Hondaには、フラッグシップスポーツであるNSXを
研究所に隣接した専用施設で可能な限り新車に近い状態に戻す
「NSXリフレッシュプラン」というメンテナンスプログラムが存在します。
そのプログラムに携わるメンテナンスのエキスパートが
NSXに限らず、さまざまなクルマをより長く・安全に・気持ちよく
乗っていただくためのメンテナンスやカーケアのノウハウをご紹介します。
サーキットを走ったりすると、アライメントが狂いやすい。
さて、イエスでしょうか、ノーでしょうか。
答えは、ノーです。
私自身も狂いやすいのではと思っていたのですが、仕事でサーキットを日常的に走る
NSXをリフレッシュしたとき、ほとんど狂っていなかったのです。
アライメントの狂いは、サスペンションブッシュやダンパーのヘタりから生じます。
ですから、きちんと動かして活性化させていた方が
あまり乗らないよりヘタり方が少ないのかもしれません。
そのNSXのアライメント調整はかなり専門的なノウハウが必要です。
整備マニュアルにもありますが、
まず調整前に車高を規定値にする手順を踏まなければなりません。
調整の自由度の高い4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションのHonda車は
NSX以外にもありますが、NSXは精度が高く繊細に設計されていますから
車高によってアライメントの値が変化してしまうのです。
さらに、調整も難しく、一方向をあわせると他方向も変化してしまうので
その変化の関係を掴みながら、じっくりと調整しなければならないのです。
まるでレーシングカーを扱うような厳密さが求められるのです。
アライメントが規定値から外れ、タイヤの外径部分でわずか数ミリのずれが生じても、
サーキットを走ると「何かリアが落ち着かない」などと感じるほどの走りの変化となります。
アライメントはNSXの命と言っても過言ではありません。
リフレッシュセンターには、リフレッシュプランで入庫したNSXのアライメントを
正確に調整する専用のテスターがあり、熟練のスタッフが入念な作業を行います。
長年乗られたNSXは、ぜひ一度リフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
アライメントの狂いは、サスペンションブッシュやダンパーのヘタりから生じます。大切に保管するより、乗ってゴムを動かして活性化した方が持つようです。
サーキットを走ったからと言ってアライメントが狂う訳ではないのです。しかし、アライメントが狂った状態でサーキットを走ると、本来のNSXの走りを楽しめません。