歴代VTECエンジン紹介日常とサーキットの高次元融合・K20A

歴代VTECエンジン紹介日常とサーキットの高次元融合・K20A

高回転用・低回転用という2種類のカムを使い分け、痛快なスポーツ性能と日常の扱いやすさや経済性を高次元に両立させる、Honda独創の可変バルブタイミング・リフト機構「VTEC」。歴代のVTECエンジンを振り返りながら、Hondaスポーツに共通するキャラクターに迫っていきます。今回は2001年の「インテグラ TYPE R」等に搭載された「K20A」についてご紹介します。

スペック(2007 シビック TYPE R)

エンジン形式K20A
エンジン種類水冷直列4気筒横置
弁機構DOHC チェーン駆動 吸気2 排気2
総排気量(cm³)1998
内径×行程(mm)86.0×86.0
圧縮比11.7
燃料供給装置形式電子燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
最高出力(PS/rpm)225/8,000
最大トルク(kgm/rpm)21.9/6,100

主な搭載車種

2001 インテグラ TYPE R
2001 シビック TYPE R
2002 アコード Euro-R
2007 シビック TYPE R
2009 シビック TYPE R EURO

スポーツテイストあふれる新しいDOHC i-VTEC

Honda独創のVTECは、新たに吸気バルブタイミングの位相をエンジン負荷に応じて連続的に制御するVTC(Variable Timing Control)を組み合わせた「i-VTEC」へと進化。VTECによるバルブタイミング・リフトの回転制御に加え、VTCによるバルブオーバーラップ(吸気バルブと排気バルブの両方が開いている状態)と閉じ角の負荷制御を、より緻密に行えるようになった。
たとえば、高回転/高負荷の領域では吸気慣性効果を最大限に利用できるよう、吸気バルブの閉じ角を制御してトルクを向上。低負荷の領域ではオーバーラップを増やしてEGR効果による低排出ガス化や、ポンピングロスの低減による燃費性能向上を図るのである。

シビック TYPE R(FD2)でのさらなる進化

2007年のシビック TYPE R(FD2)では、吸排気の抵抗の低減や高回転に対応した材質の採用等により、2L自然吸気エンジンとして最高峰となる220PSの最高出力を達成した「インテグラ TYPE R」のエンジンをさらにチューン。
単管ショートインテークマニホールドのストレート化、ヘッドポートの表面をなめらかに仕上げるNSX製法の採用等により、吸気効率を高めるとともに、エキゾーストマニホールドの集合部鋭角化、デュアルエキゾーストパイプのストレート化などによって排気効率も向上。最高出力225PS(リッターあたり112.5PS)、最大トルク21.9kgf・mというハイパフォーマンスを現実のものとした。

とりわけ、トルクはVTECのハイカム領域全般で高められ、また、ハイカムに切り替わる5,800rpmの直後、6,100rpmでピークを迎えるように設定。この回転域では、出力換算にして実に約10PSもの向上を実現した。ここに組み合わされるトランスミッションは専用の6速MT。ハイカム領域内でパワーをフルに引き出しつつシフトアップを繋いでいくことのできるクロスレシオとした。

「これぞHondaのVTECエンジン」という俊敏なレスポンスと、レブリミットまで「突き抜けるように回る」爽快感。Hondaのエンジンテクノロジーの粋を集め、走りに刺激を求めてやまないドライバーの心を深く満たした一基であると言えるだろう。

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