電子制御式ステアリングダンパーの概要

MotoGPマシン「RC211V」から市販車へとフィードバックを行った、世界初のバイク用電子制御式ステアリングダンパーです。車両の状態を検出する車体スピードセンサー部、センサー信号を基にダンパーの最適制御、システム診断を行うECUコントロール部、ロータリータイプの油圧ダンパー部から構成されており、状況に応じて常に最適な減衰特性を発揮。低速時には軽快な取り回しを、高速時には路面からの外乱や振動を低減し、より安定したハンドリングを可能にします。

電子制御式ステアリングダンパーの構造

ステアリングダンパーは、ステアリングヘッドの上面に配置し、本体が車体フレーム側、内部に配置され減衰力を生み出すベーンがステアリング側に固定されています。
ダンパー内部は、ベーンで左右にしきられる油室と制御油路で構成しており、作動油が充填されています。
ステアリングと直結したベーンが回転すると、左右の油室間を移動する作動油の流れが生じ、その際に生じる作動油の流動抵抗が減衰トルクとしてステアリングに伝達されます。
ECUは走行状態に応じてダンパー特性を自動制御します。低速走行時は、ダンパー内のメインバルブを全開にして減衰特性を低減させます。これによりライダーに減衰効果を意識させることなく、軽快なハンドリング感覚を維持させています。高速走行または加速時には、その程度に応じてメインバルブを閉状態へと変化させ、路面からの外乱や振動を効果的に低減するように減衰特性を高めます。

ダンパー構造図

【低速時】メインバルブが開放となり、ダンパー内のオイルが高圧側から低圧側に移動することができるためハンドリングは軽くなります。
【高速時】メインバルブが閉鎖され、ダンパー内のオイルは移動できなくなります。このためダンパーが効き、ハンドリングが重くなります。

HESDコントロール図

テクノロジー概要 Honda 電子制御式ステアリングダンパー HESD