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エンジン内部で生じるフリクションを減らす

パーツ同士の摩擦、オイルや水をかき混ぜる抵抗、ピストンが往復するときに発生する慣性抵抗などを減らすことができれば、そのぶん、燃焼によって生まれたパワーをより有効に活かすことができるようになります。eSPでは、エンジン全体でこうした小さな「摩擦」や「抵抗」=「フリクション」をひとつずつ減らしていくことで大きな効果を生み出し、燃費性能の向上につなげています。eSPでは様々なフリクション低減施策に取り組み、2006年の同等クラスのスクーター(当社製110ccモデル)に対しエンジン内部のフリクションを約22%低減しています(Honda調べ)。

  • 摩擦抵抗 歯車のかみ合い、ピストンとシリンダーとのすり合わせなど部品と部品がすれ合う際に発生

  • 慣性抵抗 ピストンやロッカーアームなど往復運動する部品が運動方向を変える際に発生

  • 屈曲抵抗 スプリングやベルトなどの弾性部品が曲げられたり伸ばされたりする際に発生

  • 撹拌抵抗 オイルなどの流体をかくはんする際に発生

  • 流体抵抗 冷却などの流体を圧送する際に発生

  • 空気抵抗 冷却ファンが回転する際などに発生

オフセットシリンダー

従来のピストンとシリンダーの位置関係では、膨張行程におけるピストンは斜めに力を受けながら下がるため、摩擦抵抗が大きくなっていました。そこでシリンダーの位置をずらすことで、ピストンがまっすぐに下がることができるようにし、摩擦抵抗を抑えて、燃費性能を向上させました。

スパイニースリーブと低張力ピストンリング

スパイニースリーブ
スリーブとは、アルミ製のシリンダーが、ピストンの上下動によって削れてしまわないようにするため、エンジンの内側に鋳込まれている鉄製の筒のことです。eSPでは、このスリーブの外側に細かい突起を持たせました。これにより冷却性が向上し運転中のスリーブのゆがみが低減され、ブローバイガス及びオイル消費量が減少。オイル消費量が減少するためエンジンオイル容量の削減が可能となり、オイルの攪拌に関わる抵抗が軽減されています。
低張力ピストンリング
スパイニースリーブの採用によりスリーブ肉厚の低減、均一化が図られるとともにシリンダー本体との密着性を向上させました。このためシリンダー側のアルミ肉厚の最適化を図ることができエンジンが温まった際の変形が低減されました。これによって運転時のスリーブ真円度が向上、ピストンリングの張力を低減することが可能となり、ピストンがシリンダーの内側で「擦れる」ときの抵抗を減らしています。

軽量ピストンピン

ピストンを支える軸(ピストンピン)は、鉄製で重いため、ピストンの重さに占める割合が高いパーツです。これが重いと、そのぶんピストンが上下する際に抵抗が増えてエネルギーのロスに繋がるため、燃費性能向上には軽くすることも重要です。eSPでは、ピストンピンに掛かる力を分散するために、ピンを通す穴のかたちを最適化。これにより、十分な耐久性を確保しながら小さく、同等クラスの従来機種(当社製)に対し25%軽いピストンピンを使うことができるようになり、燃費性能が向上しました。このことは、振動や騒音の低減、スロットルレスポンスの向上にもつながっています。

ローラーロッカーアームとバルブスプリング

ローラーロッカーアーム
ロッカーアームは、吸排気バルブを一分間に何千回も開閉させるためのパーツなので大きな摩擦抵抗が発生します。eSPでは、従来ただの曲面であったロッカーアームとカムが接する部分をローラーとするとともに、ロッカーアームの軸にもニードルローラーベアリング※を採用し、摩擦抵抗を低減しています。ローラーは極力小型化することで、ロッカーアームが上下に動くときの慣性による抵抗も抑え、燃費性能向上に役立てています。

※ ニードルローラーベアリング=円筒状のローラーによって回転部を保持し、摩擦抵抗を低減する軸受け。
バルブスプリング
ロッカーアームの軽量化とそれに対応したカムプロフィールの最適化により、ロッカーアームが下降する際の加速を小さくすることが可能となりました。これによってバルブスプリングのスプリング荷重が低減されバルブ開閉に関わるエネルギーが軽減されました。

駆動系まわり

ドライブベルトの材質の最適化
ふたつのプーリーの間に掛けられているドライブベルトは、常にプーリーのまわりで曲がったり折れたりしながら力を伝えており、ここでも抵抗が生まれています。eSPでは、ドライブベルトが折れ曲がるときの抵抗を小さくするため、柔軟性と耐久性を兼ね備えた、新素材のベルトを採用しました。
ドリブンプーリーの最適化
トルクカム角度とスプリング荷重の最適化によりベルトにかかる圧力を下げ、伝達効率のロスを低減。
ドライブプーリー上の冷却フィンへの「ターボファン」採用
冷却フィンの形状をこれまでの「シロッコファン※1」形状から「ターボファン※2」形状に変更。冷却効率を高めるとともに、空気抵抗によるエネルギーロスを防いでいます。

※1 シロッコファン:効率が低く音が大きいが大容量で高圧の風を送ることができるファン。
※2 ターボファン:風量は少ないが効率が高く静かなファン。

ミッションまわり

ミッションオイルの容量低減
動力をタイヤに伝えるためのギアはオイル(ミッションオイル)に浸されており、オイルをかき回すときには抵抗が発生しますが、ギアを保護するためのオイルを少なくすることができれば、その抵抗を減らすことができます。eSPでは、オイルを効率よく循環させるための経路を設け、少ないオイルでも十分にギアを保護できるようにすることでオイルの容量を削減。燃費性能を向上させました。
ベアリングの最適化
動力をタイヤに伝えるためのギアの軸は、これまでクランクシャフトと同じベアリングによって支えられていましたが、非常に頑丈な一方で、回転のときの抵抗も大きいのが難点でした。eSPでは、この部分のギアのために、ミッション専用のベアリングを新たに設計。十分な耐久性を確保しながら、ギアが回転するときの抵抗を抑え、燃費性能を向上させました。

ビルトイン水冷システム

従来、エンジンの熱によって熱くなった冷却水の温度を下げるラジエターはエンジンから遠くはなれていたため、ポンプで冷却水を行き来させるためには強い力が必要でした。eSPでは、ラジエターをエンジンに近づけ、冷却水が移動する距離を短縮し、ポンプの負担を軽減。さらに、ポンプは、ギアやベルトを介さず、エンジンの力で直接動かすことができるように一体化させて効率をアップし、燃費性能向上につなげました。

冷却系まわり

高効率コア採用
ラジエターには面積当たりの冷却効率を50%※向上させた高効率コアを採用しました。これによって従来のラジエターに対し、同じ冷却効果を得るためにラジエターを通過させる冷却気の通風量を低減することができました。
ラジエターカバー形状の最適化
ラジエターカバーの設置角度の見直し、導風リブの設置によって効率的な走行風の取り込みが行われています。
冷却ファンの小型化
高効率コアの採用とラジエターカバーの最適化によってラジエターファンの小型・軽量化が可能となり、ファン駆動に関わるフリクションロスが低減されました。またファンの小型・軽量化は静粛性の向上にも寄与しています。
冷却系の見直しによる効果
高効率コアの採用、ラジエターファンの小型・軽量化などにより、従来のビルトイン水冷システムに対し、冷却系トータルでのフリクションが30%※低減されています。

※ 数値はHonda調べ。


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