TYPE R 30th Anniversary

TYPE R 30th AnniversaryTYPE R誕生30周年 感謝の辞と記念展示、パレードラン
2022.12.16

2022年は、HondaにTYPE Rが誕生してから30年目となる年です。1992年のNSX-Rに始まり、2022年のシビック TYPE Rまで。12モデルを発売し、たくさんのみなさまにHondaが求める究極の走りの喜びを楽しみ続けていただいています。歴代それぞれのモデルに多くのファンがいらっしゃいます。そのファンのみなさまに感謝の気持ちを込め、モビリティリゾートもてぎのホンダコレクションホールで、TYPE Rの「挑戦の血統」を紐解く企画展を開催(2023年1月16日(月)まで)。そして、同じくモビリティリゾートもてぎのロードコースで、2022年11月27日に、TYPE Rオーナーによるパレード走行が行われました。それらの模様をご紹介するとともに、TYPE Rの生みの親ともいえる、初代NSX開発責任者を務めた上原 繁さんの感謝の辞を掲載いたします。

上原 繁さん1971年に入社以来、操縦安定性の研究に携わる。1985年からミッドシップリサーチプロジェクトに参加。1990年に開発責任者として初代NSXを誕生させた。1992年にNSX-Rを開発し、TYPE Rブランドを立ち上げた人物。その後、インテグラ TYPE Rをプロデュースし、TYPE Rブランドをライトウエイトスポーツに展開するきっかけをつくった。初代NSXを進化させ続け、S2000の開発責任者も務めるなど、Hondaのスポーツカー開発に携わった。現在はHondaを退職している。

TYPE Rオーナーのみなさまへ初代NSX開発責任者 上原 繁さん

TYPE Rオーナーのみなさま、30周年おめでとうございます。長きに渡りTYPE Rを愛し続けてくださり、心から御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
1992年に初代NSXでタイプRを生み出したときは、こんなに長続きするとは思っていませんでした。NSXに続き、1995年にライトウェイトスポーツモデルのインテグラでTYPE Rをつくり、その後シビック、海外ではアコードでもTYPE Rが登場するなど、多くの方に楽しんでいただけたことを大変嬉しく思います。
30年間もTYPE Rのスピリットが継承され、時代にあわせたTYPE Rを生み出すことができたのも、ファンの皆様の支持があればこそです。

上原 繁さん1971年に入社以来、操縦安定性の研究に携わる。1985年からミッドシップリサーチプロジェクトに参加。1990年に開発責任者として初代NSXを誕生させた。1992年にNSX-Rを開発し、TYPE Rブランドを立ち上げた人物。その後、インテグラ TYPE Rをプロデュースし、TYPE Rブランドをライトウエイトスポーツに展開するきっかけをつくった。初代NSXを進化させ続け、S2000の開発責任者も務めるなど、Hondaのスポーツカー開発に携わった。現在はHondaを退職している。

TYPE Rの記念日ですから、そもそもどうしてTYPE Rを生み出したかをお話ししましょう。TYPE Rを初めてつくったのはNSXです。NSXは、世界第一級の高性能を持ちながら、快適で、安全性も高く、環境にも配慮したスーパースポーツカーでした。のちに新しいスポーツカーの価値として認められるのですが、当初は優等生過ぎるという評価もありました。開発チーム内にもそういう思いがあったので、「じゃあ、思いっきり運動性能を尖らせたモデルをつくろうよ」と。それで生み出したのがタイプRの第1号となるNSX-Rです。
NSX-Rの開発テストを行っていたニュルブルクリンクで、チームのメンバーも「これはやり過ぎでは」という議論が起こるほど尖った仕様でした。走りのメインステージをサーキットに置き、そこで走りを楽しめるよう、思い切った軽量化と足を固めるハードチューニングを行っていたからです。「足が硬過ぎる」と社内で反対意見もありましたが、Hondaの上層部の試乗会では、みんな笑顔で降りてくるんです。走り好きにはたまらない仕上がりでしたから(笑)。そうして「欲しいと思う人に選んでいただければいい」という開発チームのスタンスが通り、発売に漕ぎ着けることができました。これほどの仕様は、おそらくHondaでなかったら世に出せなかったんじゃないかと思います。発売前、印象に残っているのは、鈴鹿サーキットでF1のレースを終えたアイルトン・セナに乗ってもらったときのことです。NSX-Rで鈴鹿を走り終えたセナは「コンフォート」と言いました。それはまさに私がNSX-Rで目指したことでした。つまり、サーキットで走って最も楽しいスポーツカーということです。

