
なぜシビック TYPE Rは速い?そのシンプルな理由とは。《後編》
答える人
鈴鹿サーキット タイムアタックドライバーを務めた
Hondaレーシングドライバー 伊沢 拓也
──さあ、前回は鈴鹿サーキットのヘアピンを立ち上がるところまで来ました。
そうですね。タイトなヘアピンを、ほとんどアンダーステアを出さずにきれいに立ち上がり、アクセルを踏み過ぎ気味に立ち上がっていきます。
──きれいな立ち上がりでしたね。
ここからスプーンまでの右コーナーの駆け上がりは、2速から5速にシフトアップしながら、ぎりぎり全開でいける感じです。そして、右コーナーを立ち上がって左コーナーのスプーン1つ目へのアプローチは、大袈裟に言うと切り返しでのブレーキングになるので不安定になりがちですが、今回のモデルは4輪の接地性が高いので、ピタっと落ち着いてブレーキもしっかり踏めて、スムーズにアプローチできています。ギアは5速から4速にシフトダウンです。
──スムーズですね。
本当、安定してスムーズに進入できました。実は、この進入はもう少し攻めてもよかったかなという印象はありますね。今映像を見返しても。
──なるほど。次のスプーン2つ目に向かう走りもスムーズですね。
アクセルコントロールで綺麗に曲がっていますね。
──スプーンの立ち上がりは外側の縁石まではらむのですね。
GTマシンやフォーミュラカーだとあそこまでいけないんですけど、市販車は意外といけますね。アウトまではらんでコースを大きく使っています。
──裏ストレート、気持ちよく加速していますね。
何も問題ないです。ここまで失敗なく来れてひと安心というところです。4速から6速まで上げて、メーター読みで237km/h。5速に落として、130R。
──何事も起こらない感じですね。
ここはスピードをコントロールして踏んでいくだけです。もちろん無理をすると、飛び出すので注意は必要です。でもアンダーステアが出ることもなく、リアもまったく出る気配もなく、きれいに曲がれていますね。
──シケインもスムーズ。
切り返しのハンドリングも、切った瞬間にしっかり曲がってトラクションもちゃんとかかっています。
──これで2分23秒993。
24秒を切れたのは大きかったと思います。今までのトップタイムから1秒以上の大幅な短縮ですから。いや~ホッとしました。フィニッシュ後に思わずガッツポーズが出ました。ピットに戻ってからは、ハグの嵐でした(笑)。