英国ではちょうどミニ・クーパーSが出た頃で、カントリーロードで背後に迫られるたびにS600は軽快なハンドリングで受け流した。
そして、ひとたびモーターウェイに乗るとS600の優れた高速巡航性能の前に小型のライバル車はバックミラーから
姿を消していったという。写真は、ブガッティ・オーナーズ・クラブの主催で、1938年よりヒルクライムレースが開かれている
英国のプレスコット・ヒルを訪れたときのもの。小林氏はクラブのメンバーのたっての希望に応え、S600でコースを走った。
ゴールした後、隣に乗ったオフィシャルから「たった600㏄でこのタイム、ベリーグッド!」と褒められたとのこと。
「1リッター級スポーツ以上の性能、完全な居住性、車で行けるところならどこへでも行けるタフなサスペンション、
異例にフレキシブルなエンジン」(CG1964年4月号)と小林氏も賞賛するS600は、まさにHondaの生んだ小さな名車であった。