北米や欧州を中心に多くのお客様にお使いいただいています。芝を綺麗に保つには、定期的に芝刈りを行う必要がありますが、その作業には大変な労力が必要です。早くから芝刈り作業の自動化・省力化に取り組んでいたHondaは、欧州を中心に自動で作業を行う「ロボット芝刈機」への期待を背景に、「安心して任せられる」「簡単に使える」「快適に過ごせる」の3つをコンセプトとするロボット芝刈機「Miimo」を開発しました。

2012年に欧州で発売を開始したMiimoは、お客様の暮らしに寄り添う製品として改良を重ねながら、現在も進化を続けています。
Miimoは電動ならではの優れた静音性から、夜間作業をも可能にし、また細かく刈った芝はそのまま芝の間に撒かれるので、廃棄する手間が省けます。お客様のニーズに沿ったプログラムで芝刈り作業を行うMiimoは、お客様の労力を削減します。

歩行型芝刈機HR21

歩行型芝刈機HR21

Miimo

Miimo

基本構成

Miimo本体には、左右の後輪を独立して駆動する2つの走行用駆動モーター(以下、走行用モーター)と、リチウムイオンバッテリー、芝刈り用駆動モーター(以下、芝刈り用モーター)、またそれらを制御するECUで構成しています。さらに本機の状態の表示や設定を入力するディスプレイ(コントロールパネル)や、障害物検知用のオブストラクションセンサーなどを備えています。

作業部にはブレードディスクがあり、そこに3枚の刈刃(フリー刃)が装着されています。
充電ステーションは、商用電源から変圧器を介してMiimoを充電する他、作業エリアを決める信号やステーション位置を知らせる信号の出力機能を備えています。

自動作業のための技術

正確な作業エリアの検知

ロボット芝刈機は自動で作業を行うため、作業エリアの検知、電源の確保は大変重要です。Miimoは作業エリアを囲んで敷設するエリアワイヤーからの「エリア信号」を受信し、エリアワイヤーの内側の芝刈り作業を行います。
各信号にはHonda独自のコード信号を採用。コードの合致率で信号を判定するため、広いエリアでも確実にエリア内外を判別すると共に、周囲にノイズがあった場合でも正確な判断で作業を継続することができます。
またバッテリー電圧が低下し、充電が必要になった場合は、エリアワイヤーに沿って充電ステーション付近まで戻り、「ステーション信号」を受信すると、正確に充電ステーションへドッキングして充電を開始します。

正確な作業エリアの検知

「 傾斜自律制御システム」

作業エリアには傾斜地や起伏のある芝地も多く、安定した作業を継続的に行うためには、力強い直進走破性が必要です。このため、Miimoは「傾斜自律制御システム」を採用し、高い直進走破性を実現しました。斜面を横切る場合、車体は重力によって低いほうに曲がりますが、このわずかな変化をヨーセンサーが検知し、ECUが左右の駆動輪のモーター回転数を制御します。傾斜地を斜めに上る場合も左右にある駆動輪の回転数に差をつけることで、進行方向のズレを自動補正し高い直進性を発揮します。
さらにMiimoは、低重心でバランスのとれた車体と、後輪のハイトラクションタイヤと高出力モーターを搭載することで、最大登坂能力25°を実現しています。

仕上がり性能

芝地をキレイに保つにはまんべんなく全体を刈ることが重要です。人による作業であれば必要な場所から順番に芝刈りを行うことで無駄なく作業ができますが、単純に作業を自動化するだけでは、規則正しい走行パターンで決まったところを繰り返し走行してしまうケースも少なくありません。

Miimoには通常の走行パターンとして3モード(ランダム・ジグザグ・ミックス)が設定されていると共に、芝の状況に応じて実施する刈り取り・走行パターンも持っているので、芝地全体をまんべんなく刈りとることができます。

    ① ランダムモード

    ランダムモード

    ②ジグザグモード

    ジグザグモード

    ③ミックスモード ( ① + ② )

    ③ミックスモード ( ① + ② )