しばらくして、インテグラのマイナーモデルチェンジに携わったとき、TYPE Rをより多くの方に楽しんでいただきたいという思いを実現できました。あの頃は、FF車で本当に楽しいスポーツカーはつくれないという論調があったので「じゃあ、つくってやろう」と。徹底的にこだわって初代インテグラ TYPE Rをつくりました。それからは、シビックでもつくり、時代にあわせて進化していきました。2002年のNSX-Rでは、マイナスリフトを発生させて空力バランスを最適化しハンドリング性能を高め、エンジンは自主規制で280馬力以上上げられないため、回転バランスを取って気持ちよく回るようにしました。TYPE Rは、その時代時代で、究極を求めるクルマなのです。
今は、テクノロジーが進化したおかげで、日常は快適で、サーキットに行ったらレスポンスのいい走りが楽しめるようにTYPE Rも第2世代へと進化しました。そうあるべきです。「サーキットで最も楽しい」という魂は不変で、進化はしていくべきです。だからこそ30年続いたのだと思います。これからも楽しみですね。電気自動車でもTYPE Rが出てくるんじゃないでしょうか。ぜひ注目し続けてください。そしてこれからも、TYPE Rの走りを楽しみ続けていただけたら幸いです。

■ TYPE R 30周年記念展示 ギャラリー (ホンダコレクションホール)

219台ものTYPE Rが一同に集まりました!TYPE R HAPPY 30th Birthdayオーナーズパレード

2022年11月27日(日)、Honda Racing Thanks Dayの会場となったモビリティリゾートもてぎに、車種の垣根を越えて219台のTYPE Rが集まりました。誕生30周年を祝う「TYPE R HAPPY 30th Birthday オーナーズパレード」の開催です。
オープニングラップを先導し大いに盛り上げたのは、Hondaパワーユニットで2022年シーズンを戦ったワールドチャンピオンのマックス・フェルスタッペン選手をはじめとするF1ドライバー4名と、NSXでGTレースを戦い続けた道上 龍監督といった豪華メンバーが乗る歴代のTYPE R。先導車に続いて、参加オーナーのみなさんが乗るNSX、インテグラ、シビックのTYPE Rが、ロードコースを周回しホームストレートのスターティンググリッドに整列。そして、さらにオーナーとTYPE Rだけでロードコースを周回しました。先導しながらフェルスタッペン選手も語っていたように、TYPE Rは世界でも有名で人気があるHondaのスポーツカー。そのTYPE Rの歴代のモデルが、生まれ故郷である栃木の本田技術研究所(当時)のお膝元ともいえる、モビリティリゾートもてぎのロードコースを埋め尽くす圧巻のパレードでした。参加したオーナーの皆さまは、走りを見守る観客席やオフィシャルに手や旗を振りながら、30周年を記念するパレードを楽しまれていました。

  • 2022年モデルのシビック TYPE Rには、マックス・フェルスタッペン選手、2002年モデルのNSX-Rにはセルジオ・ペレス選手、1998年モデルのインテグラ TYPE Rに角田 裕毅選手、2009年モデルのシビック TYPE R EUROはピエール・ガスリー選手、1992年モデルのNSX-Rは道上 龍監督が乗車しました。

  • 一周を終えて、スターティンググリッドを先頭に整列した参加オーナーのみなさんのTYPE R。NSX-Rに続いて、インテグラ TYPE Rが並びますが、シビック TYPE Rは遥か遠くで、先頭から見ることができないほどの長い隊列となりました。観客の皆さんが見守るなか、2周目の走行を行いました。

  • 列の中盤は、たくさんのインテグラ TYPE Rが占めます。

  • 列の後半を過ぎて、ようやくシビック TYPE Rが見えて来ました。

参加者の声

  • NSX-R オーナー[NA1](栃木県)

