Hondaには、フラッグシップスポーツであるNSXを
研究所に隣接した専用施設で可能な限り新車に近い状態に戻す
「NSXリフレッシュプラン」というメンテナンスプログラムが存在します。
そのプログラムに携わるメンテナンスのエキスパートが
NSXに限らず、さまざまなクルマをより長く・安全に・気持ちよく
乗っていただくためのメンテナンスやカーケアのノウハウをご紹介します。
長く乗っていると、目に付いたボルトを増し締めしたくなるかもしれません。
でも、それはあまりお勧めしません。定期点検できちんと確認されていれば十分です。
一番目に止まるのがホイールナットでしょうか。
これは思いっきり締めればいいというものではなく、必要なトルクで締めていればいいのです。
感覚的には、スパナを使って強く力を入れれば緩むくらい。
締め過ぎるとねじにストレスが掛かりますし、アルミホイールの場合、
表面があまり強くないのでナットを受けるホイール側の面が座屈して
ナットが食い込んでしまいます。これでは、締めても無駄です。
ナットは回転することでねじを引っ張り、ねじの張力で固定する力を得るからです。
あと、愛車を美しく保つ秘訣をひとつ。
いろいろなケミカル用品を用いるのもいいのですが、マメにきれいにすることです。
ボディについた埃や虫の死骸などの有機物は、化学反応を起こして塗装を傷めてしまいます。
傷めると元に戻りませんから、走行を終えるたびに汚れを落としてやることです。
そして水垢対策。リフレッシュセンターに入って来るNSXもガラスに
鱗状の水垢が付いているのをよく見かけますが、
落とすには専用のスポンジなどでこするしかない。単純な話、そうなる前に
拭けばいいのです。走りを終え、ガレージに入れて「お疲れさん」という気持ちを込め、
遅くとも寝る前までに、セーム革かぬれた布で汚れや雨を拭き取ってあげてください。
それだけで将来大きな差が出てきます。
また、インテリアは走っていなくても時とともに埃がたまっていきます。
それも放置せず、水を含ませてから硬く絞った柔らかい布でさっと拭いてあげてください。
NSX タイプRなどスゥエード調の内装材などは、埃を放置すると食いついて
あとから取りにくくなるので特に気をつけたいですね。
ホイールナットの締め過ぎは要注意です。定期点検でHonda Carsのスタッフにトルクレンチで締めてもらっていれば十分です。
長持ちのためには、ホイールの汚れをこまめにきれいにして、汚れを付着させないようにしましょう。水垢は結構やっかいな存在です。一番いいのが走行ごとに拭き取ること。駐車場に屋根がない場合は、致し方ありません。雨の走行のあと、できるだけ早く洗車してやりましょう。こまめに、こまめに。