    らせん刈り

    らせん刈り

    刈り残しや部分的に芝の成長が早い箇所に到達すると、Miimoは芝を刈る芝刈り用モーターの負荷が上がることでその環境を検知し、集中して刈り取りを行います。


    ふち刈り

    ふち刈り

    エリアワイヤー沿いに芝刈りを行い、芝地の端(エッジ)を整えます。


    クイックターン

    クイックターン

    エリアワイヤーにたどり着いたときに、バックすることなくすぐにターンをします。特に狭い場所での作業効率に貢献する機能です。

通路幅セッティング

ステーションへの帰還経路が常に同じであると芝刈機の自重で轍(わだち)ができてしまいます。それを避けるためMiimoではセットアップの際に入力した情報に従い、複数の帰還ルートを自動で設定し、走行するようプログラムされています。

仕上がり性能-ブレード

Miimoの作業部は、ブレードディスクに360°回転するフリー刃(刈刃)が3枚ついており、ブレードディスクは刈刃を障害物から守りながらも芝を押し倒すことなくしっかり刈れる構造になっています。
さらに左右方向に回転するように制御されているため、刃の磨耗が一方だけに偏ることが少なく、切れ味の良い状態を長く保つことで、効率的な作業ができます。

芝を刈るフリー刃はMiimo専用に新開発された刈刃で、耐久性と切れ味を兼ね備えています。
また小石などの障害物に接触した場合でも、衝撃を逃すように360°回転することで、刃先が欠損しにくくなっています。

ブレードディスク
ブレードディスク フリー刃
フリー刃先端

安心してMiimoを使うための機能

「自動負荷制御システム」

Miimoは芝刈り用モーターにかかる負荷が大きくなると、車速を遅くしてブレード回転数を一定に保つ「自動負荷制御システム」を採用しています。芝刈り用モーターの負荷が大きくなると、バッテリーから芝刈り用モーターへ流れる電流の増加をECUが検知し、走行用モーターの出力を制御して車速を調整します。負荷の小さい場所では、最大車速でブレード回転数2500rpmを保ちながら走行します。一方、負荷の大きい場所(長い芝や高密度の芝地)では、車速を下げて芝刈りの負荷を減らし、ブレード回転数を維持することでしっかりと刈り取りを行うことができます。

「セットアップウィザード」の採用

ロボット芝刈機を作動させるには、あらかじめ作業エリアや作業内容を設定する必要があります。効率的な作業スケジュールの設定には、スキルや知識が必要ですが、セットアップウィザードにより、作業エリアに適した自動作業の設定をスムーズに行うことができます。
Miimoの「セットアップウィザード」機能は、コントロールパネルに表示される順に必要な情報を入力すれば、作業時間や狭路への帰還ルートの設定などスキルが必要な項目も含め、Miimoが自動で作業プログラムを設定します。
これにより、作業エリアに適した自動作業の設定もスムーズに行うことができます。

「セットアップウィザード」の採用

各種センサーと停止機能

ロボット芝刈機は、作業者がいなくても自動で作業を行うため、ユーザー以外が不意に近づくこともあり、安全への配慮も必要です。
Miimoは作業中に芝を刈るブレード部へ障害物が接触しにくい構造にしてあると共に、稼働中でも「ストップボタン」を押すことで、ブレード回転と走行をすぐに停止させることができます。
また本体を持ち上げるとリフトセンサ―が検知し、緊急時ブレード停止機能が働くように設定されています。

障害物への衝突には、バンパーがフレームに対して、前後左右と上方向に自由に稼働できるように設計されており、オブストラクションセンサーと連動して全方向で衝突の検知を可能としています。これにより障害物との衝突を検知した場合は、走行をただちに停止し、障害物を回避したうえで、自動的に作業を再開します。

各種センサーと停止機能
Miimo ストップボタン

持ち上げ検出機構(リフトセンサー)

持ち上げ検出機構(リフトセンサー)
持ち上げ検出機構(リフトセンサー)

カバーに取り付けられた金属板が、センサーから離れることで持ち上げを検知。

衝突検出機構(オブストラクションセンサー)

衝突検出機構(オブストラクションセンサー)
衝突検出機構(オブストラクションセンサー)

カバーの動きに連動するマグネットが、マウントシャフトを介してセンサー上を移動することで、衝突(カバーの移動)を検知。

搭載機種例

テクノロジーロボット芝刈機 Miimo