妥協せず実力以上のものを
作ろうとするところがいい

S800(1966年)オーナー 赤塚さん

50年前にHondaがこのクルマを作ったときは、私は小さな子どもでした。インパクトが強くて忘れられず、いつか乗りたいなと思い続けていました。子どもでしたから一番印象に残っているのは価格当てクイズですね。459,000円が正解でしたが、僕は700,000円ぐらいで応募してはずれた記憶があります(笑)。
子どもの頃からスーパーカブが大好きでしたので、Hondaの原点のスポーツカーに乗るのがとても楽しみでした。実は1965年製のスーパーカブを持っているんです。自分で直しました。スーパーカブ、いいですよね。他にないですよね。片手でお蕎麦を持って出前できるバイクなんて(笑)。ああいう発想がすばらしい。
Hondaは、一番最初にトライする時にとにかくすべてを盛り込んだものを作ろうとするでしょう。簡単に片付けないで実力以上のものを作ろうとします。そういうところがいいんです。その志に魅了されるんです。
僕はこのクルマを手に入れる時、レストアされるのを一年間ずっと見ていたんです。まるで誕生から40年後(2007年当時)にHondaがまた「S」を生み出しているような追体験をしながら手に入れました。
手に入れた喜びは表現しがたいですね。そして乗ってみて思った通りだと。根幹となるコンセプトがいい。今のHondaのNシリーズも昔のコンセプトを大事にしていますよね。Hondaのそういうところが大好きです。