歴代VTECエンジン紹介「TYPE R史上最強」のVTEC TURBO・K20C

歴代VTECエンジン紹介「TYPE R史上最強」のVTEC TURBO・K20C

高回転用・低回転用という2種類のカムを使い分け、痛快なスポーツ性能と日常の扱いやすさや経済性を高次元に両立させる、Honda独創の可変バルブタイミング・リフト機構「VTEC」。歴代のVTECエンジンを振り返りながら、Hondaスポーツに共通するキャラクターに迫っていきます。今回は2015年の「シビック TYPE R」に搭載された「K20C」についてご紹介します。

スペック(2017 シビック TYPE R)

エンジン形式K20C
エンジン種類水冷直列4気筒横置
弁機構DOHC チェーン駆動 吸気2 排気2
総排気量(cm³)1995
内径×行程(mm)86.0×85.9
圧縮比9.8
燃料供給装置形式電子燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
最高出力(PS/rpm)320/6,500
最大トルク(kgm/rpm)40.8/2,500-4,500

主な搭載車種

2015 シビック TYPE R
2017 シビック TYPE R

「FF量産車最速」を目指した「VTEC TURBO」エンジン

2015年、それまでの数年の空白を経てシビック TYPE Rを復活させるにあたって掲げた目標、それは「FF量産車最速」。加速性能、最高速、サーキットのラップタイムすべてにおいて圧倒的なパフォーマンスを求めるため、出力の目標を300PSオーバーに設定し、TYPE R史上初となるターボエンジンの開発に挑んだ。
ベースとなったのは、Hondaらしいスポーツフィーリングで高い評価を得てきた「K20A」。
ここにHonda独自の吸排気VTC&排気VTECに直噴技術とターボチャージャーを組み合わせることで、最高出力310PS、最大トルク40.8kgf・mの高出力・高トルクを達成。
2017年にデビューしたシビック TYPE R(FK8)ではさらなる熟成を重ね、最高出力は320PSに達している。

VTECがターボエンジンの課題「レスポンス」を解決

高密度の空気の取り込みはターボチャージャーで行えることから、VTECは、自然吸気エンジンのそれとは異なり、排気側のみに装備。シリンダー内の燃焼ガスを効果的に追い出すことで充填効率を高める目的で用いられている。これにより燃焼効率も高まり、ワンサイズ小さなターボチャージャーで十分な過給圧も得られるようになり、ターボラグを極小化。Hondaエンジンの魅力である、ドライバーの意志にどこまでも忠実な「ツキのよさ」を継承している。

Hondaらしい「高回転・高出力」のために

これに加えて、Hondaならではの「高回転・高出力」の乗り味のために、エンジン内部の回転・往復部品の重量低減も徹底的に行った。内部に環状の冷却油路を持ちながらも軽量に仕上げたアルミ製ピストンや、2段階の鍛造工程で棹部を強化し、通常よりも細く、軽量にできる「制御鍛造コンロッド」、カウンターウエイトをスリム化したクランクシャフトなどで、最高出力を発生させる6,500rpmからさらにプラス500rpm、7,000rpmまでストレスなく回る特性を持たせている。

「ターボは上まで回らない」といった固定観念を覆すそのエンジンフィールは、どこまでも爽快で、軽快。高回転・高出力にドライビングプレジャーを感じるドライバーがいる限り、その心を深く満たすエンジンフィーリングを求め続ける。そんなHondaの意思表明とも言えるエンジンなのである。

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