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Hondaのクルマづくりを特徴づける「M・M思想」 それは「人間尊重」という基本理念に対するエンジニアの回答でした

2011年6月19日、Honda ウエルカムプラザ青山において「フィット シャトル トークショー」が開催されました。 モータージャーナリストの河口まなぶさんのリードにより、開発責任者の人見康平さんとデザイナーの尼田達也さんが、フィット シャトルに受け継がれる「M・M思想」、そして、クルマづくりのこだわりを熱く語ってくれました。 文 / 生方 聡 (モータージャーナリスト)


インタビュー写真

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「M・M思想」はHondaのクルマに標準装備

この日、Honda ウエルカムプラザ青山では、フィット シャトルの誕生を記念したウエルカムフェアが開催されていました。プラザ内にはフィット シャトルのラインアップに加えて、「M・M思想」を説明するコーナーが設けられました。M・M思想とは、「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」というHondaが掲げるクルマづくりの基本思想。このM・M思想を端的に表現したのがスモールカーのフィットです。そのフィットファミリーに新しいメンバーが加わるのを機に、Honda伝統のM・M思想に注目してほしいというのが、今回のフェア、そして、トークショーの狙いのひとつなのでしょう。

トークショーの序盤、人見さんからHondaの基本理念が紹介されました。最も重要なのが「人間尊重」という考え方で、これをクルマづくりに反映したのがM・M思想なのだそうです。「M・M思想」という言葉がない時代にも、もちろんこのクルマづくりの思想をもとにクルマづくりが行われてきました。実際、1967年に発売された軽自動車「N360」にM・M思想の原点を見出すことができます。たとえ小さなクルマでも乗る人が我慢を強いられないよう、最初に居住空間を確保したうえで、残されたスペースを効率的に使い、必要なメカニズムを成立させる……。この考え方は、その後登場する小型FFハッチバックの初代「シビック」や"トールボーイ"の初代「シティ」に受け継がれていきます。そして、3代目の「ワンダーシビック」では「M・M思想」という言葉が使われはじめ、Hondaのクルマづくりのコンセプトが明確にユーザーに伝わることになるのでした。

その後もHondaはM・M思想のもと、新型車を世に送り出していきます。前席の下に燃料タンクを配置し、スモールカーとしては驚くほど広い室内空間を実現した初代フィットは、まさにM・M思想の象徴でした。

フィット シャトルはM・M思想!?

トークショーの途中、河口さんが来場者に「M・M思想を知っている人は手を挙げて!」と尋ねると、手を挙げた方はまばらでした。しかし、このときの皆さんはどうやら遠慮していたようで、あとで個別に伺うと、多くの方がM・M思想をよくご存じでした。それだけに、徹底的にスペース効率を追求したフィットをベースとしながら、全長を510mm延長したフィット シャトルが果たしてM・M思想なのか? と疑問を抱く方が少なくありません。

ところが、M・M思想という点で最も悩んだのは、他ならぬ開発陣でした。フィットの開発責任者でもある人見さん、デザインを担当した尼田さんはともに、開発の初期段階で同じ疑問にぶち当たったそうです。なかでも、フィットでM・M思想を突き詰めた人見さんは複雑な心境でした。そんなとき、M・M思想の原点に立ち返り、その真の意味を確かめることで、解決の糸口が見えてきたそうです。そもそもM・M思想は人間尊重から始まったもので、大切なのは使う人の気持ちなのだと。スモールカーでは、小さいサイズで大きな居住空間をつくり出すことが重要だが、これがスポーツカーなら、単にスペースで決まる話ではないはず。同じように、スモールカーとは期待されることが違うコンパクトカーには、スモールカーと異なるM・M思想がある……。そう人見さんは気づいたのです。

スペース以外の部分でも、使う人の期待に応えたい。そこでフィット シャトルでは「圧倒的な経済性」「抜群の広さ・使い勝手」「他に誇れるプライド」をテーマに、デザイナーたちはパッケージングを、また、他のエンジニアは走行性や燃費を突き詰めていきました。なかには実現困難と思える目標もありましたが、そこはハードルが高ければ高いほどやる気になるHondaのエンジニアたちのこと。たとえばフィット シャトル ハイブリッドでフィット ハイブリッドと同じ30.0km/Lの燃費を達成したり、自転車が積めるくらい広い荷室を実現するなどして、フィット シャトルを魅力的なクルマに仕上げいきました。

一連の話に、来場者からは、「立ち位置が違うクルマでも、Honda車はすべてM・M思想でつくられていることがわかった」「フィット シャトルが生まれた背景がよく理解できた」「人間尊重というクルマづくりに共感した」といった感想が聞かれました。このトークショーをつうじて、Hondaのクルマづくりの思想が多くの来場者に伝わったのではないでしょうか。