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Tech ViewsVol. 1: DCT

VFR1200F (DCT)

VFR1200F (DCT) Honda V4エンジン、フラッグシップ・スポーツツアラーにDCTがさらなる深みを加える。

レイヤードデザインと呼ばれるボディーカウル、印象的な“目力”を持つヘッドライト、そして切れ上がったテールライト。片持ちのスイングアームで、リアホイールの堀の深さを印象的に見せるその手法。
どこから見ても自慢のV4エンジンは見えないが、VFRシリーズが代々築いてきた“ハイテクマシン、ハイエンドバイク”としての存在感が香り立つ。
そして、目の前にあるVFR1200Fにはもう一つ忘れてはならないことがある。Hondaで最初にDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用したモデルであることだ。Hondaで、というより2輪でこのシステムを最初に搭載した市販車がVFR1200Fだった、と紹介すべきかもしれない。

デュアルクラッチトランスミッションとは、6速ミッションと二つのクラッチを既存のスポーツバイク用エンジンユニットに納め、ライダーが操作してきたクラッチレバーやチェンジペダルによる変速操作を、電子制御に置き換え自動的に、あるいはスイッチによるマニュアル操作で行うことで、ライダーがより走りに集中できるよう、仕立てられたメカニズムだ。

すでに四輪の世界ではプレミアムスポーツモデルなどに採用され、人が操るよりも素早くシフト操作することで、操作上のストレスを低減しながら、MTのようなダイレクト感と、運転する歓びを高めるメカニズムとして知られている。

VFR1200F (DCT)

私は、当初“スポーツバイクにATなんて”と思っていた。しかし、実際に跨がってDCTの操作ボタンをNからDに送り、アクセルを開けるだけで走り出す体験をしただけで、その滑らかな発進に驚くことになる。
なんてクラッチさばきが上手いんだ。そして2速にシフトアップ。シフトチェンジした“カチョン”という音はするが、後輪の駆動力が途切れるようなピッチングをほとんど感じない。
シフトチェンジの滑らかさはライダーにとって腕のみせどころ。クラッチ操作でギクシャクしたり、シフトダウンでクラッチを繋いだ瞬間、リアタイヤがキュっと鳴ったりすると「失敗した」と思う。その小さな失敗はバイクの挙動に影響するから集中しなければならない。つまりシフト操作はクラッチ、アクセルを合わせて操作するライディングの醍醐味でもあり、緊張する場面でもある。

DCTは、シフトアップもシフトダウンも完璧にこなし、しかも二つのクラッチを使い、駆動力を遮ることなくシフト操作をする。だから走りの完成度がより高く、エンジンフィーリングもより上質に感じられる。
VFRの持ち味はDCTでさらに際立つ──、直感的にそう思った。

VFR1200Fのパフォーマンスを引き出そうと、サーキットで走らせたことがある。もしかすると、DCTの“あら”がでるのか。そんな意地悪な気持ちもあった。
そこで、マニュアルモードを選び、左のスイッチボックスにある“+”“−”のボタンを操作した。しかし、そこで見つかったのはDCTのスポーツライディング時の優位性だった。
まず、深いバンク角でコーナーから脱出加速をする時、そこが左コーナーで膝を出したままであっても、人差し指でシフトアップボタンを押せば、スムーズにシフト操作が完了する。挙動変化は極めて少なく安心感は高い。
また、ブレーキングに集中しなしながら、燃料タンクをニーグリップし、減速Gに耐えながらカーブのラインを読むような時、左の親指で出来るシフトダウン操作をしてもリアホイールのホッピングも起きない。むしろ、理想のシフトダウンが出来たことに歓びすら感じる。

自分の脳裏にMOTO GPのオンボード映像が流れるぐらい気持ち良いのだ。

そのフィーリングはもちろん、ワインディング走行でも楽しめる。サーキットと違い、限界を極めるような走りではなく、その先がどうなっているか注意深く慎重に走って行く。そんな場面で、クラッチとシフトチェンジ操作を安心して任せられるデュアルクラッチトランスミッションは、カーブのラインや路面の落ち葉、小石などがないかに注意を払う上で大きなアドバンテージだった。

特にブレーキを使って適切な速度に合わせることへの集中力に余裕がでる。一つの仕事を優れたメカニズムに任せたことで、心に余裕が生まれた。その点からDCTはスポーツライディングに深く合致しているメカニズムで、ライダーをポジティブにしてくれる。

このミッションがあれば、2人乗りをしてもパッセンジャーをシフトアップ、シフトダウンの度にギクシャクさせることが少なく、慎重に運転すれば「運転が巧くなったのね」という言葉を引き出すのも簡単だろう。

プレミアムスポーツとしてVFR1200Fの価値はDCTによって左右されるものではないと思う。非DCTのミッションでも満足度は相当に高い。ただしDCTがVFR1200Fの深みをより引き出したことは間違い無い。長距離スポーツツアラーとして、サーキットの相棒として、そして1人で行くワインディングでは走りを楽しみ、2人乗りなら景色を案内するゆとりも与えてくれる。
この広がりこそDCTの真価ではないだろうか。

右ハンドルバー
右のハンドルバーにあるグレーの親指スイッチでモードチェンジ(N=ニュートラル, Dモード, Sモード)。AT/MTモードの切り替えスイッチは赤いキルスイッチの上にあり、人差し指で簡単に切り替えができる。
左ハンドルバー
MTモードのDかSで左のハンドルバーのスイッチポッドの中、方向指示スイッチの下にあるグレーの親指スイッチ(−)を押すと簡単にシフトダウンする。
シフトアップスイッチ
左側のスイッチ類の前方から突き出ているシフトアップスイッチ(+)には人差し指で簡単に操作できる。スイッチ類の隣の大きな黒いレバーはパーキングブレーキ。
フットペダル
DCT搭載機種の中にはMT車のように足でシフトチェンジができるフットペダルのオプション設定がある機種がある。
エンジンカバー
VFR1200FのDCT搭載車の右側エンジンカバーの形状はMT車と異なる。

Hondaテクノロジー図鑑
〜 DCT
マニュアルトランスミッションの楽しさをオートマチックで実現する、HondaのDCTについて解説します。DCT

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