Tech ViewsVol. 1: DCT

Q&A
Q1.DCTとは何の名称ですか?
A.Dual Clutch Transmissionの頭文字をとったもので、スポーツバイクのエンジン、トランスミッションのレイアウトに極めて近い、マニュアルミッション感覚のオートマチックのシステムです。
Q2.DCTはオートマチックトランスミッションなのですか?
A.DCTは、これまでのオートマチックトランスミッションとは違います。DCTは通常の6速ミッションを油圧と電子制御でシフトするミッションです。つまり、マニュアルトランスミッションのギアチェンジを人間ではなく、電子制御して行うシステムです。このためハンドルスイッチでマニュアルトランスミッションのようなシフト操作が可能な一方、ATモードも用意されているので、オートマチックのように走ることも可能です。
Q3.マニュアルでギアを操作することはできますか。
A.ハイ。できます。DCT搭載車の左ハンドルスイッチボックスにあるスイッチでシフト操作が可能です。使用するのは親指でシフトダウン、人差し指でアップの操作をします。
Q4.クラッチレバーはありますか?
A.電子制御によりクラッチを操作するので、ハンドルバーにはクラッチレバーは装備されていません。
Q5.シフトペダルからの操作はできますか?
A.シフトペダルの装備はありません。従って足でシフトする事は出来ません。
※オプションでフットチェンジキットが用意される機種があります。
Q6.DCTはどこが新しいのでしょうか。
A.現在、モーターサイクル用オートマチックの主流は、スクーターなどに採用されているCVTトランスミッションです。DCTは、進化した電子制御技術で繊細なアクセルワークが求められるモーターサイクルの運転に適した発進、変速、そして走行状況の学習機能も搭載するシステムなのです。
Q7.Hondaのモーターサイクルに於けるオートマチックの歴史が知りたい。
A.Hondaはよりイージーに楽しく走れるモーターサイクルとして様々な技術的トライをしてきました。モーターサイクルから操縦する難しさを減らし、楽しく走るための工夫をしてきました。1958年、スーパーカブC100(50 cc)に採用した、クラッチ操作をすることなく発進、変速ができる自動遠心クラッチ。1963年には油圧無段変速機を備えたジュノオM(125?)を発売。1977年には4輪のオートマチックミッションとして多く使われるトルクコンバーター式オートマチックを大型スポーツバイク、Honda・エアラ(750cc)に搭載しています。
他にも、1980年に発売したHonda・タクト(50cc)では、駆動と変速を一体化したドライブベルトを持つ、Vマチックをリリース。シンプルな無段変速機構として定番化します。また、2008年にはHFT(Human Friendly Transmission)を搭載したスポーツクルーザー、DN-01も発売しています。
そしてスポーツモーターサイクル用に開発され、マニュアルトランスミッションと同等のダイレクト感を持っているオートマチックシステム、それが DCTなのです。
Q8.DCTのメリットを教えて下さい。
A.乗る事を楽しめること。そして安心して乗れることです。
DCTではライダーの左手に代わり、ECUのプログラムが油圧制御によりクラッチの断続操作をし、シフトチェンジは左足に代わりモーターが行います。
名前の由来でもあるデュアルクラッチとは、1,3,5速用と2,4,6速と、奇数、偶数とそれぞれに2つのクラッチを持ち、変速操作の前にシフトチェンジをするギアをあらかじめ回転させ、駆動力を伝える準備をしておきます。そして二つのクラッチを使い、後輪に伝わる駆動力をゼロにすることなく次のギアに変速します。そのため、加速、減速のシフトチェンジでもショックが極めて少なく、シームレスで上質な走りを楽しむことができます。
また、カーブの多い峠道などを走行している時など、走行状態をモニタリングして、無用なシフトチェンジをしないようECUはプログラミングされています。その結果、ライダーはブレーキングや、加速、あるいは周囲のことなど、走ることにより集中し、楽しむことが出来るのです。
これらの結果、機構そのものがマニュアルトランスミッションと同等であり、エキスパートライダーを納得の制御をするので、あたかも上手に操っているような感覚を楽しめるのです。経験値の少ないライダーから経験豊富なライダーまで、一クラス上のテクニックを見に付けたような感覚でライディングを満喫できるのです。
Q9.DCT搭載車の燃費は?
A.燃料消費率は走る速度やエンジン回転数、加速の仕方、荷物の有無、風向きなどの天候条件、様々な要因で変化する特性をもっています。
DCT搭載車の場合、時速60キロでの定地走行テスト値で比較すると、NC700X、NC700X ABS NC700X DCTともにガソリン1リッターあたり、41キロの走行が確認されています。つまり燃費性能は、マニュアルトランスミッション車と同等性能を持っています。
Q10.試乗ができますか?
A.是非、DCTを体験、体感して下さい。お近くのHondaモーターサイクルディーラーでお待ちしております。
Q11.DCTの操作は難しい?
A.クラッチレバーの操作、シフト操作をしなくても走れるなど、違いはありますが、既存のモーターサイクルと大きく変わることはありません。
走行を開始する時、マニュアルミッション車ではクラッチを握り、シフトペダルで1速を選択しますが、DCTの場合、エンジンを始動後、ハンドルスイッチ右側にあるS-D?Nのスイッチでニュートラル(N)からドライブ(D)を選択する、あとはアクセルを捻るだけで走り出せます。
Q12.クラッチレバーやチェンジペダルが無いと違和感がありませんか?
A.普段、マニュアルトランスミッションモデルに乗っていると、DCT搭載車に乗りはじめた時、発進や停止する時にクラッチレバーを指が探してしまったり、左足のつま先がチェンジペダルを踏もうとする事を多くの人が経験します。
しかし、1時間も乗っていれば馴れてしまいます。
Q13.マニュアルトランスミッション車のほうが面白さは上だと思いますが?
A.スポーツバイクにとって、クラッチとアクセル、そしてシフトアップやシフトダウンを含めて適切な操作をする事は、ライディングの楽しさの原点になっています。例えば四輪のレースシーンやスポーツカーなどに多く採用されているDCT。ステアリングホイールに付いたパドルシフトでハンドルから手を離さず、シフトレバーを操作するよりも短時間のうちにシフトチェンジを完了させる。ドライブに集中できる、シフトチェンジを短時間で行うことで、加速、減速でアドバンテージを得るというモータースポーツの側面からもメリットがあります。
Hondaが開発したDCTは、小型軽量化し、モーターサイクル用にフィットさせたシステムです。その楽しさは是非試乗で体験してみて下さい。
Q14.エンジンブレーキはどのように使うのでしょうか?
A.DCTでエンジンブレーキを使う場合、通常通りアクセルを閉じることでその効果が得られます。また、より強いエンジンブレーキを引き出したい場合、ハンドルスイッチ左側にあるシフトダウンスイッチで適切なギアを選択することで、より強力なエンジンブレーキを得ることが出来ます。DCTのシステムは、シフトダウン後、エンジンが高回転になりすぎる(オーバーレブの危険性)がある場合、操作をそのまま受け付けることはしません。また、Dモード走行中でも、シフトスイッチをタップすれば、同様にシフトダウンを受け付けます。
Q15.坂道に駐車する場合は?
A.DCT車にはパーキングブレーキが装備されています。必ずパーキングブレーキを使用して下さい。
Q16.アクセルを開けるだけで走るDCTモデルは、スクーターのようにブレーキは前後ともハンドルバーについているのでしょうか?
A.いいえ。前輪のブレーキレバーは右手で操作し、後輪ブレーキは右足で操作する一般的なスポーツバイクのような操作方法を採っています。