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主役はドライバー! たくさんの心遣いが「また使いたい」 という気持ちにさせてくれるのです。

ACC編
「高速道路のドライブをもっと快適で安全に。でも、運転の楽しさは大切にしたい」。 そんな想いで開発されたACCとLKASは、Hondaのエンジニアたちの血が通う、 人間味溢れるシステムでした。 文 / 生方 聡 (モータージャーナリスト)


インタビュー写真

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クルマにレーダーを積むという発想

ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)と従来のクルーズ・コントロールの一番の違いは、クルマにレーダーを搭載したこと。このレーダーが前を走るクルマを捉え、車間距離や速度差を測ることによって、前のクルマへの追従を可能にしています。でも、クルマにレーダーを載せるとなると、そう簡単な話ではありませんよね?

「以前は大きくて、とてもクルマに載るサイズではありませんでしたが、1990年代から、だんだんレーダーが小型になってきました。ACCを最初に搭載したのは1999年のアバンシアで、"レーザーレーダー"を採用しました。しかし、これだと雨や雪に弱いので、Hondaでは2002年のアコードから"ミリ波レーダー"に切り替えています」

1999年にすでに実用化していたとは、これは早い!

「小さくなったとはいえ、最初の頃はレーダーがまだまだ大きく、クルマのノーズに収まらなかったんです。レーダーを付けるとフロントグリルが極端に出っ張ってしまう。『それじゃあ商品にならない』ということで、少しずつ寸法を詰めて、なんとか違和感のないデザインに漕ぎ着けました」

やはり、開発の初期段階は苦労の連続だったようですね。

北は北海道から南は九州まで

レーダーが前のクルマを捉える。言葉にすれば簡単ですが、いろいろな壁が立ちはだかっていたのでは?

「レーダーは電波を送り、返ってきた"反射波"を分析することで前のクルマを把握します。単に前のクルマを見るだけなら簡単なんですが、実際はトンネルとか、家とか、ガードレールとか、鉄橋の欄干とか、まわりの影響を受けるんです。しかも、場所が変われば環境も変わる。同じ環境はふたつとありませんからね。そんななかで、あらゆる状況に対応しなければなりませんでした」

まさか、そのために全国行脚をしたわけではありませんよね?

「その"まさか"で、2002年にミリ波レーダーを最初に投入するときだけでも、ほぼ日本全国、北は北海道から、南は九州まで調査に出かけました。高速から一般道まで。おそらく数千キロになるでしょう。海外も、アメリカ、ヨーロッパなどに調査に出かけました」

気が遠くなる距離ですね。その後もさらに調査の旅が続いたということですから、運転が嫌いなエンジニアには務まらないでしょう。ところで、レーダーにとってはどんな状況が苦手なんですか?

「トンネルとか、鉄橋とか、どこからどう電波が反射するのか、私たちにもわかりにくい場所が苦手です。また、隣に大きなトラックが並走している場合なども、前の小さいクルマは見つけにくいですね」

機械でも苦手はあるんですね。しかし、そういう状況でも諦めるわけにはいかないでしょう?

「もちろんです。もしも突然クルマを見失ってしまったら、前のクルマがいないと判断したクルマは加速し始めます。次の瞬間、ぱっとクルマが見つかり、すぐにブレーキ、というのは好ましくありませんから。とにかく、安定して前のクルマを見続けなければなりません。そのために、たとえば今回試乗したレジェンドには"メカニカルスキャン"といいまして、アンテナを機械的に左右に振るタイプのレーダーを使っています。0.2秒で1往復するようにアンテナを動かしています。このほうが、前のクルマの位置をより高い精度で得られるのです」

1秒間に5往復も動くんですか! 到底人間にはできませんが、そのくらいのことをしないと、人間には近づけないということでしょう。