    私が10歳の頃にNSXが登場し、低くてかっこいいフォルムと先進感に魅了され、もうこれは買うしかないと思いました。そして、NSXが好き過ぎてHondaの研究所に入社してしまいました。買うならやっぱりTYPE Rだと考え、9年くらい前になんとか探し出して手に入れました。ハンドルを握ってコーナーを曲がるたびに一体感を味わい、常にニヤニヤしています。以前、インテグラ TYPE Rに乗っていて、モータースポーツもやって、ここにたどり着いたという感じです。TYPE Rは、Hondaの象徴みたいなところがあると思うので、30年も続いて嬉しいですね。こんな素晴らしいクルマを生み出してくれたHondaに、もう感謝です。これからも、低くてかっこいいスポーツカーをつくり続けて欲しいと思います。

  • インテグラ TYPE R オーナー[DC2](埼玉県)

    このインテグラが出るより少し前に、F1で活躍していたこともあり、Hondaのクルマしか選択肢になかったですね。96年にインテグラ TYPE Rがデビューして、ずっと欲しいなと思っていました。それで、99年に購入しました。それ以来乗り続けています。10年くらい前はサーキットも走りました。ヒラヒラ舞うように走り、コントローラブルですごく楽しかったです。いまどき200馬力のエンジンは珍しくないですが、車重が軽いからものすごく加速も良いですし、VTECで高回転に入ったときはたまらないです。こんなに素晴らしいエンジンをつくるのに、将来エンジンをつくりませんと言ったり、Hondaはとんでもなくユニークな会社なので、次の時代はクルマ以外でも何かやってくれるんじゃないかと期待しています。

  • インテグラ TYPE R オーナー[DC5](神奈川県)

    F1での活躍もあってDC2のインテグラ TYPE Rに乗り始め、インテグラが終わってしまうということで、DC5に乗り換えました。それ以来、ずっと乗り続けています。TYPE Rは、確かに足が硬いですが、逆にスポーツカーらしくていいですよね。3ドアハッチバックで荷物が載るので使い勝手がよく、車中泊もできたし満足しています。TYPE Rは30年周年ですが、どのクルマも古さ感がまったくないですね。今後ですが、正直僕はパワートレーンの形が変わってもいいかなと。それは時代の流れなので。ハイブリッドでTYPE Rでもそれはそれで面白いかなと思っています。やっぱりHondaのレーシングスピリットがF1から始まって、その気持ちがTYPE Rに注入され続けて欲しいです。今回、このような30周年のパレードがあって参加できて嬉しいです。

  • シビック TYPE R オーナー[EK9](埼玉県)

    初代シビック TYPE Rは、特にエンジンが魅力で購入を決めました。1.6Lで185馬力ですからね。あとVTECの高回転域に入ったときの高揚感が思っていた以上でした。知り合いのクルマで体感はしていたんですけれど、自分で乗ってみて、すごいなと。それまでファミリーカーしか乗っていなかったですから、インパクトが強かったですね。このクルマはもう30年くらい前のクルマですが、今見ても色褪せないデザインというか、やっぱりかっこいいですよね。Hondaは、感動的な乗り味のTYPE Rをいまも続けて出してくれるというところがすごいと思います。新型のTYPE Rは、最後のガソリン車かもしれないけれど、引き続きTYPE Rのようなスポーツカーを出して欲しいと思います。

  • シビック TYPE R オーナー[FD2](福島県)

    これは、自分が小学生の頃に出たモデルで、足回りが硬い、サーキットスペシャルみたいなのに憧れて、このセダンの形も好きだったので購入しました。実際はサーキットには行っていないんですが、こういうタイプのクルマって世の中探しても少ないので、もうこれだなと。想像以上に硬いと思いましたが、これがTYPE Rだと思うと、ああ良いなと感じています。NSX-Rから30年、RA272から継承されたチャンピオンシップホワイトが歴代ずっと続いていて、尖った仕様ということも変わらず、すごいと思いますね。Hondaスピリッツというか本田宗一郎さんの血を受け継いだ開発陣の方々が妥協なくつくっていて、それをオーナーさんたちもわかっていて、すごいみんなTYPE Rを愛しているから乗っているのだと思います。Hondaさんには、この先もずっとTYPE Rを続けて欲しいと思います。

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