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逆転の発想が新たな価値を生み出しました。

ピンチをチャンスに変える。常に前向きに考える。常識にとらわれない……。 そんなHondaのエンジニア気質が、軽自動車のパッケージングに新しい風を吹き込みました。 文 / 生方 聡 (モータージャーナリスト)

エンジニア・トーク マンガ版

N BOX + の原点は車いす仕様車!?

——荷室の床が斜めになっている! こんなクルマには、車いす仕様車を除いてこれまでお目にかかったことがありません。そもそもどうしてN BOX +の荷室は床が斜めなんですか?

「N BOXシリーズを開発するにあたっては、車いす仕様車を用意することが当初から決まっていました。これまでは、ベースとなるクルマの床を斜めにつくりかえて専用ボディとしていましたが、台数が出るわけではないのでどうしても割高になります。車いす仕様車をもっと身近な存在にするにはどうすればいいんだろう? そこから生まれたのがN BOX +です」。

——はじめから荷室の床を斜めにしちゃおうと?

「専用ボディではなく、兼用ボディという発想です。車いす仕様車にもなるし、普通のクルマとしても使えたら、生産台数は格段に増えます。そうなれば、車いす仕様車を必要としている人に安く提供できますからね」。

——まさに"逆転の発想"ですね! 床を斜めにするのは難しいのですか?

「たとえばゼストやフリードの車いす仕様車は、専用ボディになりますが床が斜めです。これを参考にすることで、各部品の配置をどうするか、といったレイアウトの課題が、早いタイミングで明確になりました。おかげで、その課題を集中的に解決できたのです。N BOXシリーズはセンタータンクレイアウトを採用していますので斜めの床がつくりやすく、しかもFFに加えて4WDが実現できたのも特徴のひとつです」。

当然N BOX +には車いす仕様車が用意されていますし、ふつうのN BOX +を買っても、パーツを追加すれば車いす仕様車に変更できます。Hondaらしい柔軟な発想の賜物ですね。

シンプルが一番

——そうなると、開発の課題はどんなところに?

「斜めの床を持つN BOX +独自の"ウリ"を前面に押し出すことが必要でした。そこで、いろいろ積める荷室のアレンジや車中泊が可能な"ベッドモード"、"アルミスロープ"を組み合わせて荷物や道具の積み降ろしを簡単にする"ユニバーサルブリッジ"などを提案して、趣味や遊びに使えるクルマをアピールしたというわけです」。

——車いす仕様車のために開発したアルミスロープを、アクセサリーとして販売しているのも逆転の発想ですよね?

「これまでは、テールゲートを開けると収納したアルミスロープが壁のように立ちはだかっていました。車いす専用車ならまだしも、ふだん使うにはこれでは不便です。そこで、N BOX +ではこれをフロアに収納できるよう工夫したんですよ」。

——3段式のアルミスロープが斜めの床に上手く収まっていますね!

「車いすを載せるとなると、スロープが短いと角度が急になってしまいますし、長いとスロープがクルマに収まりません。そこで、車いすに乗られる方や介助されるかたが安心して利用できる角度を14度以下と決めました。あとは自ずとスロープの長さが決まりますが、これまでのように2段ではフロアに収まりきれないので3段にしました。そうなると厚みが増し、実際にフロアに収めてみたら、収まりきらない……なんてこともありましたね(笑)」。

——意外に扱いが簡単ですね!

「見てほしいのは、アルミスロープを立たせたときの固定方法。いろいろ凝ったアイディアもありましたが、最終的には"かんぬき"を使いました。これなら構造がシンプルですから壊れにくいですし、なにより直感的に使えます。お客さまがどう操作すれば良いのか迷ってしまうような、凝った構造にしてしまっては本末転倒だと思い、シンプルな構造にしました。実際、ほとんどの人が一発で使いこなしていましたよ」。

——そんな話を伺ってしまうと、アルミスロープを付けずにはいられませんね(笑)